アルフレッド・ニューマンが紡ぐ『Carousel』の音楽的叙事詩

ハリウッド黄金期を代表する作曲家アルフレッド・ニューマンが1956年の映画『Carousel』においていかに音楽を再構築し、映像と一体化させたかを多角的に探ります。幼少期からの経歴を振り返りつつ、ロジャース&ハマースタインの名曲を大編成オーケストラで彩った編曲の工夫、オリジナルLPのチャート成績や後の再発・拡張版、さらには近年のコンサート演奏やライブ・トゥ・フィルム形式による新たな鑑賞スタイルまで、その影響と魅力を総合的に解説します。

アルフレッド・ニューマンの生涯とキャリア

幼少期とブロードウェイ時代

1900年3月17日、コネチカット州ニューへイブンに生まれたニューマンは、8歳で地元新聞に「ピアノの神童」として紹介されるなど早くから非凡な才能を示しました。19歳でブロードウェイのミュージカル指揮者に抜擢され、1930年にハリウッドへ移住して以降は200本以上の映画音楽を手がけ、9度のアカデミー賞受賞・45度のノミネートを果たしました。

ハリウッドでの活躍

20世紀フォックスの音楽監督として、マックス・スタイナーやコーンゴールドらと並び称される存在となり、『若草物語』『風と共に去りぬ』『オール・アバウト・イヴ』など数多くの名作にスコアを提供。特に20世紀フォックスのイントロとして今なお使用される「20th Century Fox Fanfare」を作曲・指揮したことでも知られています。

映画『Carousel』の制作背景

原作舞台との関係

『Carousel』は1945年にロジャース&ハマースタインが作・演出を手がけた舞台ミュージカルを、ヘンリー・キング監督が1956年に映画化した作品です。主人公ビリー・ビゲローとジュリー・ジョーダンの悲恋を軸に、家族ドラマとファンタジー要素が融合した壮大な物語が展開します。

映画化にあたってのスタッフ

監督ヘンリー・キング、主演ゴードン・マクレエ&シャーリー・ジョーンズをはじめ、撮影チャールズ・G・クラーク、脚本をフィービー&ヘンリー・エフロン夫妻が担当。音楽はリチャード・ロジャース原曲ながら、ニューマンが編曲および指揮を務めました。

音楽編成とオーケストレーション

「Carousel Waltz」の再構築

舞台版のワルツ曲を基盤としつつ、ABA形式を踏襲しながら弦楽器・木管・金管の対話を細やかに重ね、大編成オーケストラならではの重厚さとドラマ性を付与。冒頭の序曲として映画の世界観へ強力に導入します。

バレエシーンの音楽

「June Is Bustin’ Out All Over Ballet」「Louise’s Ballet」では、ハープやチェレスタを配した透明感のある編成と、ダンサーの動きに合わせた緻密なリズム設計で映像とのシンクロ感を極限まで高めています。

サウンドトラックのリリースと反響

オリジナルLPの発売とチャート成績

1956年2月16日にキャピトル・レコードからモノラルLPが発売され、ステレオ盤は1958年に追加リリース。Billboardサウンドトラックチャートで59週間チャートインを記録し、イギリスでもアルバムチャート1位を獲得するなど大きな反響を呼びました。

再発・拡張版のリリース

1986年にキャピトルによるステレオ完全複製盤、2001年にはエンジェル・レコードから未発表トラックやバレエ音楽を含む拡張版CDが登場。70分超の大容量で、当初省かれたナンバーも多数収録され、批評家から再評価が高まりました。

後世への影響と演奏活動

コンサートでの採用

「Carousel Waltz」は映画公開後すぐにコンサート定番曲に昇格。BBCプロムスやジョン・ウィルソン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン公演などで取り上げられ、その精緻なオーケストレーションが称賛されています。

ライブ・トゥ・フィルム上演

近年は映像と生演奏を同期させるライブ・トゥ・フィルム形式が世界各地で行われ、ニューマンの編曲が映像芸術と切り離せないことを再認識させています。

結び

アルフレッド・ニューマンによる『Carousel』のスコアは、1950年代ミュージカル映画音楽の頂点と評されるにふさわしい完成度を誇ります。その叙事詩的なオーケストレーションと映像同期の手腕は60年以上を経ても色褪せず、再発盤やコンサート、ライブ・トゥ・フィルムを通じて新たな聴き手を魅了し続けています。

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