マーティン・ロヴェット（Martin Lovett）おすすめレコードガイド｜名盤と聴きどころ
エバープレイ編集部マーティン・ロヴェットとは
マーティン・ロヴェット（Martin Lovett）は、20世紀を代表するチェリストの一人で、特にアマデウス四重奏団（Amadeus Quartet）のチェロ奏者として長年にわたり高い評価を受けました。柔らかく暖かい音色と卓越したアンサンブル感覚で、弦楽四重奏曲の名曲群に独自の解釈を与え、数多くの録音を残しています。本稿では、ロヴェットの演奏が堪能できるおすすめレコードを中心に、各盤の聴きどころや選び方のポイントを解説します。
おすすめレコード（名盤セレクション）
- Beethoven：弦楽四重奏曲全集（Amadeus Quartet／Decca録音）
アマデウス四重奏団によるベートーヴェン全集は、20世紀の弦楽四重奏演奏の金字塔として知られます。ロヴェットのチェロは低域の支えとして作品全体の構造を明確にしつつも、決して硬くならない表現でアンサンブルを牽引します。特に後期の両深い作品では、その歌い口とバランス感が際立ちます。
- Schubert：弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」（Amadeus Quartet）
シューベルトの情念と静謐が同居するこの名曲で、ロヴェットは主題の重厚さと内面の揺れを的確に表現します。第一楽章の対位法的な絡みや緩徐楽章の歌い回しでの存在感が聴きどころです。
- Mozart：後期弦楽四重奏曲（Amadeus Quartet）
モーツァルトの洗練された対話性を描くうえで、ロヴェットの柔らかな音色は重要な役割を果たします。透明感を保ちながらも深みのある低音で、各声部を支える演奏が楽しめます。
- Brahms：弦楽四重奏曲／弦楽五重奏曲（Amadeus Quartet）
ブラームス作品で見せる重厚さと内向的な情感のバランスは、ロヴェットの演奏の魅力がよく出る領域です。特に弦楽五重奏曲ではチェロの重要な役割が際立ち、豊かな響きと対話が堪能できます。
- その他の録音：シュトラウス／シューベルト／モーツァルトの多彩なセッション録音
アマデウス四重奏団名義の各種録音はいずれも水準が高く、レパートリーの広さと表現の一貫性を示しています。ロヴェットの個性を幅広く味わうなら、複数の作曲家を横断して聴くことをおすすめします。
各盤の聴きどころ（具体的に何を聴けば良いか）
- 低弦の役割：ロヴェットは低域で和声とリズムの重心を安定させる一方、メロディを歌う場面では柔らかく前に出てきます。チェロのラインが他の声部とどう対話しているかに注目しましょう。
- アンサンブルの一体感：アマデウス四重奏団は全体の音色均質性が特徴です。特に緩徐楽章では息の合ったフレージングと微妙なテンポの揺らぎが感情表現に直結します。
- 解釈の温度感：同じ楽曲でも演奏時期や録音によって「温度」が異なります。表現の落ち着きや芳醇さ、ダイナミクスの幅などを比較してみると、ロヴェットの表現の幅が見えてきます。
聴き比べの提案
ロヴェット／アマデウスの録音を他の名門四重奏団（例えばブダペスト四重奏団、ゲヴァントハウス四重奏団、グァルネリ四重奏団など）の同曲録音と並べて聴くと、解釈の違いやアンサンブルのアプローチの差が明確になります。ベートーヴェンやシューベルトの同一曲を時間を空けて聴き比べると、新たな発見が多いでしょう。
ロヴェットの演奏をより深く味わうための聞き方
- パートごとの役割に注目する：第1ヴァイオリンが主題を受け持つとき、チェロがどのように支えているかを意識すると、アンサンブルの構造が見えてきます。
- フレーズの始まりと終わりを辿る：ロヴェットのフレージングは終わりの処理に特徴が出ることが多く、細かなニュアンスが曲全体の印象を左右します。
- 録音年代を踏まえる：歴史的背景や当時の解釈潮流を知ることで、演奏の選択（テンポ・ヴィブラートの使い方など）に納得感が生まれます。
購入・視聴のヒント（何を基準に選ぶか）
作曲家・曲目・年代を基準に、自分が重視する要素（情感の豊かさ、構築の明快さ、録音の自然さなど）に合った盤を選ぶと満足度が高くなります。アマデウス四重奏団の主要な録音は複数のレーベルやリマスターで再発されているので、解説や録音年を確認してみてください。
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