ムード・サックスの名匠:三笠輝彦が紡いだ1970年代ポップスの情景

三笠輝彦(Teruhiko Mikasa)は1970年代初頭からセッション・ミュージシャンとして活動し、テナーサックスを軸に日本の歌謡曲やポップスをムード・インストゥルメンタル化した「ムード・サックス」スタイルを確立しました。Atlanticやワーナーのレーベルから多数のアルバムをリリースし、クアドラフォニック・ステレオ録音にも挑戦、当時のオーディオ愛好家から高く評価されました。近年はYouTubeでの再評価や中古市場での高価格取引が続き、ヴィンテージ・オーディオファンを中心に根強い人気を誇っています。

バイオグラフィーと背景

三笠輝彦は、詳細な生年月日や音楽教育の記録が公表されていない影の名手ですが、1972年頃にセッション・ユニット「Brilliant Pop 77」の一員としてレコーディング活動を開始しました。主にスタジオワークを中心にキャリアを積み、「Teruhiko Mikasa」の英語名義で国内外のアルバムにクレジットされています。

音楽スタイルとジャンル

三笠の演奏は、リバーブやエコーを多用したウォームなテナーサックス・トーンで、当時の歌謡曲やポップスをジャズ的フレーズで再構成する「ムード・サックス」と称されました。代表的な作品『Big Tenor Saxophone Best Hit 20』では、「瀬戸の花嫁」「ふたりは若かった」などをしっとりとしたインストに仕立てています。また、同シリーズの再発盤や別フォーマット(QL-6068A)も存在し、多彩な音質バリエーションを楽しめます。

主要ディスコグラフィ

  • Big Tenor Saxophone Best Hit 20(Atlantic QL-6059A, 1972年4月)
    収録曲:「あなただけでいい」「旅の宿」ほか全20曲。ムード・サックス入門に最適な一枚です。
  • The Big Tenor Saxophone Best Hit 40(Atlantic QL-5036A/7, 1972年)
    『Best Hit 20』を2枚組に拡大。クアドラフォニック・ステレオ仕様も存在し、当時の技術革新を体感できます。
  • Splendid Tenor Saxophone Best Hit 20(Atlantic QL-6077A, 1972年)
    上記2タイトルと同シリーズの第3弾。より多彩な選曲でムードサックスの奥深さを堪能できます。
  • 漁火恋唄・じんじんさせて The Big Drum And Tenor Saxophone Best Hit 40(Warner Bros. SQ–Brand, 1972年)
    邦楽ポップスとテナーサックスの異色コラボを収めたQUAD作品。リズミカルなドラムとの対比が鮮やかです。

コラボレーションと制作

多くのアルバムで、編曲家・演奏者のBrilliant Pop 77と連携。Atlantic〈QL〉レーベルやWarner〈SQ〉レーベルでのクアドラ化企画は、当時のオーディオマニアを唸らせる高クオリティを誇りました。スタジオ録音は平出誠や島田雄三らが技術を担当し、録音クオリティにも定評があります(詳細クレジットは未公表)。

クアドラフォニック・ステレオと技術的イノベーション

1972年前後のクアドラフォニック・ステレオ(4チャンネル)盤は、録音技術の最前線を行く挑戦でした。『Big Tenor Saxophone Best Hit 20』(SQフォーマット)や『Best Hit 40』での四方から迫るサウンドは、当時の家庭用オーディオ装置を躍動させる体験を提供しました。

レガシーと影響

演奏会記録は少ないものの、2010年代以降、YouTubeに多くの音源がアップされ再評価が進んでいます。特に「傷つく世代」のインスト版は、日本のムード・サックス文化を象徴する名演として注目を集めています。さらに、eBayやDiscogsなどの中古市場では、オリジナル盤が高値で取引され、海外のオーディオコレクターからも引き合いがあります。

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