希望と郷愁を紡いだ 岡晴夫 五大名曲クロニクル
岡晴夫は1916年に千葉県で生まれ、1939年に「国境の春」でデビューして以来、戦前から戦後の激動期にかけて数々のヒット曲を生み出した流行歌手です。若々しい歌声と力強いビブラートで「希望」を歌い続け、日本人の心に寄り添うその歌声はいまなお多くのリスナーに愛されています。ここでは代表的な五曲──「国境の春」「上海の花売娘」「東京の花売娘」「啼くな小鳩よ」「憧れのハワイ航路」──を取り上げ、それぞれの背景や魅力を詳しく解説します。
1. 国境の春
1939年2月にキングレコードからリリースされたデビュー曲。作詞松村又一、作曲上原げんとによるこの楽曲は、異国との“境界”に立つ春のはかなさと、新しい時代への期待感を歌い上げています。岡晴夫の若々しい伸びやかな歌声が当時のリスナーに鮮烈な印象を与え、以降の活躍の礎となりました。
2. 上海の花売娘
同じく1939年5月リリース。歌詞は川俣栄一、作曲は上原げんとが担当し、レッドランタンが揺れる上海の街角を思わせる異国情緒あふれる世界観が特徴です。中国モチーフの曲調と岡晴夫の艶やかなビブラートが融合し、地方巡業でも満員札止めを記録。彼を一躍スターの座に押し上げた一曲です。
3. 東京の花売娘
戦後の混乱期、1946年6月にリリース。花売り娘の切ない微笑みを歌った歌詞は佐々詩生によるもので、作曲は上原げんと。まだ復興の途上にあった東京の街角を背景に、当時の庶民の息吹や希望を温かく描き、多くの人々に励ましを与えました。
4. 啼くな小鳩よ
1947年1月リリースの哀愁漂うバラード。作詞高橋掬太郎、作曲飯田三郎が手がけ、別れの悲しみと祈りを繊細な言葉で紡いでいます。リリース直後から大ヒットし、1950年には同名映画も公開されるなど、岡晴夫のキャリアを代表する重要曲となりました。
5. 憧れのハワイ航路
1948年12月リリース。作詞石本美由起、作曲江口夜詩による、ウクレレの軽快なリズムが印象的なナンバーです。本来は小畑実のために書かれた楽曲でしたが、東京不在の小畑に代わって岡晴夫が歌唱。その温かな歌声は戦後日本人にエキゾチックな夢と希望を届け、大ヒットを記録しました。
おわりに
以上ご紹介した五曲は、それぞれが岡晴夫のキャリアにおける転機や時代背景を映し出す名曲ばかりです。
戦前のデビューから戦後の復興、異国への憧れといった日本人のさまざまな感情に寄り添い続けた岡晴夫の歌声は、現在でも多くのリスナーに愛され、カラオケの定番曲として今なお歌い継がれています。
ぜひこれらの曲を改めて聴き直し、岡晴夫が紡いだ「希望と郷愁の歌声」をお楽しみください。
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