Def Leppard(デフ・レパード)徹底解説:歴史・名盤・サウンドの秘密と影響

はじめに

Def Leppard(デフ・レパード)は、1977年にイギリスのシェフィールドで結成されたロックバンドで、1980年代のハードロック/ヘアメタルの顔となった存在です。ポップ性の高いメロディ、重厚なギター・ハーモニー、多層に重ねられたコーラスと洗練されたプロダクションにより、ロックとポップのクロスオーバーを実現。長年にわたり世界中で支持され、累計で1億枚以上のレコード・セールスを記録しています。

結成と初期の歩み

バンドは当初「Deaf Leopard」と名乗り、リック・サヴェージ(ベース)、ピート・ウィリス(ギター)、トニー・ケニング(ドラム)らが中心となって活動を開始。1977年にジョー・エリオット(ボーカル)が加入し、バンド名をDef Leppardに改めます。1978年ごろにスティーヴ・クラーク(ギター)やリック・アレン(ドラム)が加わり、独自のツイン・ギターとコーラスを持つ編成が固まりました。

彼らのデビュー・アルバム『On Through the Night』(1980年)は、NWOBHM(ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)とポップな感覚を併せ持つ作品として評価され、続く『High 'n' Dry』(1981年)でプロデューサーのロバート・ジョン・“マット”・ラング(Mutt Lange)と出会い、サウンド面での転換点を迎えます。

世界的成功:『Pyromania』『Hysteria』

1983年の『Pyromania』はバンドの大ブレイク作で、シングル「Photograph」「Rock of Ages」などによって米国市場で成功を収め、MTV世代と親和性の高い映像戦略も功を奏しました。続く1987年の『Hysteria』は、リック・アレンの事故や長期にわたる制作期間を経て完成。シングル「Pour Some Sugar on Me」「Love Bites」(全米1位)など多数のヒットを生み、商業的にも批評的にも高く評価されました。

リック・アレンの事故と復帰

1984年12月31日、ドラマーのリック・アレンは自動車事故で左腕を失う重傷を負いました。バンドとファンは一時的に先行きが危ぶまれましたが、アレンは特殊に改造されたドラム・キットと新しい演奏技術を習得して復帰。彼の復帰は、バンドの結束と精神的支柱を示す出来事として広く知られています。

内部の変化と悲劇

1980年代末から1990年代初頭にかけて、メンバー間の葛藤や薬物・アルコール問題が影を落とします。ギタリストのピート・ウィリスは1982年に脱退(後に別プロジェクトへ)、スティーヴ・クラークは1991年に亡くなりました。クラークの死後、1992年にヴィヴィアン・キャンベルが加入し、現在のラインナップがほぼ固定化されます(ジョー・エリオット、リック・サヴェージ、リック・アレン、フィル・コリン、ヴィヴィアン・キャンベル)。

サウンドの特徴とプロダクション

  • 多重コーラス:ジョー・エリオットやギター隊が重ねるボーカル・ハーモニーは、Def Leppardのサウンドの核。
  • ギター・サウンド:ツイン・ギターによるリフとリードの掛け合い、明瞭で切れのあるトーン。
  • スタジオ作業の徹底:Mutt Langeとの仕事で知られるように、徹底的な多重録音と編集でポップかつ完成度の高いトラックを作り上げる。
  • リズム・アプローチ:電子ドラムやサンプリングを取り入れたリズム処理により、80年代の大ヒット曲群に独特のタイトさとパンチを与えた。

主要アルバムと代表曲

  • On Through the Night(1980)– 初期のエネルギーを示す作品。
  • High 'n' Dry(1981)– Mutt Lange参加によるサウンド転換の序章。
  • Pyromania(1983)– 「Photograph」「Rock of Ages」などを収録し国外での知名度を飛躍的に向上。
  • Hysteria(1987)– バンド史上最大の商業的成功作。ポップ性とロックを高次元で融合。
  • Adrenalize(1992)– クラーク亡き後に発表されたアルバムで、ヒット曲「Let's Get Rocked」を収録。
  • Slang(1996)、Euphoria(1999)、X(2002)など– 90年代以降も実験や回帰を繰り返しながら活動。
  • Def Leppard(2015)、Diamond Star Halos(2022)– 近年のスタジオ作。

ライブとツアーの評価

Def Leppardはスタジオでの精密さと同様に、ライブでも完成度の高いパフォーマンスを見せることで知られています。1980年代の大規模ツアーはスタジアムを満たし、映像制作や演出にも力を入れてきました。近年も世界各地でツアーを行い、往年のヒット曲を中心に安定した人気を誇っています。

影響と評価

Def Leppardは1980年代のロック/メタル・シーンにおいて、ヘヴィな要素とポップなフックの融合を体現しました。多くの後続バンドに影響を与え、商業的成功の面でも同時代の誰よりも高い成果を残しました。2019年にはロックの殿堂(Rock & Roll Hall of Fame)に迎えられ、その功績が正式に評価されています。

批評的視点と論争

一方で、商業性の高さゆえに「ハードロック/メタルとしての純度が低い」との批判も受けてきました。また、バンド内部での薬物・アルコール問題やメンバー交代は長年にわたる論争の種となりました。だが、それらの困難を乗り越え続けてきた点もまた彼らのストーリーの一部です。

近年の動向

2000年代以降もアルバム制作とツアーを継続し、2015年のセルフタイトル作や2022年の『Diamond Star Halos』を発表。オリジナル・メンバーの多くが高齢化する中でも、ライブ活動や再録プロジェクト、ベスト盤、限定盤リイシューなどでファンとの接点を保ち続けています。

まとめ:Def Leppardの位置づけ

Def Leppardは、作り込まれたスタジオ・サウンドとラジオ/MTVで映えるキャッチーな楽曲で、1980年代ロックの象徴となりました。個人的悲劇や内部問題を経験しつつも、革新的なプロダクション手法と楽曲の普遍的な魅力によって、長く愛されるバンドであり続けています。音楽性は“完璧主義的なポップ・ハードロック”と評することができ、その影響は現在のロック・バンドにも色濃く残っています。

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

エバープレイオンラインショップのバナー

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery

参考文献