Dino Valente:フォーク&サイケの軌跡

Dino Valenteことチェスター・ウィリアム・パワーズ・ジュニアは、1937年にコネチカット州ダンベリーで生まれ、1994年にカリフォルニア州サンタローザで亡くなったシンガーソングライターです。彼は1960年代初頭のニューヨーク・コーヒーハウス・シーンからスタートし、1963年にはフォークロックの名曲「Let’s Get Together」を生み出し、後にThe Youngbloods版で全米5位を記録しました。服役を経て1968年にEpic Recordsからリリースしたソロアルバム『Dino Valente』(Epic BN 26335)は、1967年11月から1968年4月にかけてロサンゼルスのColumbia Records Studioで録音され、フォーク、ブルース、サイケデリックが融合した多彩なサウンドを提示しています。さらに、Quicksilver Messenger Serviceでは「Fresh Air」や「What About Me?」といったヒット曲を次々と提供し、ソングライターとしてもリードシンガーとしてもバンドを牽引しました。
オリジナル盤LPは流通量が少なく、Discogsでは2025年1月時点で取引中央値31ドルで取引されているなど、コレクターズアイテムとしても高い評価を受けています。2007年には未発表曲集『Get Together... The Lost Recordings』、2011年には限定プレスによる2LP再発が行われ、ヴィニールファンを魅了し続けています。

生涯とキャリア

チェスター・パワーズは1937年10月7日にダンベリーで生まれ、1960年代初頭にはグリニッジ・ヴィレッジやノース・ビーチのコーヒーハウスでフォークシンガーとして活動しました。1963年にロサンゼルスへ移り、当時まだ無名だった彼が書いた「Let’s Get Together」は、多くのフォーク/ロックグループにカバーされて広まりました。その後、麻薬所持で逮捕されFolsom州立刑務所に服役したものの、釈放後すぐにEpic Recordsと契約し、1968年10月にソロ名義のアルバム『Dino Valente』をリリースしました。同年10月10日から12日にかけてサンフランシスコのウィンターランドでジミ・ヘンドリックスの前座を務め、一躍注目を浴びます。1970年には正式にQuicksilver Messenger Serviceに加入し、ペンネーム「Jesse Oris Farrow」でアルバム多数の楽曲を提供し続けました。

ディスコグラフィ

ソロ作品

  • アルバム『Dino Valente』(1968年、Epic BN 26335)
    • 録音:1967年11月~1968年4月、Columbia Records Studio, Los Angeles
  • シングル『Don’t Let It Down / Birdses』(1964年、Elektra Records)
  • コンピレーション『Get Together... The Lost Recordings』(2007年)
    • 1964年~1970年の未発表・ライブ音源を収録

Quicksilver Messenger Serviceでの主な作品

  • Just for Love(1970年)
  • What About Me?(1970年)
  • Quicksilver(1971年)
  • Comin’ Thru(1972年)
  • Solid Silver(1975年)

ソロ・アルバム『Dino Valente』の詳細

1968年リリースのソロアルバムは、フォークやブルース、サイケデリックロックを横断する構成が特徴です。Epic BN 26335というレアリティの高いオリジナル盤は今もコレクターから高い評価を受けています。代表曲「Something New」や「Children of the Sun」など長尺の楽曲を含み、Valente自身の温かみあるボーカルとアコースティックギターを中心に、サイケムーブメントの影響を反映したプロダクションが施されています。

クイックシルバー・メッセンジャー・サービスでの活動

1970年以降、ValenteはQuicksilverの主要ソングライターとして活動し、『Just for Love』からシングルカットされた「Fresh Air」は全米49位を記録しました。続く『What About Me?』のタイトル曲もチャートインし、プログレッシブロックの名盤として評価を確立します。1975年の『Solid Silver』まで、彼はバンドの黄金期を支え続けました。

再発とリマスター

  • 2007年:未発表音源を集めた『Get Together... The Lost Recordings』が限定プレスで発表。
  • 2011年:2LP仕様のヴィニール再発が実現し、ファン待望のアイテムとなる。
  • 2013年:Folk Radio UK主催の初の公式レコード再発に続き、世界各国で限定プレスが行われた。

コレクターズ・アイテムとしての価値

オリジナルLP『Dino Valente』(Epic BN 26335)は流通が少なく、2025年1月時点でDiscogsにおける取引中央値は31ドルと高値で安定しています。現在でもオリジナル盤の保存状態や封入物の有無によって価格が大きく変動するため、購入時はラベルのマトリックス番号やプレス番号を確認することをおすすめします。


参考文献

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Chet_Powers
  2. https://en.wikipedia.org/wiki/Quicksilver_Messenger_Service

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