キヤノン EOS M50 Mark II 徹底ガイド:写真・動画性能から設定・運用まで深掘り解説
はじめに — EOS M50 Mark II の位置付け
キヤノン EOS M50 Mark II(以下 M50 Mark II)は、キヤノンのミラーレス APS-C ラインのエントリー〜中級者向けモデルの一つで、2020年に発表されました。従来モデルの EOS M50 をベースに、動画配信やライブストリーミング、瞳AFの改善など、現代のコンテンツクリエイターが求める機能を強化したマイナーチェンジ機です。本稿ではセンサーやAFの仕組み、動画運用の注意点、実用的な設定例、レンズ運用と購入判断まで、現場で使える視点で深掘りします。
概要と主な仕様
- イメージセンサー:APS-Cサイズ、約2400万画素(有効約24.1MP) CMOS
- 画像処理エンジン:DIGIC 8
- オートフォーカス:Dual Pixel CMOS AF(静止画およびフルHD動画で有効。4Kでは利用不可)
- 動画:4K(24/25p、撮像範囲はクロップ)、フルHDはCFHD/60pまで対応(フレームレートはリージョンによる)
- ファインダー/モニター:電子ビューファインダー、バリアングル式タッチ液晶
- 記録メディア:SDカード(UHS-I対応)
- 通信:Wi‑Fi、Bluetooth、USB接続でのライブ配信対応(パソコン接続時)
- マウント:EF-M(EF/EF-S レンズはマウントアダプターで使用可能)
上記は主要ポイントの抜粋です。公式の仕様詳細は後段の参考文献をご参照ください。
画質とセンサー性能
M50 Mark II のセンサーは約2400万画素のAPS-Cサイズで、静止画の解像感は日常のスナップ、ポートレート、商品撮影まで幅広く対応します。DIGIC 8 によるノイズ処理は良好で、高感度領域でも扱いやすく、等倍での細部描写と色再現はクラス相応の水準にあります。
ダイナミックレンジはフルサイズ機と比べると限定されますが、ハイライト・シャドウの保持はRAW現像で十分に補えます。RAW での撮影を前提にすれば、露出ブランケットや現像での階調調整により印象的な画作りが可能です。
オートフォーカス(AF)の挙動と実用上の注意点
M50 Mark II の大きな特長は Dual Pixel CMOS AF の採用です。これは画素ごとに位相差検出を行う方式で、被写体追従や瞳AFの精度が高く、静止画やフルHD動画撮影でその恩恵が得られます。ただし重要な制約点があります。
- 4K動画撮影時はセンサーの読み出し方式やクロップにより Dual Pixel AF が機能しないため、4Kではコントラスト検出中心のAFとなり、追従性や速度で劣る場合があります。
- 暗所やコントラストの低い被写体ではAFが迷うことがあるため、マニュアルフォーカスまたはAF補助光の活用を検討してください。
- 静止画の瞳AFは人物撮影で効果が高く、ポートレートワークでの常用がおすすめです。設定メニューで瞳検出を有効にしておくことを忘れずに。
動画機能の実践的評価
M50 Mark II は動画機能を強化しており、コンテンツクリエイター向けの機能を意識した設計が施されています。USB経由でのウェブカム機能や、縦位置(スマートフォン向け)での撮影モードなど、配信時の使い勝手向上が図られています。
ただし、4K撮影時のクロップとAFの制約、また4Kでの機能制限(デジタルISや一部AF機能の制限)があるため、動画品質やAF性能を最優先するなら上位機種や別途外部機材を検討したほうが良い場面もあります。フルHD撮影では Dual Pixel AF が効くため、vlog やライブ配信、YouTube向けの撮影ではフルHDを選ぶことで滑らかなAFと柔軟なレンズ選択が可能です。
ハンドリングと操作性
ボディは比較的コンパクトで持ち運びに優れています。バリアングル式のタッチ液晶は自撮りやロー・アングル、ハイ・アングル撮影に便利。電子ビューファインダーも搭載されているため、屋外での明るいシーンでも安定して構図が取れます。
ただしボディは小型ゆえにグリップが浅く、大きめのレンズを装着するとバランスが取りにくくなることがあります。長時間の撮影や大口径レンズを多用する場合は、グリップエクステンションや外付けハンドルの導入を検討すると良いでしょう。
レンズとマウントの考え方
M50 Mark II は EF-M マウントを採用しますが、EF-M レンズのラインアップはEF/EF-SやRFレンズに比べると限られます。既存のEF/EF-S レンズ資産を活かしたい場合は、EF-EOS M マウントアダプターを用いれば使用可能です。アダプターを介してもAFや手ブレ補正は機能しますが、ボディとレンズのバランスや携帯性を考慮すると、純正の小型EF-Mレンズとの組み合わせは非常に扱いやすい選択です。
運用で知っておくべき実践テクニック
- 4K撮影時のクロップを常に意識する:広角が必要なワークではフルHDに切り替えるか、より広角のレンズを選ぶ。
- 動画はフルHDで撮り、必要に応じて編集でクロップする:フルHDでの Dual Pixel AF を活用すればフォーカスの安定性が向上します。
- 瞳AFは常に有効化しておく:ポートレートや動きのある被写体撮影での成功率が上がります。
- 露出と色味はRAW撮影+後処理が安全:特にハイライト保持やホワイトバランスの調整幅を残すためにRAWでの運用を推奨します。
- 配信にはUSB接続のウェブカム機能を活用:外部キャプチャカードが無くても簡易的なライブ配信が可能です。ただし長時間配信では発熱に注意。
バッテリーとアクセサリー選び
M50 Mark II は小型バッテリー(LP‑E12)を使用します。小型ボディのためバッテリー容量も限定されがちなので、予備バッテリーやUSB給電対応のバッテリーパックを用意すると安心です。外部マイク入力(3.5mm)を備えているので、動画撮影時は指向性の良いショットガンマイクやラベリアマイクを検討してください。
メリット・デメリットの整理
- メリット
- コンパクトで携帯性が高い
- 静止画とフルHD動画での Dual Pixel AF による高い使いやすさ
- 自撮り・配信に便利なバリアングル液晶とUSBウェブカム機能
- デメリット
- 4K撮影でのクロップとAF制約が目立つ
- EF-M レンズのラインナップが限定的
- バッテリー持ちがやや短めなので運用計画が必要
購入検討時のアドバイスと比較対象機
M50 Mark II は初めてのミラーレス購入やコンテンツ制作を始めるユーザーに向いています。一方で、より高品質な4K動画や高度なAF性能を求めるなら、上位のフルサイズミラーレスやキヤノンのRFマウント機、または他社のAPS-C機(ソニー、富士フイルムなど)も候補に入れて比較すると良いでしょう。
実践的な設定例(写真・動画)
写真(ポートレート)おすすめ設定例:
- モード:絞り優先(Av)
- 絞り:f/1.8〜f/4(レンズに依存)
- ISO:オート(上限を3200程度に設定)
- AF:瞳AF有効、AFモードはワンショットまたは顔優先
動画(vlog/配信)おすすめ設定例:
- 解像度:フルHD 60p(滑らかな動きと Dual Pixel AF を優先)
- シャッタースピード:1/120(60pの場合は1/120相当を目安)
- 絞り:被写界深度に応じて(背景をぼかしたいなら開放)
- 音声:外部マイクを使用、レベルは-12〜-6dBを目安に調整
まとめ
EOS M50 Mark II は小型ボディに扱いやすいAFと配信機能を詰め込んだ魅力的なカメラです。静止画とフルHD動画での実用性は高く、特にYouTuber、Vlogger、初級〜中級の写真愛好家にとってコストパフォーマンスの良い選択肢となります。とはいえ、4K撮影の制約やレンズ資産の問題は購入前に理解しておくべき点です。本稿を参考に用途を明確にし、必要に応じて純正アクセサリやアダプターを組み合わせて運用計画を立ててください。
参考文献
Canon USA - EOS M50 Mark II 製品ページ
DPReview - Canon EOS M50 Mark II Review
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