ジェームス・バートン:必聴レコードと聴きどころを深掘りするガイド
導入 — ジェームス・バートンとは
ジェームス・バートン(James Burton)は、ロックンロールからカントリー、ポップスまで幅広いフィールドで活躍した伝説的ギタリストです。リッキー・ネルソンの伴奏で頭角を現し、エルヴィス・プレスリーのTCBバンドのリードギタリストとして世界的に知られるようになりました。彼のプレイは“チキンピッキング”に代表されるきめ細かいフレージングと歌心あるフレーズ、スペースを生かした伴奏(コンピング)に特徴があります。本コラムでは、レコード(音源)を通じてバートンの魅力を深掘りし、おすすめ盤と聴きどころを紹介します。
おすすめレコード(聴きどころ別に深掘り)
リッキー・ネルソンの初期音源(Ricky Nelson 初期シングル/ベスト集)
聴きどころ:"Hello Mary Lou"、"Travelin' Man" などのシングル群でのバートンは、若々しいロカビリー〜初期ロックの伴奏を担い、シンプルながら耳に残る間(ま)とメロディックなリードが特徴です。彼のフィルやイントロのフレーズは、この時期に既に完成の域にあり、後のスタイルの基礎がここにあります。ネルソンの歌を引き立てる“歌に寄り添うソロ”を聴いてください。Elvis Presley — That's the Way It Is(1970)/Aloha from Hawaii via Satellite(1973)などのライヴ/映像音源
聴きどころ:エルヴィスのTCBバンドでのバートンは、その存在感がダイレクトに出ます。ライヴ音源では、圧倒的な存在感を保ちつつ決して主張しすぎない“歌と場面を支える”プレイが光ります。ソロは短くても的確で、ダブルストップやハーフトーンのアクセント、滑らかなハンマリング/プリングで曲のエモーションを作ります。バンド・アンサンブルの中での立ち回り、フレーズの選び方を細部まで聴くと学びが多いです。Emmylou Harris(Hot Band期のアルバム群 — 例:Hot Band参加盤)
聴きどころ:1970年代半ばのカントリー/フォーク寄りのプロダクションで、バートンのカントリー・フィーリングと繊細なリズム・ギターが存分に活きます。アルペジオやダブルストップ、空間を作るための短いフレーズなど“伴奏技術の教科書”的なプレイが多く、歌メロに対する補完の仕方が非常に参考になります。バートンがどう曲の色を変えるかに注目してください。セッション/サポート作のコンピレーション(多数のアーティストでの名演を網羅した編集盤)
聴きどころ:バートンは多くのアーティストのレコーディングに参加しており、個別のアルバムでは見えにくい彼の多面性を把握するのにコンピが便利です。ロカビリー、カントリー、ポップ、ロックを行き来する彼のフレーズ選択、トーン作り、アンサンブルでの役割の変化を比較して聴くことで、プレイの引き出しの多さがわかります。James Burton名義のリーダー作/インスト集(ジェームス・バートンのギターを前面に出した作品)
聴きどころ:リーダー作ではより自由にソロを展開する場面が増え、彼のテクニックと音楽性がダイレクトに伝わります。インスト曲ではメロディメイクの巧みさ、曲構成を意識したプレイのバランス感、リズム・セクションとの対話が明確に出ます。バートンの“歌うギター”をじっくり味わいたい向きにおすすめです。
聴き方のコツ — バートンを深く理解するポイント
フレーズの“間(ま)”を意識する:長いソロで魅せるタイプではなく、短いフレーズの積み重ねで物語を作ります。歌やリズムに対していつ余白を残すかを観察してください。
ダブルストップとハーモニー使い:単音だけでなく、2音や3音を使ったハーモニックな表現が多いので、そのタイミングと音選びをチェックします。
音色(トーン)の変化:ピッキングの強弱、ピックか指摘しか、ギターのボリュームでの微妙なコントロールで歌心を出す場面が多数あります。特にライヴ録音でのダイナミクスの付け方は学びが深いです。
バッキングの引き算術:バートンは“引き算で伴奏を作る”名手です。どの瞬間にフレーズを締め、どの瞬間に広げるかを見ると伴奏力の高さが分かります。
盤選びのヒント
ライヴ音源は彼の即興性とバンドでの役割がよく分かるので優先して聴くのがおすすめです。特にエルヴィス関連の公式ライヴ盤は音質も良く、演奏のダイナミズムが伝わります。
初期のシングルやオリジナル・テイクを集めた編集盤は、若き日の鋭さとアイディアを見るのに適しています。コンピレーションで年代順に聴くのも効果的です。
名義作品とセッションワークを交互に聴くことで、“スター・ギタリストが歌をどう支えるか”と“リーダーとして何を表現するか”の違いが理解できます。
まとめ — 聴き手としての得られるもの
ジェームス・バートンのレコードを聴くことは、ギタリストはもちろん、アレンジャーやプロデューサー、歌い手にとっても学びが多い体験です。短いフレーズで情感を伝える技術、歌を第一に考える姿勢、ジャンルを横断する柔軟性。これらは彼のレコード群を通して一貫して感じ取れます。まずはリッキー・ネルソンの名曲群、次にエルヴィスのライヴ、そしてホットバンド期のカントリー系作品と名義盤を順に聴いていくと、バートンの全体像がつかめます。
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