The Chainsmokersの軌跡:EDMからポップへ、代表曲と影響を徹底解説

The Chainsmokersとは──出自とブレイクの瞬間

The Chainsmokersはアメリカ出身の音楽デュオで、Alex PallとAndrew Taggartの二人組として知られます。2012年前後に活動を開始し、クラブ向けのEDMリミックスやオリジナルで存在感を示した後、2014年の「Selfie」のヒットを契機に広く認知されるようになりました。以降、ポップ寄りのサウンドに舵を切りながらも、EDM的なビートやドロップの要素を残した楽曲で商業的成功を収めています。

初期の活動と「Selfie」

デュオはニューヨークを拠点に活動を開始し、クラブシーン向けのリミックス仕事やオリジナルのEPを発表して経験を積みました。2014年にリリースされた「Selfie」はSNS時代の風刺的な歌詞とキャッチーなサウンドが話題を呼び、たちまち注目を集めることとなります。「Selfie」は一時的なブーム曲としての評価もありましたが、彼らにとっては大勢のリスナーと業界関係者の目に触れる重要なきっかけになりました。

商業的ブレイクと代表曲群

2015年の「Roses」(feat. Rozes)や2016年の「Don’t Let Me Down」(feat. Daya)、そして同年に発表された「Closer」(feat. Halsey)は、彼らを世界的なトップアーティストへ押し上げました。「Closer」は特に商業的に大成功を収め、米Billboard Hot 100で長期間1位を維持し、ポップ・カルチャーに大きな影響を与えました。「Don’t Let Me Down」はグラミー賞(Best Dance Recording)を受賞しており、業界からの評価も得ています。

アルバムと音楽的変遷

デビュー・フルアルバム『Memories...Do Not Open』(2017年)は、EDMフェス的な要素を残しつつポップに寄せたプロダクションでリスナー層を拡大しました。その後も断続的にシングルを重ねながら、2018年から2019年にかけてはシングル主導のリリース戦略やEP的な作品群を通じて音楽性を多様化。2019年の『World War Joy』や2022年の『So Far So Good』など、アルバムごとにポップ、エレクトロニック、インディー的な要素を取り入れ、よりボーカル主導で歌詞中心の楽曲構成へとシフトしています。

ソングライティングとプロダクションの特徴

The Chainsmokersの楽曲は、キャッチーなメロディライン、シンプルながら効果的なドロップ、そして現代的な歌詞表現が特徴です。彼らは外部のシンガーやソングライター(例:RozesやEmily Warren、Halseyなど)と頻繁にコラボレーションし、共同制作を通じて楽曲の幅を広げてきました。Andrew Taggart自身が楽曲のボーカルを務めることも増え、プロデューサー兼アーティストとしての立ち位置を確立しています。

コラボレーションと相互作用

  • Halsey("Closer"): 長期にわたり代表曲を共にしたコラボで、両者のシナジーが世界的ヒットを生んだ。
  • Coldplay("Something Just Like This"): ロック・ポップの大物との共演により、フェスティバル層からポップリスナーまで幅広く取り込んだ。
  • Daya、Rozes、Bebe Rexhaなど: 様々なタイプの女性ヴォーカリストを起用することで、曲ごとに異なる表情を持たせている。

ライブとツアリング戦略

The Chainsmokersはフェスやアリーナ級のツアーを成功させてきました。2017年の『Memories...Do Not Open Tour』ではバンド編成のステージングを取り入れ、単なるDJセットを超えたショー作りを志向しました。ライブではシンセやエフェクト、同期トラックを活用しつつ、生のボーカルや楽器で表現する場面も増えており、スタジオ音源とライブ体験をいかに近づけるかが重要なテーマになっています。

評価と批判

商業的成功とは裏腹に、The Chainsmokersは批評的に厳しい評価を受けることもありました。初期の歌詞や一部のシングルは浅薄だと指摘されることがあり、EDMシーン内外から「簡易的すぎる」「過度に商業主義的」といった批判を受けることもありました。一方で、ポップ寄りの路線へ転換してからは楽曲制作の緻密さやセルフプロデュース能力を評価する声も増え、彼らのキャリアは賛否両論の混在したものとなっています。

業界への影響と意義

The Chainsmokersは、EDMとポップの境界を曖昧にし、ソーシャルメディア時代におけるヒットの作り方(シングル重視、コラボレーション、ヴァイラル性)を体現した存在と言えます。若手プロデューサーやDJにとっては「プロデュース力とポップセンスを両立させるモデル」として注目され、フェスやラジオチャートでのプレゼンスを強める一助となりました。

代表的なディスコグラフィ(抜粋)

  • アルバム: Memories...Do Not Open(2017)、World War Joy(2019)、So Far So Good(2022)など
  • 代表シングル: Selfie(2014)、Roses(2015)、Don’t Let Me Down(2016)、Closer(2016)、Something Just Like This(2017)

今後の展望

リスナーの嗜好や音楽市場が刻々と変化する中で、The Chainsmokersが今後どう進化していくかは興味深い点です。彼らは既にポップスのフォーマットにおけるヒットメーカーとしての地位を確立しており、次のフェーズではより実験的なサウンドや長期的なアルバム作品、あるいは若手アーティストの育成やプロデュース業務を通じたシーンへの還元が期待されます。

まとめ

The Chainsmokersは、EDMの文脈から出発しながらポップの領域で巨大な成功を収めたユニットです。賛否は分かれるものの、歌詞・メロディのキャッチーさ、コラボレーション戦略、そしてライブでの演出は彼らの強みであり、現代のポップ/エレクトロニック音楽の重要な一側面を担っています。商業的成功の背後にある制作手法と影響力を読み解くことで、彼らの存在は単なるヒットメーカー以上の意味を持つことがわかります。

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参考文献