ゲートフォールドに刻まれた黄金—Jay-Z『The Blueprint』
『The Blueprint』は2001年9月11日にRoc-A-Fella RecordsおよびDef Jam Recordingsからリリースされ、当初予定より1週間前倒しすることで海賊版対策を図りました。本作はKanye West、Just Blaze、Binkをはじめとするプロデューサー陣が手がけた、ソウルサンプリングを軸とするサウンドを特徴とし、発売初週に42万7,000枚を売り上げ全米アルバムチャートを3週間連続で制覇しました。
オリジナルのユナイテッド・レコード・プレス社プレスによる2枚組ゲートフォールド仕様ビニール盤(カタログNo. 314 586 396-1)は現在もコレクターの間で高い評価を受け、後には180グラム重量盤や限定カラーヴァイナル、MP3ダウンロードバウチャー付きリイシューなど多数のバリエーションが展開されています。さらに、アルバムは後にRIAAから3×マルチ・プラチナ認定を受け、2018年にはアメリカ議会図書館のナショナル・レコーディング・レジストリに選出され、その文化的・歴史的重要性が公式に証明されました。
リリース背景
Jay-Zの6枚目のスタジオ・アルバムとして制作された『The Blueprint』は、2001年9月11日にリリースされました。リリース日は当初の予定より1週間前倒しされ、海賊版の流通を防ぐための戦略的判断でした。録音は同年4月から7月にかけてBaseline StudiosとManhattan Center Studiosで行われ、わずか2週間でアルバム全体が完成したと伝えられています。当時、Jay-Zはガン所持と暴行容疑の裁判を待つ身であり、NasやProdigyらとのビーフがアルバム制作にも影響を与えました。
サウンドとプロダクション
本作はKanye West、Just Blaze、Binkをはじめ、Timbaland、The Trackmasters、Eminem、Luis Restoといった豪華プロデューサーが参加したソウル・サンプリング主体のサウンドが特徴です。Kanye Westは「Izzo (H.O.V.A.)」やNas批判を込めた「Takeover」を含む4曲をプロデュースし、その才能を一躍に示しました。Just Blazeも「Girls, Girls, Girls」「Song Cry」「U Don’t Know」「Breathe Easy (Lyrical Exercise)」を手がけ、その後のキャリアにおけるブレイクスルーを果たしました。アルバム全体を通じて、Al Green、Bobby “Blue” Bland、David Ruffin、The Jackson 5などのビンテージ・ソウルがサンプリングソースとして巧みに用いられています。
ビニールプレス仕様
オリジナルプレスは米国ユナイテッド・レコード・プレス社製造の2枚組ステレオLP、ゲートフォールド仕様でリリースされました。2011年にはJay-Z自身のウェブストア限定で180グラム重量盤ダブル・ヴァイナルが再発され、MP3ダウンロードバウチャー付きエディションも同時に展開されました。さらに、2022年にはUK/EU向けに15トラック収録の2LP、180グラムゲートフォールド仕様で再発され、オリジナルを忠実に再現したパッケージがコレクターズアイテムとなっています。
ジャケットとパッケージ
ジャケット写真はJonathan Mannionが撮影し、英国のフォトシリーズ『The Firm』に着想を得た構図が採用されました。オリジナル写真の電話機やナックルダスターを、シガー、シガー箱、マイクに置き換えることでJay-Zの世界観が表現されています。
商業的成果と認証
発売初週に42万7,000枚を売り上げ、全米アルバムチャートで3週連続1位を記録しました。その後、RIAAから3×マルチ・プラチナ認定を獲得し、200万枚以上のセールスを証明しています。
批評的評価と文化的影響
Metacriticでは平均スコア88点を獲得し、音楽批評家から概ね絶賛されました。The Sourceは完璧な「ファイブ・マイク」評価を付与し、Carlito Rodriguezは「Jay-Zのキャリアの転換点」と評しました。Pitchforkは原点回帰のソウルサウンドを称賛し、8.7/10の高評価を下しています。Rolling Stone誌の500 Greatest Albumsリストでは2020年の改訂版で第50位にランクインし、21世紀のアルバムとしては異例の高順位を記録しました。
サンプリングの秘密
- 「Takeover」… The Doors「Five to One」とDavid Bowie「Fame」の要素を使用。
- 「Izzo (H.O.V.A.)」… Jackson 5「I Want You Back」を大胆にサンプリング。
- 「Heart of the City (Ain’t No Love)」… Bobby “Blue” Blandの同名曲を下敷きに。
- ほか多数のソウルクラシックを原曲にしたトラックで構成。
コレクターズポイント
初回プレス(カタログNo. 314 586 396-1)は流通量が限られ、オリジナルの希少性ゆえに価格が高騰しやすいアイテムです。再発盤では180グラム重量盤、限定カラーヴァイナル、MP3ダウンロードバウチャー付きエディションなど多数のバリエーションが展開され、盤の状態や付属品の有無によって価格が大きく変動します。購入時には正規のUPCコードやプレス情報を確認し、信頼できるショップでの入手をおすすめします。
結論
Jay-Z『The Blueprint』のビニール盤は、ヒップホップ史に刻まれた名作をありのままの音質で楽しめる貴重なコレクターズアイテムです。オリジナルプレスの重厚な音像と、各時期にリリースされたリイシューの多様性を堪能しながら、その歴史的価値を再発見してみてはいかがでしょうか。
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