ビリー・バターフィールドの魅力を徹底解説—温かいトーンと歌心で聴くジャズ・トランペットの名演ガイド

はじめに — ビリー・バターフィールドとは

ビリー・バターフィールド(Billy Butterfield, 1917–1988)は、スウィング〜ジャズの時代に活躍したトランペット奏者です。温かく丸みのあるトーンと歌うようなフレージングで知られ、ビッグバンドでのソロから小編成での抒情的なインタープレイまで幅広くこなしました。代表的にはボブ・クロスビー(Bob Crosby)やアーティ・ショー(Artie Shaw)などのバンドで名を馳せ、その一方で自身のオーケストラや小編成リーダー作でも多くの魅力的な録音を残しています。

バターフィールドの「聴きどころ」:音色と表現の特長

  • 温かく丸いトーン:高音でも角が立たず、歌うような滑らかさが特徴。バラードでの感情表現が特に魅力的です。
  • フレージングの美しさ:メロディを引き立てる“歌心”のあるソロ。派手さよりも情緒を重視するプレイが多い。
  • アンサンブル感:ビッグバンドの中でも埋もれずに自然に溶け込む、リリカルなリードや対旋律を得意とします。
  • 幅広いレパートリー:ポピュラー・ソングのバラードからスウィング曲、そして小編成でのジャズ・スタンダードまで多彩。

おすすめレコード(聴きどころ付き)

以下は「入門」「深掘り」「サイドマンとしての名演」を意識したおすすめリストです。オリジナル盤の78/45/LPから、近年のコンピレーション盤やCD再発まで、入手しやすい形態を探してみてください。

  • Margaret Whiting with the Billy Butterfield Orchestra — "Moonlight in Vermont"(シングル、1944年)

    なによりもまず聴くべき一曲。マーガレット・ホワイティングのヴォーカルに寄り添うバターフィールドのトランペットが印象的に決まる名演で、彼の「歌う」トーンが最もよく分かります。シングル原盤の魅力も大きいですが、コンピレーションCDやストリーミングでも比較的見つけやすい定番録音です。

  • Bob Crosby Orchestra 時代の録音(中〜後期)

    バターフィールドが在籍したボブ・クロスビー楽団での録音群は、スウィングのダンスナンバーやライトなジャズでのソロが楽しめます。ビッグバンド内でのソロワークやアンサンブルとの絡みを聴くのに最適。複数のコンピレーションや「complete sessions」的な編集盤でまとめて聴けることが多いので、そうした盤を探すのをおすすめします。

  • Artie Shaw 参加セッション(1930年代末〜1940年代初頭)

    アーティ・ショー楽団でのバターフィールドは、洗練されたアンサンブルの中で鋭さと哀愁を併せ持つソロを聴かせます。ショーの室内楽的な編成やモダンなアレンジは、バターフィールドの色彩感を別側面から味わわせてくれます。アーティ・ショーの代表的なコンピレーションに参加トラックとして収録されていることが多いです。

  • バターフィールド名義の小編成リーダー作(1940s–1950s録音の編集盤)

    リーダー作や小編成ラジオセッションの編集盤は、バラードの美しさとインタープレイの妙を堪能できます。スウィング色の濃い楽曲だけでなく、ジャズ・スタンダードをしっとりと歌う演奏が多く、彼の本領がよく出ています。タイトルは多様に再発されているため、「Billy Butterfield 名義 compilation」などで探してみてください。

  • 戦後のラジオ/スタジオ・セッション集(コンピレーション)

    NBCやラジオ番組でのライブ/トークショー伴奏など、スタジオワークの名演を集めた編集盤もおすすめ。商業レコーディングとは違う即興性やリズム感、他の名手との共演(ドラム、ピアノの名手)による化学反応が楽しめます。

  • サイドマンとしての名演を集めたコンピ(Benny Goodman, others)

    ベニー・グッドマンなど著名バンドの一員として残したソロも見逃せません。名うてのバンドリーダーのアンサンブル内で光る一瞬のソロは、バターフィールドの多才さを端的に示します。各リーダーの「Best of」「Complete sessions」系のBOXに参加トラックが含まれることが多いので、チェックしてみてください。

各レコード(録音)を選ぶ際のポイント

  • 「オリジナル・シングル/初期プレス」を狙うか、「近年のリマスター/コンピ」を選ぶかで音色の印象が変わります。古い録音の雰囲気を重視するならオリジナル、音質や聴きやすさを優先するなら信頼できるリマスター盤を。
  • クレジット(参加ミュージシャン)を確認すると、共演者によって演奏の方向性が変わります。ピアノ/ギター/ドラムが誰かで伴奏感が大きく異なります。
  • コンピレーションを買う際は、セッションの年代順や音源出典が明記されているものを選ぶと、バターフィールドの演奏の変遷を追いやすいです。

聴き方の提案(曲ごとの注目点)

  • バラード:トーンの「温度」とフレーズごとの間(間の取り方)を味わう。息使いやビブラートの使い方が感情表現の鍵。
  • スウィング/アップテンポ:リズムへの乗り方、短いソロの中でのメロディ構築を追うと、彼の技術の巧みさがわかります。
  • アンサンブル:リードとしての立ち位置と、他のブラスやソリストとのやり取り(掛け合い)を比較することでバンド内での役割が見えます。

最後に — なぜバターフィールドを聴くべきか

派手な技巧よりも「歌うこと」に重きを置いたトランペット・スタイルは、歌心と抒情性を重視するリスナーに強く響きます。スウィングのダンス感と、ジャズの即興表現が自然に融合した音楽性は、ビッグバンド期の演奏と小編成ジャズの両方を楽しみたい人にとって理想的です。まずは代表的な一曲(例:Moonlight in Vermont)を聴き、その後でバンド参加録音やリーダー作のコンピレーションへ広げると、バターフィールドの魅力を深く味わえます。

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参考文献