富士フイルム X-T4 完全ガイド:画質・手ブレ補正・動画性能まで徹底解説
イントロダクション:X-T4がもたらした変化
富士フイルム X-T4は2020年に発表されたAPS-Cミラーレス機で、シリーズ伝統のクラシックな操作系を維持しつつ、静止画・動画双方で大きな機能向上を果たしたモデルです。X-T3から継承した高画質センサーと高速処理をベースに、ボディ内手ブレ補正(IBIS)、可変式モニター、そして動画の内部10ビット記録などが加わり、ハイブリッド用途で強力な選択肢となりました。本稿では仕様と実用面を深掘りし、購入検討者や既存ユーザーに向けた実践的なポイントを解説します。
主要スペックの概観
- センサー:26.1MP X-Trans CMOS 4(APS-C)
- 画像処理:X-Processor 4
- 手ブレ補正:5軸IBIS(メーカー公称で最大約6.5段の補正効果)
- 連写:機械式最高約15コマ/秒、電子シャッターで最高約20コマ/秒(モードによる)
- 動画:4K(DCI/UHD)最大60p、内部10-bit(4:2:0 HEIF/HEVC)録画、外部記録で4:2:2 10-bit
- ファインダー:約369万ドットEVF(有機EL)
- 液晶:3.0型バリアングル(バリアングル=左右・縦横可動)約162万ドット
- 記録媒体:デュアルSDカードスロット(UHS-II対応)
- バッテリー:NP-W235(X-T3比で容量が増加、実撮影での運用時間向上)
- 防塵防滴:マグネシウム合金ボディ+密閉構造
画質とセンサー特性
X-T4はX-Trans CMOS 4センサーとX-Processor 4の組み合わせにより、解像感と高感度耐性のバランスが良好です。常用ISO感度はISO160〜12800(拡張で80〜51200)で、低感度側の拡張により長秒露光や低ノイズ撮影に柔軟性があります。富士フイルムのフィルムシミュレーション(Velvia、Classic Chrome、Eternaなど)はそのままカメラ内で高画質を生かした色表現を実現し、JPEG直出しを重視するスナップやストリート撮影でも魅力的な出力が得られます。
オートフォーカスと連写性能
AFは位相差画素を活用するハイブリッド方式で、高速・高精度の被写体捕捉が可能です。発表時は動体追従性能も評価され、顔/瞳検出の精度はポートレートやイベント撮影で有用です。ファームウェア更新により動物検出(犬・猫・鳥など)の精度向上も提供され、野生動物やペット撮影の適用範囲が広がりました。
連写は機械式シャッターで最大約15コマ/秒、電子シャッターでブラックアウトの少ないモードを用いて最大約20コマ/秒が可能です(撮影モードや解像度・記録形式により変動)。RAW連続撮影のバッファ耐性は強化されており、実用上の連写性能はスポーツや動きの早い被写体にも対応します。
動画性能:映画的な運用が可能に
動画面ではX-T4が大きく評価されたポイントの一つです。内部での4K/60p録画(10-bit 4:2:0 HEVC)は、カラーグレーディング耐性を高めると同時にファイル管理のバランスも取られています。外部レコーダー接続時には4:2:2 10-bitでの記録が可能になり、プロダクション用途でも利用可能な画質を実現します。さらに、最大240fpsのハイスピード撮影(フルHD)を利用すればスローモーション演出も行え、映像制作に幅を与えます。
富士フイルムのフィルムシミュレーションを動画に適用できる点も独自性があり、撮って出しで映像の表情を作りやすいのはクリエイターにとって大きな利点です。なお、長時間撮影時の発熱対策やレンズ選択(熱やバッテリー消耗を抑えるため)には注意が必要です。
IBIS(ボディ内手ブレ補正)の実力と実用上の注意点
X-T4はシリーズ初の本格的なボディ内手ブレ補正を搭載し、メーカー公称で最大約6.5段の補正効果をうたいます(使用レンズや焦点距離、測定条件に依存)。これにより手持ちでの低速シャッター撮影や、望遠撮影時のブレ軽減、動画撮影時の安定化に大きく貢献します。
ただし、IBISの効果はレンズの光学手ブレ補正(OIS)との併用や焦点距離、撮影スタイルによって変わるため、メーカー公称値は最適条件での評価である点に留意してください。また、ジンバル等の外部安定化機器との組み合わせではIBISをオフにする運用が推奨される場合もあります。
ボディ・操作性:フィルムカメラの流れを継承した設計
X-T4は上面の物理ダイヤル(シャッタースピード、ISO、露出補正)やクラシックなグリップ形状など、富士フイルムらしい操作系を維持しています。バリアングル液晶は自撮りやローアングル撮影、動画撮影時のモニタリングに便利で、Vlogやライブ配信にも適しています。堅牢なマグネシウム合金ボディとシーリングにより、屋外での撮影にも耐えうる作りになっています。
バッテリーと運用時間
X-T4はNP-W235バッテリーを採用し、従来機(NP-W126S搭載機)と比べて容量が向上しました。これにより動画撮影や連続撮影での実用時間が改善されています。とはいえ、4K/60pや高フレームレート撮影、寒冷地での使用などではバッテリー消費が早くなるため、予備バッテリーや縦位置グリップ(VG-XT4)などの活用を推奨します。
レンズラインナップとアクセサリー
Xマウントは豊富な純正レンズとサードパーティ製レンズが揃っており、風景、ポートレート、スナップ、報道、動画など幅広く対応できます。特にAPS-C専用のXFシリーズはコンパクトながら高光学性能を持つレンズが多く、X-T4の性能を引き出す組み合わせが可能です。アクセサリーとしては縦位置グリップ、外部マイク、SSDレコーダー、NDフィルターなどが用途に応じて有用です。
実写での運用アドバイス
- スチル撮影:IBISと高感度特性を活かし、手持ちでの夜景や室内撮影に挑戦。フィルムシミュレーションでの色作りを事前に決めておくとRAW現像の方向性が定まります。
- 動体撮影:AFモードは追従性重視で設定し、シャッタースピードは被写体速度に応じて十分に確保する。電子シャッター利用時のローリングシャッター(歪み)には注意。
- 動画撮影:10-bitで撮影し、外部レコーダー併用で4:2:2収録することで編集耐性が向上。熱対策として長時間撮影時はインターバルでの休止や外部給電を検討。
購入のポイントとライフサイクル
X-T4は多機能で汎用性が高く、静止画・動画のどちらも重視するユーザーに適しています。一方で、最新機(X-T5など)の登場やミラーレス市場の進化を踏まえ、自分の用途(例えば高解像重視か動画重視か)と予算、将来的なレンズ投資を考慮して検討することが重要です。中古市場でも人気が高く、状態の良い個体を狙うのも一つの選択です。
まとめ
富士フイルム X-T4は、クラシックな操作性と最新機能(IBIS、動画10-bit収録、高速連写など)をうまく両立させたハイブリッドカメラです。スチル・動画の双方で高い実用性を持ち、フィルムシミュレーションを活かした表現力は富士フイルム機ならではの魅力です。用途に応じたレンズ選びや運用方法を整えれば、長く頼れる相棒となるでしょう。
参考文献
DPReview: Fujifilm X-T4 Review
Imaging Resource: Fujifilm X-T4 Review
投稿者プロフィール
最新の投稿
用語2025.12.21全音符を徹底解説:表記・歴史・演奏実務から制作・MIDIへの応用まで
用語2025.12.21二分音符(ミニム)のすべて:記譜・歴史・実用解説と演奏での扱い方
用語2025.12.21四分音符を徹底解説:記譜法・拍子・演奏法・歴史までわかるガイド
用語2025.12.21八分音符の完全ガイド — 理論・記譜・演奏テクニックと練習法

