グレース・スリック入門から深掘りまで:代表アルバムを聴き比べる徹底ガイド
グレース・スリック(Grace Slick) — 短い紹介
グレース・スリックは1960年代後半のサンフランシスコ・サイケデリック・ロックを代表する女性ヴォーカリストの一人です。Jefferson Airplane の中心的存在として、鋭く力強い声とカリスマ的なステージングで「White Rabbit」「Somebody to Love」などの不朽の名唱を残しました。その後の Jefferson Starship での活動やソロ作も含め、サイケデリック、フォーク、ハードロック、ポップスを横断する多彩さが魅力です。
本稿の目的と読みどころ
ここでは、グレース・スリックの「聴くべきレコード」を深掘りして紹介します。各アルバムの特徴、代表曲、聴きどころ(グレースの歌唱/役割に焦点)を解説し、どんなリスナーに向くかの提案も添えます。なお、レコードの再生・保管・メンテナンスに関する解説は含みません。
おすすめレコード(概観)
- Jefferson Airplane — Surrealistic Pillow (1967)
- Jefferson Airplane — After Bathing at Baxter's (1967)
- Jefferson Airplane — Crown of Creation (1968)
- Jefferson Airplane — Volunteers (1969)
- Jefferson Airplane — Bless Its Pointed Little Head (1969)(ライヴ)
- Grace Slick — Manhole (1974)(ソロ)
- Jefferson Starship — Red Octopus (1975)(代表的ポップ路線)
- ベスト/入門編:各種編集盤(「The Essential Jefferson Airplane / Jefferson Starship」等)
各アルバムの深掘り解説
Surrealistic Pillow(Jefferson Airplane, 1967)
なによりもまずこれ。サンフランシスコ・サイケデリック・ムーブメントが全国へ広がるきっかけとなった名盤で、グレース・スリックが世に出る契機となったアルバムです。
- 代表曲:Somebody to Love、White Rabbit
- 聴きどころ:グレースのハスキーで伸びやかなメロディ表現。「White Rabbit」ではドラマティックに高揚する声で曲の緊張感を支配します。「Somebody to Love」では鋭くフォルスが効いたロック・ソウル的な歌唱が聴けます。
- 背景と意義:当時の精神世界や薬物文化を反映した歌詞と演奏が合わさり、ポップとサイケデリックの狭間で新しいロック表現を提示しました。グレースはバンドの顔として、楽曲の象徴性を増幅させました。
- おすすめポイント:グレースの声を初めて体験する入門盤として最適。歴史的重要作としても価値が高い。
After Bathing at Baxter's(Jefferson Airplane, 1967)
Surrealistic Pillowと同年にリリースされた、より実験的で冒険的なアルバム。サイケデリックな長尺曲や音響実験が特徴です。
- 代表曲:The Last Wall of the Castle など(アルバム全体がひとつの流れとして楽しめます)
- 聴きどころ:グレースは主旋律だけでなく、合唱やコントラスト的なパートでサウンドの色合いを作ります。声の使い分けやハーモニーの絡み合いが面白い。
- おすすめポイント:ロックの実験性や当時のスタジオ遊びに興味があるリスナー向け。ポップ寄りではないが、アーティスティックな側面を知るのに有益です。
Crown of Creation(Jefferson Airplane, 1968)
サイケデリックから社会的メッセージを含む方向へと広がった作品。曲ごとの色が出ており、バンドの表現力がさらに成熟しています。
- 代表曲:Crown of Creation、Greasy Heart など
- 聴きどころ:グレースは尖ったロック的な発声と、より内省的な歌い回しの両方を示します。曲によって役割が変わり、その多面性が分かります。
- おすすめポイント:サイケデリックの枠を超えてバンドとしての幅を感じたいリスナーに。
Volunteers(Jefferson Airplane, 1969)
政治意識の高まりを反映した、ストレートで攻撃的な作品。反戦・社会批判のメッセージが前面に出ます。
- 代表曲:Volunteers、We Can Be Together など
- 聴きどころ:グレースの歌唱は力強く、叫びにも似た表現で曲の緊迫感を増幅します。アグレッシヴな曲と抒情的な曲の振れ幅が大きいのが特徴。
- おすすめポイント:60年代末の政治的・文化的熱気を音で追体験したい人に。
Bless Its Pointed Little Head(Jefferson Airplane, 1969) — ライヴ録音
スタジオとは別の表情を見せるライヴ盤。即興的な展開や観客とのグルーヴが楽しめます。
- 代表曲(ライヴでのハイライト):White Rabbit、Somebody to Love、The Ballad of You and Me and Pooneil など
- 聴きどころ:グレースのライヴ力、フロントマンとしての存在感が強調されます。スタジオ版よりも生々しく、エネルギーに満ちたパフォーマンスが魅力。
- おすすめポイント:ライヴでの迫力やアドリブ的な息遣いを重視するリスナーに。
Manhole(Grace Slick ソロ, 1974)
グレースのソロ第1作。スタジオ実験やポップ/アート志向が混在した、個人的な表現が色濃いアルバムです。
- 代表曲・聴きどころ:ソロ作品ならではの私的な歌詞とヴォーカル表現が前面に出ます。Jefferson AirplaneやStarshipとは違う、グレース個人の音楽観を知るための重要作です。
- おすすめポイント:彼女個人のアーティスト性を深く理解したい人向け。商業的ポップではないため、好みは分かれるが興味深い作品です。
Red Octopus(Jefferson Starship, 1975)
Jefferson Starship 名義での成功作。よりポップ/AOR寄りのサウンドで大衆性を獲得した時期の代表盤です。グレースはバンド内で重要なパートを担いつつ、以前よりもバンド形式の中で歌う役割が増えています。
- 代表曲(アルバムの聴きどころ):バンドのメロディアスな側面、洗練されたアレンジとハーモニー。グレースの声はプロダクションにうまく溶け込み、楽曲の色付けをしています。
- おすすめポイント:60年代のサイケデリックだけでなく、70年代のロック/ポップの流れも追いたい人に。
編集盤・入門編(コンピレーション)
初めてグレース・スリックの音楽に触れるなら、編集盤やベスト盤も効率的です。代表曲を網羅し、各時期のスタイルを俯瞰できます。
- おすすめの楽しみ方:Surrealistic Pillow を軸に、Volunteers や Bless Its Pointed Little Head を加えることで、スタジオ録音とライヴ、そして政治性・実験性・ポップ性の全体像がつかめます。
聞き比べのポイント(音楽的観点で)
- 初期(1967頃):鋭く直接的な声。サイケデリックかつポップなメロディが中心。
- 中期(1968–1969):実験性と政治的メッセージの強化。歌と曲の緊張感が増す。
- 70年代以降:ソロやJefferson Starshipでのポップ/AOR的な側面。スタジオワークの洗練化。
どのアルバムから聴くべきか(ターゲット別の提案)
- まずは代表曲を聴きたい:Surrealistic Pillow
- ライヴの熱量を味わいたい:Bless Its Pointed Little Head
- 実験的サイケを深掘りしたい:After Bathing at Baxter's
- 政治的メッセージや60年代末の気配を追いたい:Volunteers
- グレース個人の表現を知りたい:Manhole(ソロ)
- 70年代のポップ寄りロックも楽しみたい:Red Octopus(Jefferson Starship)
最後に(聴くときの視点)
グレース・スリックの魅力は単に「良い声」だけでなく、楽曲のドラマ性を生み出す声の存在感にあります。彼女の歌を聴くときは、歌詞の物語性、フレーズの語り口、そしてヴォーカルがバンドアレンジの中でどのように立ち上がるかに注目すると、より深く楽しめます。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
エバープレイは(オンライン/実店舗での)アナログ盤販売や音楽情報を扱うサービスの一例です。グレース・スリックやJefferson Airplaneに関するオリジナル盤・再発盤の取り扱い情報や、アルバム解説を探す際に参考になります(各サービスの最新情報は公式サイトでご確認ください)。
参考文献
- Grace Slick — Wikipedia
- Surrealistic Pillow — Wikipedia
- After Bathing at Baxter's — Wikipedia
- Crown of Creation — Wikipedia
- Volunteers — Wikipedia
- Bless Its Pointed Little Head — Wikipedia
- Manhole — Wikipedia (Grace Slick solo)
- Red Octopus — Wikipedia (Jefferson Starship)
- Grace Slick — AllMusic


