Fallout 4 完全解析:戦闘・クラフト・派閥を深掘りするコラム
はじめに:Fallout 4とは何か
Fallout 4は、ベセスダ・ゲーム・スタジオが開発し、2015年11月10日にPC/PlayStation 4/Xbox One向けに発売されたオープンワールドRPGです。舞台は核戦争後のアメリカ東海岸、主にボストン周辺(コモンウェルス)で、プレイヤーはVault 111から冷凍睡眠から目覚めた“Sole Survivor”(自分)を操作し、誘拐された息子シャウン(Shaun)を探すことから物語が始まります。エンジンは改良されたCreation Engine、メインプロデューサーはトッド・ハワードで、シリーズの伝統を継承しつつクラフト要素や拠点(セトルメント)構築を大幅に強化した点が特徴です。
世界観と時代背景
物語の時点は西暦2287年で、核戦争(2077年)から約210年後の世界です。コモンウェルス(ボストン)は荒廃と再生が混在するフィールドとして描かれ、実在のランドマーク(ボストン・コモン、ビーコンヒル、ケンブリッジなど)がゲーム内にアレンジされて登場します。放射能汚染、変異体、廃墟の中で生き延びた人々や団体が、技術・資源・理想を巡って衝突するのが本作の主題の一つです。
主要登場勢力とストーリー概観
Fallout 4のストーリーは単純な善悪二元論に収まらない構造を持っています。中心的な勢力は以下のとおりです。
- Institute(インスティチュート): 高度なテクノロジーを持つ地下組織。合成人間(synth)を制作しており、その倫理と存在意義が物語の核となります。主人公の息子シャウンはインスティチュートの中心的人物(後に“Father”と呼ばれる)として関わります。
- Brotherhood of Steel(ボロシスター): 高度技術を回収・管理しようとする軍事組織。テクノロジーの危険性を重視し、しばしば過激な手段をとります。
- Railroad(レールロード): 合成人間の自由を求める地下抵抗組織。合成人間を「人間として」扱う立場を取ります。
- Minutemen(ミニットメン): ローカルな民兵組織で、プレイヤーの関与により再興・指導を行っていくことで、地域コミュニティを守る役割を担います。
ゲームはこれらの勢力と関わりながら進行し、最終的な選択はプレイヤーの価値観によって大きく分岐します。インスティチュートのテクノロジーや合成人間の扱い、地域社会の再建といったテーマは、プレイヤーに倫理的判断を迫ります。
ゲームシステムの核:戦闘・V.A.T.S.・クラフト
Fallout 4ではシリーズ伝統のS.P.E.C.I.A.L.(ステータス)とパーク(Perk)による成長要素を維持しつつ、以下のシステムが中心です。
- 戦闘とV.A.T.S.の進化: 従来のターン風V.A.T.S.がリアルタイムに近い形で統合され、選択した部位にスローモーションで狙いを定める仕様になりました(確率表示は残る)。これによりFPS的な瞬時の判断と確率的計算が融合しています。
- 武器・防具の改造: 武器・防具はパーツ単位で改造でき、多彩なビルドが可能です。レシピと素材を集めて作り替えることで、同じ銃でも性能や見た目が大きく変わります。
- 拠点(セトルメント)構築: プレイヤーはワークショップモードで街づくりを行えます。食料・水・防御・電力・居住スペースを整備し、ローカルリーダーPerkで供給線を結ぶことで複数拠点間の資材共有が可能になります。
- サバイバル要素(Survival Mode): 後のアップデートで導入されたSurvivalモードでは、ファストトラベル不可、HPの回復が即時ではない、病気や睡眠といった要素が強化され、RPG的な緊張感が増します。
仲間(コンパニオン)システムとNPCの掘り下げ
本作は豊富なコンパニオンを持ち、各キャラクターと会話やクエストを通じて親密度(Affinity)を高めていくシステムがあります。主なコンパニオンにはNick Valentine(探偵の合成人間)、Piper(記者)、Preston Garvey(ミニットメン)、Curie(元Miss Nanny → 合成人間へ変化するクエストあり)などがいます。各コンパニオンは固有のバックストーリーと好感度変化のトリガーを持ち、好感度が高まると派閥クエストや固有の報酬が開放されることがあります。
DLCと追加コンテンツ:世界を広げる拡張群
発売後、Fallout 4は多数のDLCで拡張されました。主なDLCは以下の通りです。
- Automatron(2016年3月): ロボットに関するクエストとロボット作成要素を追加。
- Wasteland Workshop(2016年4月): セトルメント用の追加アイテムや動物・敵の罠など。
- Far Harbor(2016年5月): 新しいストーリー重視の大型拡張。メイン地域はメイン州のMount Desert Islandをモデルにした島で、インスティチュートとは別の暗い倫理問題を提示します。
- Contraptions Workshop(2016年6月): 機械部品や組み立て用の中間装置を追加、工場的な造り込みが可能に。
- Vault-Tec Workshop(2016年7月): 自分のVault(地下シェルター)を設計・運営できるDLC。
- Nuka-World(2016年8月): レイダーテーマの遊園地を舞台にした大型拡張で、かなり過激な選択肢が増えます。
これらに加え、Creation Clubを通じた公式サポートや多くのコミュニティ制作MODが存在し、プレイ体験は現在でも拡張可能です。
評価と批判点:長所と短所
Fallout 4は高い完成度とスケール、改造・拠点構築の自由度で多くの支持を集めました。一方で批判もあり、代表的なものは以下です。
- ストーリーテリングの単純化と会話の枝分かれの浅さ(初めて声を持つ主人公の台詞が賛否を生んだことも影響)。
- フェイシャルアニメーションやNPCのモーションに関する技術的批判。
- Creation Club導入や一部の有料コンテンツに対するコミュニティの反発。
しかし、Modコミュニティの活発さや多様な遊び方ができる点、DLCによる世界観拡張は高く評価されており、発売から年を経ても根強い人気を保っています。
攻略的視点:プレイのコツとリプレイ性
Fallout 4は自由度が高いため、以下の点を意識すると快適に遊べます。
- 早めにLocal Leader系のPerkを取り、拠点間の供給線を確立すると資材管理が楽になります。
- 武器改造は万能ではなく、特定のビルド(近接、ステルス、銃撃)に合わせた素材集めを行うと効果的です。
- Survivalモードは序盤が厳しいが、没入感や緊張感を強めたいプレイヤーには強くおすすめします。
- 派閥選択はストーリーと終盤展開を大きく変えるため、セーブデータを分けて複数の路線を試すと良いでしょう。
なぜ今プレイするのか:時代を経た魅力
近年のゲームはストリームライン化する傾向がありますが、Fallout 4は大規模オープンワールドとプレイヤーの意志を反映する自由度を両立しており、Modを導入することで最新のグラフィック改善やUI改修、追加クエストを楽しめます。新規プレイヤーはDLCやコミュニティMODを組み合わせることで、より深く多様な体験を得られます。一方でシリーズファンにとっては、インスティチュートや合成人間といったシリーズを通じたテーマの継承と拡張を確認できる作品でもあります。
まとめ
Fallout 4は、膨大な探索要素、拠点づくりとクラフト、選択が意味を持つ派閥構成などを備えた作品です。批判点はあるものの、発売から年月が経過しても活発なコミュニティとMOD、DLCの存在により遊び続ける価値が高いタイトルと言えます。初めてシリーズに触れる人も、復帰プレイヤーも、それぞれのプレイスタイルで楽しめる余地が多く残されています。
参考文献
- Fallout 4 - Wikipedia
- Fallout 4 | ベセスダ公式サイト
- Fallout 4 on Steam
- IGN - Fallout 4 Review
- PC Gamer - Fallout 4 Review
- Fallout 4 DLC Release Information - Bethesda


