エディの革新から不朽のレガシーまで:ヴァン・ヘイレンの軌跡と影響

1972年の結成から2020年の活動終了まで、ヴァン・ヘイレンというバンドがハードロックシーンにもたらした革新性と、その後世に残した不朽の遺産を丁寧にひもときます。バンドは結成当初からエディ・ヴァン・ヘイレンの技術的天才と、兄弟であるアレックス・ヴァン・ヘイレンの堅実なリズム感を武器に、一気にロック界の頂点へと上り詰めました。1978年に発売されたセルフタイトル・デビュー作『Van Halen』は、全米ビルボード200で最高19位を記録し、アメリカ国内で1000万枚以上を売り上げるダイヤモンド認定を獲得する驚異的な大ヒットを放ちました。その後もシングル『Jump』やアルバム『1984』『5150』が次々とチャートを席巻し、全世界で7500万枚以上のアルバム売上を達成するなど、商業的成功と音楽的革新を両立させたことが特徴です。エディの編み出した両手タッピング奏法や“フランケンシュタイン”と呼ばれるカスタムギターは、多くのギタリストに決定的な影響を与え、現在のロックギター像の礎を築きました。さらに、徹底した舞台演出チェックとして知られる“ブラウンM&M’s禁止条項”や、2020年のロックの殿堂式典でのトリビュートなど、ライヴ面やエピソードにも数多くの伝説が残されています。

バンド結成と初期の歩み

ヴァン・ヘイレンは1972年、カリフォルニア州パサデナでギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンとドラマーのアレックス・ヴァン・ヘイレンの兄弟を中心に結成されました。当初はマーク・ストーンをベースに、ボーカルはエディ自身が務めるトリオ編成でしたが、1974年にマイケル・アンソニーとデヴィッド・リー・ロスが加入し、以後の黄金期ラインナップが固まりました。バンド名は当初「Mammoth」や「Genesis」を経て、最終的に「Van Halen」と命名されました。1977年にはワーナー・ブラザース・レコードと契約を結び、翌1978年にセルフタイトル・デビューアルバムをリリースしました。

デビューアルバム『Van Halen』は、全米ビルボード200で最高19位を記録し、リリースから約3年にわたりチャートインを続けるロングセラーとなりました。また、アメリカ国内での累計売上が1000万枚を超えたことから、RIAAのダイヤモンド認定を受け、当時のハードロックシーンにおける躍進を示す象徴的な作品となりました。この成功を受け、1979年の『Van Halen II』、1980年の『Women and Children First』、1981年の『Fair Warning』、1982年の『Diver Down』と精力的に新作を発表し、商業面・評価面ともに安定した人気を築き上げました。

音楽的特徴と技術的革新

ヴァン・ヘイレンの最大の魅力は、エディ・ヴァン・ヘイレンが生み出した革新的ギターテクニックにあります。とりわけ両手タッピング奏法は、それまでギター演奏において誰も試みなかった新たな表現を可能にし、後進のギタリストたちに大きなインスピレーションを与えました。この奏法は、片手によるハンマリングオンやプリングオフと、もう一方の手によるタッピングを組み合わせることで、ピアノのように複雑なフレーズを弾き出す技術です。

また、エディは自ら“フランケンシュタイン”と名付けた赤・白・黒のストライプ模様を施したカスタムギターを用い、独特のハーモニクスと強力なサウンドを実現しました。このギターは、ボルトオンメイプルネックと特別なエージング加工を施したアッシュボディを持ち、ステージ上での激しい使用にも耐えうる設計となっていました。こうした楽器面でのこだわりも、バンドのサウンドに一層の深みと個性を与えた要因です。

代表作と商業的ピーク

1984年発表のアルバム『1984』に収録されたシングル『Jump』は、バンド初のビルボードHot 100チャート1位を獲得し、5週連続でトップに君臨する大ヒットとなりました。キーボードをフィーチャーしたリフと、エディによるギターソロが絶妙に融合した楽曲は、ハードロックの枠を越えたポップ性も兼ね備えており、幅広い層から支持を集めました。

続く1986年リリースの『5150』は、サミー・ヘイガーをボーカルに迎えた初のアルバムで、同バンド初となるビルボード200での1位を獲得しました。収録曲『Why Can’t This Be Love』は全米トップ10入りを果たし、新たなフェーズでの商業的成功を確かなものとしました。以降も『OU812』『For Unlawful Carnal Knowledge』『Balance』といった続作が次々と全米1位を獲得し、1980年代後半から1990年代半ばにかけてバンドは全盛期を迎えました。

メンバー変遷とその背景

オリジナルラインナップはエディ・ヴァン・ヘイレン(ギター)、アレックス・ヴァン・ヘイレン(ドラム)、デヴィッド・リー・ロス(ボーカル)、マイケル・アンソニー(ベース)でしたが、1985年にロスが脱退し、サミー・ヘイガーが加入しました。1996年にはゲイリー・シェロンが短期間ボーカルを務めた後、2006年からはエディの息子ヴォルフガング・ヴァン・ヘイレンがベースを担当し、『A Different Kind of Truth』(2012年)まで活動を継続しました。

こうしたメンバーチェンジは、音楽性の多様化をもたらす一方で内部の緊張も生みましたが、各時期ごとに異なる魅力を放ち、ファンにとってはバンドの新たな側面を楽しむ機会ともなりました。

ライヴの逸話と演出

ヴァン・ヘイレンはライヴパフォーマンスでも伝説的であり、その舞台演出の徹底度を示す象徴が“ブラウンM&M’s禁止条項”です。コンサート契約書に茶色いM&M’sを排除する旨を記載することで、会場側が細部にわたって契約内容を遵守しているかを即座にチェックできる仕組みを構築していました。この方法は決して贅沢のためではなく、安全面や機材トラブル防止のための重要な確認手段として機能していました。

レガシーと影響

2020年、エディ・ヴァン・ヘイレンの逝去に際して行われたロックの殿堂式典では、Slash、Kirk Hammett(Metallica)、Tom Morello(Rage Against the Machine)らがトリビュート演奏を披露し、その影響力の大きさが改めて浮き彫りになりました。エディの技術革新は“現代ロックギターの父”とも称され、後進のギタリストたちがこぞって模倣し、自らのスタイルを築くきっかけとなりました。

また、ヴァン・ヘイレンの楽曲は映画やCM、ゲームなど多方面で使用され続け、リリースから数十年を経ても色あせない普遍的なエネルギーを放っています。これらの要素が重なり合い、ヴァン・ヘイレンはハードロック界における不朽のレガシーを確立し、今後もロック史に輝き続けることでしょう。


参考文献

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery