『永遠の儚さを刻む：フランソワーズ・アルディ『もう森へなんか行かない』
エバープレイ編集部
本稿では、『もう森へなんか行かない』（原題：Ma jeunesse fout le camp…）という作品が放つ多層的な魅力を、オリジナルLPから日本盤シングル・LP、さらに近年の重量盤リマスターまで一挙に解説します。
オリジナルアルバムは1967年11月にDisques Vogueよりリリースされ、その切なさと詩情は現在も色あせません。日本盤7インチ・シングルは1979年にEpicレーベルから06・5P-50で発売され、A面に“もう森へなんか行かない”、B面に“Et Si Je M'en Vais Avant Toi”と“Point”を収録しています。また同年、Epic 25・3P-78としてLPコンピレーションが登場し、帯付き初回プレスは現在でもコレクター市場で高い評価を受けています。
さらに2016年にはParlophone WPCR-17553から180gゲートホールド仕様のリマスターLPが発売され、ヴィンテージ感と現代的なクリアさを両立させた音質が話題を呼びました。
アルバム概要
『Ma jeunesse fout le camp…』はFrançoise Hardyの7枚目のスタジオ・アルバムで、1967年11月にDisques Vogueからリリースされました。タイトルは直訳すると「青春よ、去りゆけ…」、意訳すると「もう森へなんか行かない」あるいは「若さが逃げていく」という深いメタファーが込められています。
録音はパリと英国ロンドンのPyeスタジオで行われ、Françoise Hardy自身とジャック・ウルフソーン、レオン・カバがアスパラガス・プロダクション名義でプロデュースを担当しました。
トラックハイライト
全12曲収録の本作では、以下のような名曲が際立ちます：
- Ma jeunesse fout le camp（3:05）
作詞・作曲はギイ・ボンタンペッリによるオリジナルをカバーしたもので、1962年にミシェル・アルノーが初演した作品です。 - Il est trop loin（原題：Sorrow）
Peter, Paul and Maryの“Sorrow”原曲をフランス語詩で再構築したアレンジで、Daniel HortisとDanyel Gérardによる翻案が光ります。 - Il n’y a pas d’amour heureux
詩人ルイ・アラゴンの詩にジョルジュ・ブラッサンスが曲を付けた名バラードを大胆に取り上げており、硬質なアンサンブルが印象的です。
日本盤シングルとLP
1979年にEpic／ソニー・ミュージックからリリースされた日本盤7インチ・シングル（06・5P-50）は、45回転EPフォーマットでA面に「もう森へなんか行かない」、B面に「Et Si Je M'en Vais Avant Toi」と「Point」を収録しています。
同時期にEpic 25・3P-78のLPコンピレーション仕様も登場し、オリジナルとは異なる日本語帯や歌詞・解説インサートが付属していました。
さらに、帯付き初回プレスLPにはポスターや歌詞対訳入りのピクチャーインサート版があり、コレクター間で非常に高値で取引されています。
再発とリマスター
2016年12月2日にはParlophone WPCR-17553から180g重量盤ゲートホールド仕様のリマスターLPがリリースされました。
このリマスター盤は、オリジナルの温かみと現代的なクオリティを高い次元で両立させたサウンドが特徴で、当時の録音を最新システムで存分に楽しめます。
プレスバリエーションと希少性
日本盤シングルには通常盤のほか、見本盤や盤面が透明なプロモ盤など複数のバリエーションが存在し、特に見本盤は流通量が極めて少ないため希少性が高いです。
音質評価
AllMusicではフレンチ・ポップ／ヴォーカル／インターナショナルとジャンル分類され、「当時最先端のポップ・アレンジと彼女の繊細な歌声が見事に融合している」と評価されています。
おすすめポイント
- コレクター必携：1979年日本盤LPの帯・ピクチャーインサート付き初回プレスは真のマストアイテムです。
- 音質重視派に最適：2016年180gリマスター盤は現代的なクリアさとヴィンテージの温かみを兼ね備えています。
- 多彩な楽曲世界：ギイ・ボンタンペッリからルイ・アラゴン詩作品まで、幅広いクリエイターによる珠玉のバラエティが楽しめます。
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