紅に染まるシティ・ポップ:中森明菜『CRIMSON』

本コラムでは、中森明菜の10枚目のスタジオ・アルバム『CRIMSON』について、その制作背景から音楽性、チャート成績、批評、現代における再評価までを詳しく解説いたします。
1986年12月24日にワーナー・パイオニアから同時発売された本作は、女性シンガーソングライターの小林明子と竹内まりやがそれぞれ5曲ずつ提供し、鷺巣詩郎と椎名和夫がアレンジを担当したシティ・ポップとエレクトロニックが融合したサウンドが魅力的です。
リリース直後にオリコン週間アルバムチャートで3週連続1位を獲得し、年間チャートでも3位に輝き、第29回日本レコード大賞では優秀アルバム賞を受賞いたしました。2023年にはラッカーマスターサウンド2CD仕様で再発され、アナログ盤ブームと相まってオリジナルLPがプレミア価格を記録するなど、時代を超えて愛され続けています。

アルバム概要

『CRIMSON』は中森明菜の10枚目のスタジオ・アルバムで、1986年12月24日にワーナー・パイオニアからLP(L-12650)、カセット(LKF-8150)、CD(32XL-190)の3形態で同時発売されました。録音は1986年7月に行われ、収録時間は44分36秒です。アルバムタイトルの“CRIMSON”は「深紅」を意味し、夕焼けに染まる空や濡れた口唇といった情景を想起させます。

制作背景とコンセプト

前作『不思議』から約4か月後という短期間でリリースされた本作は、当時の中森明菜の精力的な活動を象徴しています。小林明子と竹内まりやが各5曲を提供し、女性目線による物語性と優雅さを追求しました。ディレクターの藤倉克己氏は、オフィスレディの日常をニューヨークや東急東横線沿線で働く女性に例え、「20代前半の女性が誰もが経験し得る物語」をテーマにしました。

音楽性と楽曲解説

編曲は鷺巣詩郎と椎名和夫が担当し、シンセポップやジャズ要素を織り交ぜながら統一感を生み出しています。小林明子提供曲では「MIND GAME」「ピンク・シャンパン」など、躍動感あるアレンジが光ります。竹内まりや提供曲には「駅」「約束」「OH NO, OH YES!」など、メロウで情緒的なナンバーが並び、歌詞に込められた物語が胸を打ちます。一部楽曲ではSE処理を施し、アルバム全体に深みを与えています。

チャートパフォーマンスと受賞歴

『CRIMSON』は1987年1月12日付のオリコン週間アルバムチャートで初登場1位を獲得し、合算週を含め3週連続首位を維持しました。LPは23週、カセットは22週、CDは21週にわたりチャートインし、1987年度の年間アルバムチャートでは3位を記録しました。また、第29回日本レコード大賞で優秀アルバム賞を受賞し、当時の音楽シーンで高い評価を得ました。

批評と評価

『CDジャーナル』は、中森明菜の安定感と際立った歌唱がロックやジャズの要素と融合し、気取りのない華やかなシティ・ポップスとして仕上がっていると評価しました。また、オリコンの評論では、一部楽曲を除く全曲で囁きにも似たソフトな歌唱により独特の浮遊感が生まれていると指摘されています。

レガシーと再評価

2023年5月1日のラッカーマスターサウンド2CD仕様での再発を機に、シティ・ポップやアナログレコードのブームが再燃し、オリジナルLPは国内外のヴィンテージ市場でプレミア価格を記録しています。また、竹内まりや自身による「駅」や「OH NO, OH YES!」のセルフカバーや、タワーレコードオンラインでの「名盤」と称されるなど、その魅力は世代を超えて支持されています。

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