韓国アクション映画おすすめ12選|見どころ・名場面・視聴ガイド
はじめに:なぜ韓国アクション映画なのか
近年、韓国映画はドラマ性と映像表現を高いレベルで両立させ、アクション作品においても独自の進化を遂げています。復讐劇・犯罪サスペンス・ゾンビもの・スパイものなどジャンルを横断しつつ、人間ドラマを深く描くのが特徴です。本コラムではジャンルの多様性と技巧を踏まえ、初心者からコアな映画ファンまで楽しめるおすすめ作を厳選して解説します。
韓国アクション映画の共通点と見どころ
韓国アクション映画の特徴は大きく分けて次の点に集約されます。
- 骨太な人間ドラマ:単なる見せ場ではなく人物の動機や心理を丁寧に描く。
- 現実的な暴力描写と緻密な格闘アクション:拳や近接戦闘の迫力、ワイヤーアクションや銃撃戦も高水準。
- ジャンル混淆:アクションにサスペンス、スリラー、ホラー、コメディなどを掛け合わせることが多い。
- スター性と個性派の起用:イ・ビョンホン、チョ・ミンシク、マ・ドンソク(Don Lee)など、強烈な存在感を持つ俳優が魅力を引き上げる。
おすすめ作品一覧(各作品の見どころ解説)
アジョシ(The Man from Nowhere)/2010年(監督:イ・ジョンボム、主演:ウォンビン)
孤独な元工作員と幼い少女の絆を軸にした復讐劇。静と動の対比が鮮やかで、ラストに向けての盛り上げ方が見事です。ウォンビンの身体能力を生かした接近戦や車載アクション、感情の振幅が観客の心を掴みます。悪女(The Villainess)/2017年(監督:チョン・ビョンギル、主演:キム・オクビン)
女性暗殺者を主人公にしたスタイリッシュなアクション。長回しのワンカット風アクションや映像的挑戦が特徴で、韓国のみならず国際的にも注目を集めました。銃・格闘・ワイヤーアクションのバランスが優れており、主人公の心理描写も深いです。悪いやつら(The Good, the Bad, the Weird)/2008年(監督:キム・ジウン、主演:ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソン)
西部劇の文法を朝鮮半島に移植した豪快なアクション大作。列車を舞台にしたカーチェイスや銃撃戦、ユーモアとスピード感が同居する作風が魅力です。大勢のエキストラを巻き込むセット・ピースが見応えあります。オールドボーイ(Oldboy)/2003年(監督:パク・チャヌク、主演:チェ・ミンシク)
復讐と狂気を描く傑作サスペンス。ハンマーを用いた長回しの廊下の殴り合いは映画史に残る名場面で、暴力シーンは物語の倫理的問いと結び付きます。演出の大胆さと心理的緊張が特筆される作品です。悪魔を見た(I Saw the Devil)/2010年(監督:キム・ジウン、主演:イ・ビョンホン、チェ・ミンシク)
極めて暴力的な復讐劇。復讐の連鎖が主人公を蝕んでいく様を容赦なく描き、倫理的論争を呼びました。深い復讐劇を求める観客に強く勧められる、ショッキングで考えさせられる傑作です。犯罪都市(The Outlaws)/2017年(監督:カン・ユンソン、主演:マ・ドンソク)
実在の事件をベースにしたバイオレンス寄りの警察アクション。マ・ドンソク(Don Lee)の圧倒的な身体性と親しみやすさが魅力で、リアルな殴り合いとテンポの良い展開が高評価を得ました。続編『The Roundup(2022)』もヒットしています。新世界(New World)/2013年(監督:パク・フンジョン、主演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン)
裏社会・組織抗争を描いた硬派のクライムアクション。登場人物の裏切りと心理戦、緊迫の会話劇が中心ですが、クライマックスの銃撃戦や局面の転換は見応え充分。マフィア映画のファンに特におすすめです。ベルリン(The Berlin File)/2013年(監督:リュ・スンワン、主演:ハ・ジョンウ)
国際スパイ映画としての完成度が高い一作。ベルリンを舞台にした情報戦と肉弾戦が同居し、銃撃戦・格闘・暗殺といった要素をバランス良く配置しています。脚本の緊張感と演出の切れ味が魅力。ベテラン(Veteran)/2015年(監督:リュ・スンワン、主演:ファン・ジョンミン、ユ・アイン)
警察側の小さな善と、権力を傲慢に振るう悪の対決をコミカルさも交えて描いた娯楽作。ユ・アイン演じる冷酷な若き御曹司とファン・ジョンミンの熱演による対立構造が爽快で、エンタメ性重視の観客に向きます。釜山行(Train to Busan)/2016年(監督:ヨン・サンホ、主演:コン・ユ)
ゾンビパニックとアクションを融合させたヒット作。列車という閉鎖空間で展開されるサバイバル劇は、スピード感と人間ドラマが高次元で同居します。新しいタイプのアクション映画として世界的に高い評価を受けました。追撃者(The Chaser)/2008年(監督:ナ・ホンジン、主演:キム・ユンソク)
元探偵の主人公が連続殺人鬼を追うサスペンス。生々しい追跡と息詰まる駆け引き、ラストまで続く緊張感が特徴で、派手さは抑えられているものの心理的衝撃が強い作品です。ノー・ティアーズ・フォー・ザ・デッド(No Tears for the Dead)/2014年(監督:イ・ジョンボム、主演:チャン・ドンゴン)
プロの殺し屋とその葛藤を描いた作品で、静かな描写と激しい銃撃戦のコントラストが印象的。復讐と贖罪をテーマにしたドラマ性の強いアクション映画として評価されています。白頭山(Ashfall/백두산)/2019年(監督:イ・ヘジュン、キム・ビョンセオ、主演:ハ・ジョンウ、マ・ドンソク)
災害映画にアクション要素を加えた大作。大規模セットとVFXを活用した迫力ある映像、レスキューや軍事行動を描くアクションシーンが見所です。エンタメ性の高い大作志向の作品。
注目の監督・俳優
アクション面で特に注目すべき制作者と俳優を簡単に挙げます。
- 監督:リュ・スンワン(実戦的なアクションとユーモア)、キム・ジウン(ビジュアルと狂気の描写)、ナ・ホンジン(サスペンスの緊張感)、パク・チャヌク(復讐劇の美学)
- 俳優:マ・ドンソク(ドン・リー)(圧倒的なフィジカル)、イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、ウォンビン(カリスマ性の高い演技)
作品選びのコツと視聴時の注意点
どの作品を選ぶかは目的によります。派手な格闘と銃撃戦が見たいなら「悪女」「アジョシ」「犯罪都市」を、心理的な緊張や倫理的問いを楽しみたいなら「オールドボーイ」「悪魔を見た」「追撃者」を選ぶと良いでしょう。暴力描写やショッキングな描写が強い作品も多いので、苦手な方は事前に内容紹介や年齢指定を確認してください。
まとめ:まずはこの3本から観ると良い
- 『アジョシ』:復讐×ヒューマンドラマの完成形
- 『悪女』:現代的で洗練されたアクション体験
- 『釜山行』:ジャンル横断型のスピード感あるエンタメ
韓国アクション映画はジャンルの幅が広く、重厚なドラマ性と高い映像クオリティを併せ持ちます。本稿で挙げた作品を入口に、監督や俳優を追いかけるとさらに面白さが広がるはずです。
参考文献
- The Man from Nowhere - Wikipedia
- The Villainess - Wikipedia
- The Good, the Bad, the Weird - Wikipedia
- Oldboy (2003 film) - Wikipedia
- I Saw the Devil - Wikipedia
- The Outlaws - Wikipedia
- New World (2013 South Korean film) - Wikipedia
- The Berlin File - Wikipedia
- Veteran (film) - Wikipedia
- Train to Busan - Wikipedia
- The Chaser (2008 film) - Wikipedia
- No Tears for the Dead - Wikipedia
- Ashfall - Wikipedia


