Ovation(オベーション)徹底解説:ラウンドバックが生んだ革新と音色の真実
Ovationとは何か — 簡潔な紹介
Ovation(オベーション)は、丸型の複合素材製バック(いわゆるラウンドバック)を特徴とするアコースティック/エレクトリックギターのブランドです。創業者は航空工学のバックグラウンドを持つチャールズ・ケイマン(Charles Kaman)で、1960年代に従来の木製ギターとは一線を画する設計を持ち込んだことで知られます。伝統的なスプルースやローズウッドの“木の箱”とは異なる形状と素材選択により、ステージでの実用性(音の指向性やフィードバック対策)と一部独特の音色を実現しました。
発明の背景と歴史的経緯
創業者チャールズ・ケイマンは航空機メーカーで得た複合材料や成形技術をギターに応用しようと考えました。Ovationが提案したのは、薄い木材(トップ)は従来通り使用する一方で、背面を強化プラスチックのボウル状(ラウンドバック)にすることで耐久性と音響特性を高めるという発想です。1960年代後半から1970年代にかけて、Ovationは民生用・プロ用の両面で注目を集め、ステージ楽器として広く普及していきました。
ラウンドバック(Lyrachord)と構造の特徴
Ovationの“顔”とも言えるラウンドバックは、Lyrachord(ライラコード)と呼ばれるガラス繊維を主体とした複合樹脂や成形材を用いて成形されています。この構造にはいくつかの利点があります:
- 指向性と音の投射力:ボウル状の後部が音を前方に集めやすく、ステージでの出力感が得られやすい。
- フィードバック耐性:電気的に増幅した際のハウリング(フィードバック)が起きにくい特性があるとされ、ライブ用途に有利。
- 耐久性・気候変動への強さ:木材のような収縮・膨張が相対的に少なく、湿度変化に強い。
一方で、ラウンドバックは伝統的な木製バックが生む“複雑な共鳴”や温かみのあるハーモニクスと異なる音色傾向を示すため、好みが分かれます。
トップ材・サウンドホール配置・Adamas系の展開
Ovationはトップ材としてはスプルースやシトカスプルースなどの木材を用いるモデルが一般的ですが、1970年代以降にはカーボンや複合素材を採用した高級系モデル(Adamasシリーズ等)も登場しました。Adamas系はトップの強化や特殊なサウンドホール配置(メインのサウンドホールをボディ上部に複数配置するなど)によって、指向性や明瞭さをさらに追求した設計が特徴です。
エレクトロニクスとライブ対応
Ovationは早い段階からピエゾピックアップやオンボードプリアンプを搭載したモデルを提供してきました。これによりピックアップ直結での音作りがしやすく、ステージでの再現性が高いことが支持されました。プリアンプはモデルや年代によって形状や機能が異なり、イコライジングやノッチフィルターなどの機能を持つものもあります。
代表的なモデルラインとその性格
- Balladeer / Celebrity系:比較的手頃な価格帯から中級モデル。ラウンドバックの基本的な設計を体感できる。
- Deacon / Viper系:外観やピックアップを強化したエレクトリック向けのバリエーション。
- Adamas系:高級機種。特殊トップや複数サウンドホールの採用により高い明瞭度とプロ用途の音色を実現。
- Elite / Legend系:近年のモデルで、素材やプリアンプの改良を重ねた現代的な仕様。
モデル名や仕様は年代・市場向けに幅があるため、購入時は個別の仕様確認が重要です。
音色と演奏用途の実際
ラウンドバックの音色は一般に“直進性のある投射”や“クリアでフォーカスされた中高域”がイメージされます。アコースティックフィンガースタイルからストラム、バッキング用途まで幅広く使えますが、伝統的な木製の深いロー・ミッドの豊かさや自然な拡散感を好むプレイヤーにはやや硬く感じられることもあります。
ライブ用途では特に有利で、ピエゾ+プリアンプとの相性がよくハウリング対策がしやすいため、ツアー用のメインギターとして選ばれることが多いのが特徴です。
メンテナンスと中古市場での評価
ラウンドバックは衝撃に強く、ネック周りの調整やトップの状態確認ができれば長期間使用できます。リフィニッシュやラッカーの経年変化による風合い変化を楽しむ“ヴィンテージ・ウッド”派とは異なる価値観があり、年代物のOvationはコレクターズアイテムにもなっています。中古市場ではモデル・年代・搭載エレクトロニクスの状態で価格帯が大きく変わるため、購入前にシリアルと仕様の確認をおすすめします。
賛否と評価:どんなプレイヤーに向くか
Ovationは次のようなプレイヤーに向いています:
- ライブでの安定した音作りを重視するミュージシャン。
- 湿度変化が厳しい環境でギターを使用する必要がある人。
- 明瞭なサウンドでカッティングやコードの輪郭をはっきり出したいプレイヤー。
反対に、オーガニックで温かみのある“木の鳴り”を最重視するアコースティック愛好家には合わない場合もあります。最終的には実際に試奏して好みの音色を確認することが重要です。
まとめ(コラムの結び)
Ovationは、従来のアコースティックギター概念に挑んだブランドであり、ラウンドバックや複合素材の採用によって“用途に適した音”を追求してきました。ステージ志向の実用性、安定した耐久性、そして独特の音色は多くの場面で有用です。購入や扱いの際はモデルごとの仕様差を把握し、試奏と状態確認を念入りに行うことをおすすめします。
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参考文献
- Ovation Guitars(公式サイト)
- Ovation Guitars - Wikipedia
- Charles Kaman - Wikipedia
- A Brief History of Ovation(Reverb 記事)


