Bee Gees「Best of Bee Gees」(1969) — 決定版徹底解説

1966年から1969年にかけての初期ヒットを網羅したBee Gees初の国際的ベスト・アルバム『Best of Bee Gees』について、リリースの背景から各曲のステレオ/モノラル仕様、誤植バリエーション、チャート成績、コレクター向けプレス差異、アートワーク、そしてその後の影響までを詳しく解説します。

概要

『Best of Bee Gees』は、アメリカでは1969年6月にAtco(カタログ番号 SD 33-292)から、イギリスでは同年10月にPolydor(カタログ番号 2383 030)から発売された、Bee Geesにとって初の国際的ベスト・アルバムです。全12曲を収録し、Atco盤ではステレオ・ミックス、英Polydor盤ではモノラル・プレスという異なる仕様でリリースされた点が大きな話題を呼びました。

歴史的背景

1969年当時、Bee Geesは前作『Odessa』発表後にRobin Gibbが一時脱退するなどグループ内の緊張が高まっていました。本作はBarryとMauriceのふたりで制作が進められたタイミングでリリースされ、シングル「Words」と「I’ve Gotta Get a Message to You」がLPに初収録された上、Atco盤でステレオ・ミックスが初公開された意義深い作品となっています。

リリース・バージョンとプレス

アメリカ Atco盤

アメリカ初回盤(SD 33-292)はPresswell社製のステレオLPで、プロモーション用インサートが同梱された稀少仕様として知られています。

イギリス Polydor盤

イギリスPolydor盤(2383 030)はモノラル仕様で、ジャケットは米国盤と同じ集合写真を使用しつつ、背帯やライナーノーツが追加された版としてコレクターに人気があります。

ドイツ誤植盤

1969年8月に出回ったドイツ初版には、B面の「I Can’t See Nobody」が誤って「Please Read Me」に差し替えられるミスプレスがあり、約1か月後に訂正版が流通しました。この誤植盤は現在でも希少価値が高いことで知られています。

曲ごとの詳細解説

本作に収録された12曲はいずれも1966〜1969年のシングル曲で、以下のような初出やミックスの特徴があります。

  • Holiday (1967)
    『Bee Gees' 1st』収録。Barryがリードを務める軽快なポップナンバー。
  • I’ve Gotta Get a Message to You (1968)
    Atco盤で初めてステレオ化。緊張感のあるアレンジが際立つ一曲。
  • I Can’t See Nobody (1967)
    オリジナルはシングルB面曲ながら、ファン人気の高い楽曲。
  • Words (1968)
    LP初収録かつステレオ・ミックスが施され、ヴォーカルが前面に強調された音像が特徴的。
  • I Started a Joke (1968)
    Robinの作詞によるメランコリックなバラードで、感情表現の深さが際立つ。
  • Spicks and Specks (1966)
    オーストラリアでのトップ10ヒット曲。初期Bee Geesサウンドを象徴するナンバー。
  • First of May (1969)
    グループ内での葛藤を背景に生まれた、格式あるバラード。
  • World (1967)
    1969年ステレオ・ミックスにより、BarryとRobinのツインヴォーカルが豊かに響く。
  • Massachusetts (1967)
    イギリスで1位を獲得した代表曲のひとつ。
  • To Love Somebody (1967)
    世界的にカバーも多い名バラード。
  • Every Christian Lion Hearted Man Will Show You (1967)
    ロック色の強いアレンジが魅力。
  • New York Mining Disaster 1941 (1967)
    デビュー・シングル。神秘的なコーラスと演出が印象的。

アートワークとパッケージ

フロントジャケットには1967年初頭に撮影されたメンバー4人の集合写真を採用。バックカバーには1968年末から1969年初頭のスタジオ風景写真を配置し、シンプルな白バックにグループ名とタイトルのみを配したモダンなデザインは、当時のコンピレーションLPとしては斬新でした。

チャート成績と認定

本作はオーストラリアで6位、アメリカBillboardで9位、イギリスで7位、カナダで5位、ドイツで26位を記録し、各国でゴールド、プラチナ認定を獲得しています。リリース当時から“Bee Gees入門盤”として幅広い層に支持され続けています。

コレクターズ・ハイライト

  • Atco初回プレス (SD 33-292)
    Presswellプレス/プロモ・インサート付きは特に高値で取引される。
  • ドイツ誤植盤
    B面曲の差し替えエラーが確認できる初版は希少価値が非常に高い。
  • 日本Polydor初回盤
    帯付きの完品は国内オークションで1万円超のプレミアがつく場合がある。

レガシーと影響

本作は2001年リリースの『Their Greatest Hits: The Record』や2008年のRhino再発盤にも大きな影響を与え、後進アーティストや新規リスナーにも愛聴され続けています。ベスト盤フォーマットの金字塔として、今日なお高い評価を誇る一枚です。

参考文献

Best of Bee Gees - Wikipedia

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