ストレンジャー オブ パラダイス FF オリジン(2022)徹底解説:戦闘・ジョブ・賛否の理由を深掘りする

概要:異色の『ファイナルファンタジー』スピンオフ

『ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン』(以下:SoPFFO)は、スクウェア・エニックスがパブリッシュし、Team Ninja(コーエーテクモゲームス系)と協力して制作されたアクションRPGで、2022年3月18日にPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Steam)で発売されました。シリーズの正統派続編ではなく、“ファイナルファンタジーI(FFI)”の世界観やモチーフを再解釈したスピンオフ的作品であり、ハードなアクションとクラシックなジョブ(職業)システムを組み合わせた点が最大の特徴です。

開発と背景:なぜTeam NinjaとFFが組んだのか

スクウェア・エニックスは長年にわたりFFシリーズの多様化を図っており、本作は“シリーズの土台(FFI)”を別視点で描く実験的な試みと位置づけられます。Team Ninjaは高難度アクションや緻密な手応えのある戦闘設計で知られるスタジオであり、同スタジオのノウハウをFFの要素に注ぎ込むことで、ファン層の拡大と新しい遊び方の提案を狙いました。発表時から従来のFFファンとアクションゲームファンの双方に強い関心を呼び、発売後は賛否両論の評価を生み出しました。

ゲームプレイの核:ソウルライク×ジョブシステム

SoPFFOは“手応えのあるアクション”と“自由度の高いジョブカスタマイズ”を両立させた作りです。敵の攻撃パターンを読み、回避やカウンター、スキルの組み合わせで戦う点は“ソウルライク”な要素と評されますが、一方でカメラワークや移動の機敏さ、火力の出し方などTeam Ninja流の“アクション性”が色濃く出ています。

  • ジョブ(クラス)システム:伝統的なFFシリーズの職業(ナイト、黒魔道士、白魔道士など)をベースに、装備やスキルでジョブを切り替えられる自由度が魅力。レベルや装備で特性が変化し、同じキャラクターでもまったく違う戦闘スタイルが可能です。
  • 装備と育成:武器や防具だけでなく、スキルツリーやアビリティの組み合わせでキャラクターをカスタマイズ。装備を替えることでジョブの成長方向が変わり、ビルド構築の楽しみが深いです。
  • 高い難易度と達成感:ボス戦や強敵との対峙は緊張感があり、一度の戦闘で学ぶことが多い設計。上手く攻略できたときの達成感は大きい反面、繰り返し戦う必要がある場面での作業感を指摘する声もあります。

戦闘の細部:リスクとリターンの設計

戦闘は“一撃一撃の重み”と“短時間での判断”が求められます。軽攻撃・重攻撃・回避・ガード(あるいはパリィに近い要素)を使い分け、敵の挙動に合わせてスキルやジョブアビリティを発動します。ボスには段階的なギミックがあり、属性や耐性を見極めることが安定攻略の鍵です。

また、マルチプレイによる協力プレイも実装されており、仲間と役割分担してボスに挑むことで、ソロプレイとは異なる戦術が楽しめます(オンラインが主体の協力システムで、完全ソロでも遊べます)。

ストーリーと演出:賛否が分かれた物語表現

物語はFFIの“混沌(Chaos)”や“光の戦士”といったモチーフを引用しつつ、ダークで粗削りな人物描写を前面に出した脚色が施されています。従来のFFらしい叙情的な物語よりも、登場人物の粗暴さやシニカルな台詞回しが強調されており、その作風に戸惑うファンも多く見られました。物語は意図的に謎を残す構成や衝撃的な展開を用いており、評価はストーリー重視のプレイヤーと戦闘重視のプレイヤーで大きく分かれます。

ビジュアルと音楽:伝統と変化のバランス

グラフィック面ではTeam Ninjaらしいキャラクターデザインの“力強さ”と、FFの世界観を想起させるダークファンタジー調の演出が融合しています。光と影の扱いやエフェクト、敵のサイズ感などは戦闘の緊張感を高める方向で作り込まれています。

音楽は既存のFFテーマの引用やアレンジと新規楽曲の組み合わせで、原作へのリスペクトと新しい表現の両立を狙っています。戦闘曲のテンポ感やボス戦での盛り上がりは好評ですが、全体のトーンが作品のダークな方向性と強く結びついているため、人によって好みが分かれます。

評価と反響:なぜ賛否が出たのか

発売後の評価は“戦闘を高く評価する層”と“物語や演出面に不満を持つ層”に二分されました。多くのレビューでは以下のような点が指摘・評価されています。

  • 肯定的ポイント:戦闘の手応え・ジョブの自由度・装備によるビルド構築の奥深さ・爽快感のある一部ボス戦。
  • 否定的ポイント:脚本やキャラクター描写の好みが分かれる点、反復プレイの多さ(作業感)、発売前のトレーラーと実際のゲーム体験の印象差。

マーケティングやトレーラーの表現が物議を醸したこともあり、ゲームそのものの評価とは別に“作品としての受け止め方”に議論が生まれました。この点は同作が単なるゲーム作品以上に“ブランド表現の実験”として見られたことを示しています。

攻略のコツ:序盤〜中盤で意識したいポイント

  • ジョブの特性を早めに把握する:各ジョブの強み・弱みを理解して、状況に応じてジョブ切り替えを行うと安定感が増します。
  • 装備をこまめに見直す:武器や防具の性能差が戦闘の快適さに直結するため、ドロップや購入品は逐次チェックしましょう。
  • 回避と観察を優先する:無理に攻め込むよりも敵の行動パターンを覚え、最適なタイミングで反撃するのが効率的です。
  • オンライン協力を活用する:難しいボスは協力プレイで役割分担すれば突破しやすくなります。

その後の影響と位置づけ

SoPFFOは「FFブランドでできることの幅」を広げた作品のひとつとして評価できます。従来のナラティブ重視のシリーズ作と並行して、アクション寄り・実験的な作品を出すことでブランドの振れ幅を示しました。商業的な成功や失敗の評価は地域やタイミングによって変わりますが、今後のFFシリーズで異色コラボや外部スタジオとの連携が続く際の参照点になったことは間違いありません。

総評:誰にお勧めか、買う前のチェックポイント

SoPFFOは次のような人に向いています。まず、アクションに重きを置き“手応えのある戦闘”を楽しみたい人、ジョブや装備でビルドを練るのが好きなプレイヤー。逆に、物語性や登場人物の心理描写を重視するプレイヤー、あるいはシームレスなRPG体験を期待する人には合わない可能性があります。購入前にはトレーラーだけでなく、実際のプレイ動画やレビューを確認して自分の好みと合っているか確認することをお勧めします。

まとめ

『ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン』は、FFという大きな看板の下で敢えて挑戦的な方向を選んだ作品です。戦闘やカスタマイズの深さは多くのアクションゲーマーから高評価を得る一方、物語表現や演出の取捨選択は賛否を生みました。FFというブランドの多様性を問う一作として、ゲーム史における興味深い試みであると言えるでしょう。

参考文献