デラー・コンソートとアルフレッド・デラーの魅力—早期音楽の室内合唱とカウンターテナーの世界
デラー・コンソート──プロフィールと概観
デラー・コンソート(Deller Consort)は、20世紀中葉から活躍した英語圏を中心とする合唱/声楽アンサンブルであり、特にカウンターテナー(高声の男性声)を代表するアルフレッド・デラー(Alfred Deller)の活動と深く結びついています。合唱というよりは小編成の声楽アンサンブルとして、ルネサンス〜初期バロックの宗教曲や世俗歌曲、イングリッシュ・リュート伴奏歌曲などを中心に演奏・録音を行い、当時の演奏慣習を再評価しながら現代に伝える役割を果たしてきました。
音楽的な特徴と魅力
- 透明で純度の高い声質:
デラー自身のカウンターテナーは、過度なヴィブラートを抑えた澄んだ音色が特徴です。合唱全体も同様に「声の重なり」を重視し、和声の輪郭を明瞭に聴かせます。
- テキストと発語の明瞭さ:
歌詞(英語やラテン語)を明確に伝える表現を重視し、声の扱いを言葉の意味により密接に結びつける演奏姿勢が魅力です。
- 小編成・室内的な演奏スケール:
大合唱よりも少人数でのアンサンブルにより、細かなアンサンブルの呼吸やニュアンスを活かした繊細な表現を実現します。
- 伴奏楽器との緊密な対話:
リュートやヴィオールなどの通奏低音系楽器との密接な連携により、声と器楽が一体になった歌唱が展開されます(例:デラーの長年の協働者として知られるリュート奏者や鍵盤伴奏者との録音・演奏)。
- 歴史的演奏慣習への志向:
当時としては先駆的に、16〜17世紀の音楽を現代の感覚で再解釈するのではなく、可能な限り原典や当時の奏法を意識したアプローチを採り入れました。これがのちの「早期音楽復興」運動に大きな影響を与えます。
レパートリーの傾向
主要なレパートリーは、イングランドのルネサンス歌曲(ダウランド、バード、トリスターンら)や宗教合唱(タリス、ウィリアム・バードなど)、およびパーセル(Purcell)や初期バロックの歌曲・合唱曲です。リュート伴奏の歌曲(ラヴ・ソングや哀歌)から、ポリフォニックな教会音楽まで幅広く手がけました。
代表曲・名盤の紹介(入門と選曲の指針)
ここでは「デラー/デラー・コンソートらしさ」を味わいやすい代表的なレパートリーと、入門盤としておすすめできる録音の方向性を紹介します。レコードやCDの版ごとに収録曲は異なるため、まずはコンピレーション盤や代表的作曲家別のリサイタル盤を探すと良いでしょう。
- ジョン・ダウランド(John Dowland)の歌曲集
「Flow, my tears」「Come again」など、ダウランドのリュート歌曲はデラーのレパートリーの代名詞の一つ。リュート伴奏とカウンターテナーの詩情を最初に体験するのに適しています。
- ヘンリー・パーセル(Henry Purcell)の歌曲・劇音楽の抜粋
英語の感性を生かした劇的かつ繊細な表現が聴けます。短い歌ものを集めたアルバムは入門に向きます。
- イングリッシュ・ルネサンスのポリフォニー(Tallis, Byrd, Gibbonsなど)
小規模合唱でのポリフォニー表現を楽しめます。和声の動きとテキストの関連を味わってください。
- 入門盤の探し方(例)
- 「Alfred Deller / The Art of the Counter-Tenor」や「Alfred Deller/英語歌曲集」といったコンピレーションは、デラーの音楽性を幅広く紹介してくれるので初めての一枚としておすすめです。
- ダウランドやパーセルなど作曲家別の復刻盤・全集を一枚選ぶと、その作曲家におけるデラーの解釈の特徴がよく分かります。
演奏スタイルの深掘り:なぜ心を動かすのか
デラー/デラー・コンソートの演奏が現代のリスナーに刺さる理由は、単に「古楽=古い演奏を復元した」ことに留まりません。以下の点が大きく寄与しています。
- 身体的な発声から生まれる「素の声」感:
過度に人工的な装飾や声の加工を避け、声そのものの質感を前面に出すことで、聴き手は歌声の人間性を直接感じ取れます。
- 言葉を第一に据えた音楽解釈:
テキストの意味やアクセントに応じたフレージングが施され、曲が語りかけるように展開します。
- 間(ま)と呼吸の美学:
テンポや呼吸の取り方に余白を残すことで、音楽の中に内面的なドラマや静けさが生まれます。現代の忙しい日常においては、そこに癒しや深い共感を覚える人も多いでしょう。
- シンプルさゆえの多層性:
表面的には控えめでも、和声の響きや声の混ざり方に細かな表現が詰まっており、繰り返し聴くほど新たな発見があります。
影響と現在への継承
デラーとそのコンソートは、20世紀後半の早期音楽復興において重要な役割を果たしました。特にカウンターテナーという声種を古楽の中心的な表現手段として確立し、その後の世代(例:ジェイムズ・ボウマン、ポール・エスウッドなどのカウンターテナーや、様々な古楽アンサンブル)に強い影響を与えました。演奏様式の面でも、「言葉重視」「小編成での密な表現」といった美学は今日の歴史的演奏実践(HIP)に受け継がれています。
聴きどころ・楽しみ方の提案
- テキストを確認しながら聴く:
歌詞(英語・ラテン語)の対訳を用意して聴くと、デラーの歌詞への配慮がよりよく分かります。
- ヘッドフォンで声の質感を味わう:
カウンターテナーの倍音やリュートの細かな音がよく聴こえます。小編成ゆえの空気感を捉えやすくなります。
- 同一曲を他の演奏と比較する:
現代的な豊かなヴィブラートや大編成での合唱と比べると、デラーのアプローチの独自性が浮かび上がります。比較鑑賞は理解を深める有効な手段です。
聴取上の注意点
デラーの録音はモノラルや初期のステレオ録音など、録音年代や技術の違いによって音質が多様です。歴史的録音の風合いとして楽しむ一方で、音質を重視する場合はリマスター盤や近年の復刻CD/配信版を選ぶと聴きやすくなります。
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参考文献
- アルフレッド・デラー(日本語版ウィキペディア)
- Alfred Deller — Wikipedia (English)
- AllMusic: Alfred Deller
- Early music — Wikipedia (overview of the historical performance movement)


