ローリング・ストーンズの全貌:結成から現在まで――音楽性・歴史・文化的影響を徹底解説
ローリング・ストーンズ ― 英国が生んだロックの象徴
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)は、1962年に結成されて以降、ブルースを起点にロック、ロックンロール、R&B、そして時にサイケデリックやディスコの要素を取り込みながら活動を続ける、英国出身のロック・バンドです。長年にわたり第一線で活動を続け、ライブとアルバムを通じて多くの世代に影響を与えてきました。本稿では結成の経緯、主要メンバーの変遷、代表作と音楽性、ツアーやライブの重要性、社会文化的影響、そして現在に至るまでの足跡を詳しく掘り下げます。
結成と初期(1962–1964)
ローリング・ストーンズは、ミック・ジャガー(ボーカル)とキース・リチャーズ(ギター)がダートフォード(英ケント州)で再会し、1962年にロンドンでバンドを結成したことに始まります。ブライアン・ジョーンズを中心に初期のラインナップが固まり、ロバート・フリップやイアン・スチュワートなどのミュージシャンも初期に関与しました。彼らは当初、アメリカ黒人音楽のカバーを中心にレパートリーを磨き、ロンドンのクラブ・シーンで注目を集めました。
1963年にはデッカ(Decca)と契約し、チャック・ベリーのカバーであるデビュー・シングル「Come On」をリリース。マネジメントにはアンドリュー・ルーグ・オルダム(Andrew Loog Oldham)が当たり、スキャンダラスで反逆的なイメージ戦略が若者の共感を呼び、ビートルズとは対照的な“ロックの危険さ”を前面に押し出しました。
音楽的発展と初期のヒット(1964–1968)
1964年から1966年にかけて、ストーンズはR&Bやブルースに根ざしたカバー曲と、ジャガー=リチャーズのオリジナルを組み合わせながら成長しました。代表曲として「(I Can't Get No) Satisfaction」(1965)、「Get Off of My Cloud」(1965)、「Paint It Black」(1966)などがあり、これらは世界的なヒットとなりました。
特に1966年以降は、バンドの作曲能力が成熟し、1966年のアルバム『Aftermath』はオリジナル曲のみで構成された初期の重要作の一つです。サウンド面ではエレクトリック・ギターを軸に、バラエティに富んだアレンジが試みられました。
ドラマと転機:ブライアン・ジョーンズの退場と死、ミック・テイラー加入(1969)
1960年代後半にはメンバー間や薬物問題、マネジメントとの軋轢が顕在化します。創設メンバーのブライアン・ジョーンズは1969年にバンドを離脱し、その後同年7月にロンドンの自宅プールで急逝しました。ジャズやブルースに強い影響を受けたジョーンズの多才さは初期のストーンズ・サウンドに不可欠でした。
ジョーンズの後任としてミック・テイラーが加入し、1970年前後の作品(『Let It Bleed』、『Sticky Fingers』、『Exile on Main St.』など)において、テイラーの流麗なリードギターはバンドの音楽性をさらに豊かなものにしました。
70年代:アメリカでの成功、音楽的多様化、税制回避と制作環境
70年代に入るとストーンズは商業的にも大成功を収めます。1971年の『Sticky Fingers』はアンディ・ウォーホルによるジッパー仕様のジャケット、ジョン・パッシュによる舌ロゴなど、視覚的なアイコン性も高まりました。1972年リリースの『Exile on Main St.』はフランス・ニース近郊の別荘(Villa Nellcôte)で録音されたアルバムで、混沌とした雰囲気と多様な音楽性が高く評価されています。
この時期、バンドは英国の高税率を避けるためアメリカへ長期滞在する『タックス・エグザイル(tax exile)』を行い、制作拠点や生活環境が変化したことが音楽性にも影響を与えました。またこの時代にバンドは自身のレーベル「Rolling Stones Records」を設立し、より自主的な活動を進めます。
メンバー変遷とその影響:ミック・テイラー退団、ロン・ウッド加入(1975)
1974年にミック・テイラーが脱退し、1975年にロン・ウッドが正式に加入します。ウッドの加入によりバンドは安定したツインギター体制を築き、よりロック色の強いステージングとアルバム制作が行われました。1978年の『Some Girls』ではディスコやパンクの要素を取り入れたサウンドで新たなファン層を獲得しました。
代表作と楽曲分析
- Aftermath (1966):初めて全曲ジャガー=リチャーズ作で構成されたアルバム。英国ロックの作曲能力の躍進を示しました。
- Beggar's Banquet (1968):ブルース回帰と社会的なテーマ性、『Sympathy for the Devil』や『Street Fighting Man』などを収録。
- Let It Bleed (1969):『Gimme Shelter』や『You Can't Always Get What You Want』を含み、終末感とスピリチュアルな要素が混在。
- Sticky Fingers (1971):ロックンロールとブルースの融合、舌ロゴの象徴性。代表曲『Brown Sugar』。
- Exile on Main St. (1972):ダブルアルバム。ゴスペル、ブルース、カントリーなど幅広い音楽性を内包し、批評的にも高い評価を受ける。
- Some Girls (1978):ディスコやパンクの要素を取り入れた商業的成功作。時代性への機敏な応答が見られる。
ライブとツアーの重要性
ローリング・ストーンズはスタジオ作品だけでなく、圧倒的なライブ・パフォーマンスでも知られます。1969年のAltamont Free Concertは悲劇的な事件を伴い物議を醸しましたが、以後もツアーは彼らの主要な活動の柱です。1989–1990年の“Steel Wheels/Urban Jungle Tour”や2005–2007年の“A Bigger Bang Tour”など、大規模なスタジアム公演を行い、史上最大級の興行収入を記録したこともあります。
文化的・社会的影響
ローリング・ストーンズは単なるバンドを超え、ロックのライフスタイルや反逆の象徴として若者文化に影響を与えました。ファッション、アート、映画、広告など多方面で彼らのイメージが活用され、ロック史における「危険で魅力的な存在」という位置づけを確立しました。舌ロゴは20世紀後半のポップアイコンの一つとして幅広く認知されています。
論争と法的問題
活動の長期にわたり、ドラッグや税金問題、舞台での出来事など、ローリング・ストーンズは多くの論争に巻き込まれてきました。1967年の“Redlands”での麻薬取締りは、彼らの反権力的イメージを強化する一方で法的トラブルも生み出しました。こうした出来事は、バンドの公的イメージ形成に深く影響しました。
主要メンバーの概観
- ミック・ジャガー(Mick Jagger)— リードボーカル、フロントマン。ステージパフォーマンスとソングライティングで中心的存在。
- キース・リチャーズ(Keith Richards)— ギタリスト、作曲家。リフ中心の楽曲構築でバンドの音楽的基盤を支える。
- ブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)— 創設メンバー(故人)。多楽器奏者として初期のサウンドに多彩さを与えた。
- ミック・テイラー(Mick Taylor)— 1969–1974 在籍。流麗なリードギターで70年代初期の名盤に貢献。
- ロン・ウッド(Ronnie Wood)— 1975年以降のギタリスト。ツインギター体制に安定をもたらした。
- チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)— ドラマー(故人、2021年没)。ジャズ志向の堅実なドラミングでリズムの核を担った。
受賞と評価
ローリング・ストーンズは多数の商業的成功と批評的評価を得ています。1989年のロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)への殿堂入りをはじめ、グラミーの業績賞(Grammy Lifetime Achievement Award)なども受賞。多くの音楽メディアや批評家は、彼らを20世紀の最重要ロック・バンドの一つとして位置づけています。
現代における活動とレガシー
21世紀に入ってもストーンズは断続的にアルバムを発表し、世界ツアーを行っています。チャーリー・ワッツの逝去(2021年)など悲しい出来事もありましたが、ミック・ジャガーとキース・リチャーズは高齢になっても創作と公演を続け、ロックの継続性を体現しています。若い世代のミュージシャンに与えた影響は計り知れず、ポップ、ロック、ヒップホップを含む多ジャンルでその痕跡が見られます。
ディスコグラフィーのハイライト(推奨入門盤)
- 『The Rolling Stones』(1964)/デビュー作。初期R&Bカバーと雰囲気を知るのに適した一枚。
- 『Aftermath』(1966)/全曲オリジナル。作曲面での飛躍を示す。
- 『Let It Bleed』(1969)/バンドの成熟と混沌を象徴する作品。
- 『Sticky Fingers』(1971)/商業的成功とアイコニックなビジュアル。
- 『Exile on Main St.』(1972)/評価の高いダブルアルバム。幅広い音楽性を体感できる。
- 『Some Girls』(1978)/時代適応と商業的復活を示す作品。
まとめ:なぜローリング・ストーンズは重要か
ローリング・ストーンズの重要性は、単に長い活動年数やヒット曲の多さだけにとどまりません。彼らはアメリカ黒人音楽を英国の若者文化に橋渡しし、ロックのイメージを規定すると同時に、音楽的実験と流行への適応力を持ち続けました。メンバーの個性と衝突、制作環境の変化、そして社会的論争を経ながら得たサウンドは、多くのミュージシャンにとって教科書的な要素となっています。これらが積み重なって、ローリング・ストーンズは20世紀後半のポップカルチャーを象徴する存在となったのです。
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参考文献
- The Rolling Stones 公式サイト
- Encyclopaedia Britannica: The Rolling Stones
- Rock & Roll Hall of Fame: The Rolling Stones
- AllMusic: The Rolling Stones Biography
- BBC Culture: The Rolling Stones - A Brief History
- Rolling Stone Magazine
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