十六分休符のすべて:表記・演奏・編曲・DAWでの扱いを徹底解説
はじめに:十六分休符とは何か
十六分休符(日本語:じゅうろくぶんきゅうふ、英語:sixteenth rest、ブリティッシュ英語では semiquaver rest)は、全音符を基準にした音価のうちの1/16の長さの「休符(音のない時間)」を示す記譜記号です。四分音符(1拍)を基準にする拍子、たとえば4/4拍子では、十六分休符は1拍を4等分したうちの1つに相当し、1/4拍(0.25拍)の長さを持ちます。テンポが速ければ実際の長さは短く、遅ければ長くなるため、正確な時間はテンポ(BPM)に依存します。
表記と視認性:記号の形と他の休符との違い
十六分休符の記号は、旗(フラグ)が2本ついた休符の形をしています。これを視覚的に区別するための基本は以下の通りです。
- 全休符:五線の上または下にぶら下がる四角形。1小節全体の休み(4/4での4拍)。
- 二分休符:全休符と似た形だが位置が違う(1/2小節)。
- 四分休符:曲線状の“縦長のジグザグ”(1拍)。
- 八分休符:1本の旗またはフック(1/2拍)。
- 十六分休符:2本の旗またはフック(1/4拍)。
複数の短い音符(または休符)が連続する場合、音符は複数の横梁(ビーム)で結ばれますが、休符は通常縦方向に単体の記号で表記されます。視認性の観点から、譜面上では拍のまとまりが分かるように休符の配置を整えることが重要です(後述)。
拍分けとカウント:実践的な読み方
十六分音符とその休符を読む際の一般的なカウント方法は、英語圏でよく使われる「1 e & a(ワン イー アンド エイ)」という四分割の発声です。4/4拍子の1拍目を「1」の位置、同拍の二つ目の十六分を「e」、三つ目を「&」、四つ目を「a」と読んでいきます。これにより、十六分休符がどの位置に現れるかを正確に把握できます。
例:1拍目の最初の十六分が休符で、残り3つが音の場合、カウントは「(休) e & a」となり、演奏上は最初の1/4拍は無音、残りを演奏します。
譜面浄書・編曲上のルールと慣例
譜面の読みやすさを保つため、休符は拍構造に合わせてグループ化するのが一般的です。たとえば4/4拍子では各小節を4拍に分け、十六分の並びは各拍ごとにまとまるように記譜します。こうすることで、演奏者が拍を即座に把握しやすくなります。
さらに重要なのは多声部の扱いです。同じ五線上で二つ以上の声部(右手と左手、またはメロディと伴奏)が独立している場合、各声部の休符はその声部のリズムを示すためにそのまま記譜されます。これにより、片方が休みでももう一方が鳴っている状況が視覚的に明確になります。古典的な浄書ルール(たとえばElaine Gould『Behind Bars』など)では、横梁や休符の配置、テンポ記号近傍のレイアウト等に細かな勧告が示されています。
演奏上の解釈:リズム感とシンコペーション
十六分休符は単なる“無音”ではなく、音楽のニュアンスやフレージングを作る重要な要素です。シンコペーション(表拍と裏拍のずらし)やアクセントの操作により、休符の位置が音楽的効果を大きく左右します。ジャズやポピュラーでは、十六分のグループをスイングさせる(トリプレット感に変える)場合があり、その際は休符の長さや位置も演奏上調整されます。
DAW・MIDIでの扱い
デジタル音楽制作(DAW)やMIDIの世界では、十六分休符は「ノートオン/ノートオフイベントの間の空白」またはグリッド上のゼロ・ベロシティ区間として表現されます。MIDIのPPQ(Pulses Per Quarter note)設定により、十六分は1/4拍に相当するティック数となります。たとえばPPQ=480の場合、四分音符1拍が480ティックなので、十六分は480÷4=120ティックです。DAWのクオンタイズ機能やグリッド表示で「1/16」を選べば、十六分の位置にノートや休符を正確に合わせられます。
実践的な練習法とエクササイズ
十六分休符を含むパッセージを正確に演奏するための練習法は以下の通りです。
- メトロノームの1拍ごとに「1 e & a」と発声しながら演奏する。
- 休符箇所を声で「シャ」(休みを示す擬音)と発声してリズムを体に入れる。
- ゆっくりとしたテンポから始め、安定してきたら段階的にテンポを上げる。
- スウィングやレガートなど表現上の変化を加える場合は、休符の前後で重心をどう扱うか意識する(短めにする、延ばすなど)。
注意点:よくある誤解とミス
譜面上での誤りや演奏上のミスとしては、以下が挙げられます。
- 拍の境界を越えて休符を不適切に分割することで、拍感が曖昧になる。
- 多声部譜で声部を混同して休符を見落とす(片方の声部が休んでいることを認識できない)。
- ジャズ等でスイングさせる際、本来の十六分の等価性を保たずにリズム崩壊を招く。
まとめ:十六分休符の価値
十六分休符は短いながらもリズムの輪郭を決め、フレーズに間(ま)を作り、表情を与える重要な記号です。譜面作成時には拍ごとのグルーピングと多声部の明確化を心がけ、演奏時にはカウントと発声を併用して体にリズムを染み込ませることが上達の近道です。DAWやMIDIではグリッドとPPQを理解することで正確な休符処理が可能になります。
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参考文献
- 十六分音符 - Wikipedia(日本語)
- Semiquaver rest - Wikipedia(英語)
- Elaine Gould, Behind Bars: The Definitive Guide to Music Notation(Oxford University Press)
- MIDI Association - MIDI Message Specification(MIDI 1.0)
- MuseScore Handbook - Rests(譜面作成ソフトの実践的ガイド)
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