KRK Rokit 5 G4 徹底レビュー：音質・機能・設置のコツと比較ガイド

2025年12月13日 最終更新日時 : 2025年12月13日 エバープレイ編集部

はじめに — Rokit 5 G4とは何か

KRKのRokitシリーズは長年にわたりホームスタジオやプロジェクトスタジオで広く使われてきました。Rokit 5 G4はその第四世代（G4）にあたる5インチ・パワード近接モニターで、小規模な作業環境を想定した近接リスニングの定番機の一つです。本コラムではRokit 5 G4の設計思想、主な機能、実際の音の特性、設置・調整のコツ、比較検討ポイント、よくある課題とその対処法について、実機レビューや公開情報を参照しながら深掘りします。

主要な特徴と設計

Rokit 5 G4は5インチウーファーを搭載したアクティブスピーカーで、近接モニタリング用途を中心に設計されています。第四世代では筐体やドライバー素材、アンプやDSPを含む内部設計が見直され、現代の制作ニーズに応える機能が追加されました。

  • ドライバー構成：5インチ（ウーファー）＋高域用ドーム・ツイーターの2ウェイ構成。
  • アクティブ設計：ウーファーとツイーターそれぞれにアンプを内蔵し、近接場のリニアリティを確保。
  • 入力端子：バランス入力（XLR、TRS）に加えRCAなどのアンバランス入力を備え、オーディオインターフェースやミキサー等との接続性が良い。
  • フロントポート：前面にバスレフポートを設け、壁面近接でも低域の扱いやすさを意図。
  • DSPと画面：G4世代の特徴として、ディスプレイでのイコライザーやルームチューニング設定が可能で、プリセットや微調整が行える。

音質の特徴（実際の聴感と傾向）

Rokitシリーズは長らく“プロデューサー寄り”のサウンドで知られ、G4でもその傾向は残っています。以下は実機を聴いた際に多くのユーザーやレビューが指摘する点です。

  • 低域の存在感：5インチサイズとしては低域にしっかりとした感触を出す傾向があり、ビート感やベースの確認に有利。ただし小型ウーファーの物理的限界から超低域の再現はサブウーファーがあるとより安心。
  • 中域とボーカル：中域はやや前に出る音づくりで、ボーカルやリード楽器の確認がしやすい。一方で“完全にフラット”とは異なり、ミックスを別再生系でチェックすることは重要。
  • 高域の解像度：ツイーターは明瞭で定位感は良好だが、部屋の反射や設置によってシャープに聞こえすぎることがあるため、ルーム調整が効果的。
  • ステレオイメージ：近接リスニング距離では定位が取りやすく、パンポジションの確認に向く。

Rokit 5 G4のDSP／ルームチューニング機能の活用法

G4世代では液晶表示を伴うDSPベースの調整機能が搭載され、工場出荷時のキャラクターを変更したり、簡易なルーム補正を行えます。具体的な使い方と注意点は以下の通りです。

  • プリセット活用：Listening ModeやRoom Modeといったプリセットを切り替えることで、設置位置（壁からの距離など）に応じた補正が可能。
  • グラフィック/パラメトリックEQ：細かい帯域のブースト/カットで部屋固有のピークを抑えることができる。過度な補正はモニター本来の特性を歪めるので注意。
  • 測定ツールと併用する：REW（Room EQ Wizard）などの測定ソフトと測定用マイク（UMIK-1等）を使えば、視覚的に問題帯域を把握して効果的に補正できる。
  • 耳で最終確認：DSPで補正したら必ず音楽を何曲か聴いて自然に聞こえるかを確かめる。数値だけで決めない。

設置・セッティングの具体的なコツ

どれだけ良いモニターでも設置が悪ければ性能を発揮できません。Rokit 5 G4を導入する際に意識したいポイントをまとめます。

  • リスニング位置とスピーカーの三角形：リスナーと左右スピーカーでほぼ正三角形を作るのが基本。ツイーターの高さは耳の高さに合わせる。
  • 壁からの距離：フロントポートは前面にあるので、壁に近付け過ぎると低域が膨らむ。DSPのプリセットである程度補正できるが、実機配置で最適化するのが先。
  • スタンド／アイソレーター：デスクやスタンド上ではサスペンションタイプのアイソレーターを使うと低域の曖昧さが減る。
  • サブとの併用：低域の確認が重要なジャンル（EDM、映画音など）は、同ブランドのサブやクロスオーバーを用意して統合的にセッティングすると良い。

ミキシング作業での実用性と注意点

Rokit 5 G4は制作作業で使いやすい側面が多くありますが、いくつか注意点もあります。

  • 長時間の参照：近接向けで音像が分かりやすいため、トラック制作やアレンジの確認に向く。ただし、ミックスの最終チェックは複数のモニターやヘッドフォンでも行う。
    • レファレンスの重要性：Rokitはややキャラクターが付いているため、商業リファレンス曲と比較して中立性を常に確認すること。
  • 適切な音量での判断：低域は音量依存で印象が変わるため、ミックス判断は複数の音量で行う。ラウドネスを上げすぎない。

Rokit 5 G4と競合機種の比較

同クラスの代表的な競合にはYamaha HS5、JBL 305P MkII、IK MultimediaやNeumanの小型モニターなどがあります。比較ポイントは以下の通りです。

  • フラットネス：Yamaha HSシリーズの方が伝統的にフラット傾向で、客観的なミックスチェックに向く。Rokitはやや音楽的で制作寄り。
  • 低域の量感：Rokitは同サイズ帯で低域重視のチューニングがされている印象。HS5はややタイトで中立的。
  • 機能性：Rokit G4はDSPとディスプレイによる調整機能があり、設置環境の補正が容易。一方でJBLやYamahaは純粋なアナログ的な素直さが売り。

よくある問題と対処法

導入後にユーザーが直面しやすい課題と解決策をあげます。

  • 低域が膨らむ／モッコリする：壁に近過ぎないか、スタンド／アイソレーターを使ってラック伝搬を減らす、DSPで特定帯域を軽くカットする。
  • 高域が刺さる：リスニング部屋の反射（特に天井・デスク面）を吸音パネルやデスクパッドで処理する、DSPで中高域を微調整する。
  • 定位が不明瞭：スピーカーの角度（トーイン）や三角形のバランスを見直す。左右レベル差がないかも確認。

購入を検討する際のチェックリスト

  • 用途：制作メインか、単なるリスニングか。制作ならRokitのキャラクターが役立つ。
  • 部屋のサイズ：小～中規模の部屋向け。広い部屋ではサブウーファー併用を検討。
  • 接続端子：お手持ちのオーディオ機器と入力端子（XLR/TRS/RCA）が合うか確認。
  • 試聴：可能なら店頭で自分の楽曲で試聴し、普段使うヘッドフォンや別のスピーカーとも比較する。

まとめ

Rokit 5 G4は、使いやすさと現代的な機能（DSP／表示機能）を備えた5インチ近接モニターです。プロデューサーやビートメイカーを中心に、制作の初期段階やアレンジ作業で有効に働きます。音質はややキャラクター性があるため、完全なフラットを求めるマスタリング用途には他機種や複数モニターとの併用を推奨します。設置やルーム処理、DSPの活用次第で性能を大きく引き出せるため、導入時は測定と耳によるチェックを併用してください。

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

エバープレイオンラインショップのバナー

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery

参考文献

カテゴリー
用語
前の記事
ヴィクター・フレミング解剖：『オズの魔法使い』『風と共に去りぬ』を同年に撮った監督の実像New!!
2025年12月13日
次の記事
ヴィンセント・ミネリ──舞台性と色彩で紡いだミュージカル映画の魔術師New!!
2025年12月13日