変容するスター:デヴィッド・ボウイが刻んだ時代を越える革新の名曲5選とその物語

デヴィッド・ボウイの5曲――「Space Oddity」「Heroes」「Changes」「Life on Mars?」「Let’s Dance」は、それぞれ異なる時代の彼の創造性と革新を象徴しています。1969年の「Space Oddity」は月面着陸ブームを背景にメジャー・トムの孤独を描き、彼の初の大ヒットとなりました。1977年の「Heroes」はベルリンの壁近くで生まれた希望のアンセムとして後世に語り継がれています。1972年発表の「Changes」は自己変容をテーマにしたアートポップの金字塔で、若者文化の代名詞となりました。1973年の「Life on Mars?」はシュールな歌詞と華麗な編曲で「史上最高の曲」の一つに数えられています。1983年の「Let’s Dance」はナイル・ロジャースとの共作によりダンス・ポップとロックを融合させ、ボウイの商業的頂点を築きました。以下、それぞれの楽曲について背景・制作過程とリリース後の評価を詳述します。

1. Space Oddity

背景と制作

1969年7月11日にリリースされた「Space Oddity」は、トニー・ヴィスコンティがプロデュースを担当し、ロンドンのトライデント・スタジオで録音されました。架空の宇宙飛行士メジャー・トムの物語を描き、スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』に影響を受けた歌詞と、フォークロックとサイケデリアを融合させた斬新なサウンドが特徴です。リリース当初はセールスが振るわなかったものの、BBCがアポロ11号月面着陸中継で使用したことから一気に注目を集め、UKシングルチャートで5位を記録しました

評価と影響

この曲はボウイの代表作となり、1975年の再発ではUKチャート初登場1位を獲得しました。多くのアーティストにカバーされ、2013年には宇宙飛行士クリス・ハドフィールドが国際宇宙ステーションで演奏して話題を呼びました。ボウイのキャリアにおける転機となった一曲です。

2. Heroes

背景と制作

1977年9月23日、ベルリンのハンザ・スタジオ2でブライアン・イーノと共に録音された「Heroes」は、トニー・ヴィスコンティがプロデュースを担当しました。ボウイは壁際でプロデューサーのトニー・ヴィスコンティと歌手アンソニア・マースがキスする光景にインスパイアされ、「I, I can remember (…)\” のフレーズが生まれたと語っています。

評価と影響

シングルはUKチャートで24位にとどまったものの、時間とともに評価が高まり、ロックの名曲として不動の地位を確立しました。死後の2016年には再びチャートインし、映画やスポーツイベントで定番として使用される希望のアンセムとなっています。

3. Changes

背景と制作

1972年1月7日にシングル発売された「Changes」は、1971年のアルバム『Hunky Dory』のオープニングトラックとして録音されました。トライデント・スタジオでのセッションにはリック・ウェイクマンがピアノで参加し、ケン・スコットと共同プロデュースを行いました。特徴的なピアノリフや多拍子の変化を織り交ぜ、“Turn and face the strange”の歌詞で自己変容と反抗のテーマを力強く表現しています。

評価と影響

当初シングルチャート入りは逃したものの、FMラジオで頻繁にオンエアされ、若者の自由と自己表現の象徴的アンセムとして定着しました。ボウイ自身がステージで必ず演奏する定番曲となり、その後のキャリアにも大きな影響を与えています。

4. Life on Mars?

背景と制作

1973年6月22日にシングル化された「Life on Mars?」は、1971年発表の『Hunky Dory』に収録されました。フランク・シナトラの“My Way”をパロディ的に引用した歌詞と、ストリングスとピアノを中心としたグラムロック的アレンジが特徴です。ミック・ロックが撮影したプロモ映像ではターコイズのスーツをまとったボウイが印象的に歌い上げています。

評価と影響

UKシングルチャートで3位を記録し、批評家から絶賛され続けています。英BBCのランキングやRolling Stone誌など多くのメディアで“史上最高の曲”のひとつに選出され、テレビドラマや映画のタイトルにも採用されるなど、世代を超えて愛されています。

5. Let’s Dance

背景と制作

1983年3月14日にリリースされた「Let’s Dance」は、ナイル・ロジャースとの共作で、ニューヨークのパワー・ステーション・スタジオで録音されました。フォークロック的な原曲をロジャースがディスコ・ファンク/ダンス・ポップへ大胆に再構築し、ボウイのキャリア最大の商業的成功をもたらしました。

評価と影響

UKとUSのシングルチャートでいずれも1位を獲得し、全世界で1,000万枚以上を売り上げました。MTV時代のビデオ全盛期に合わせたプロモ映像も話題となり、ボウイを80年代のポップアイコンとして再定義しました。その後のアルバム『Tonight』『Never Let Me Down』にも影響を与えつつ、彼の音楽パレットを広げる重要な一歩となりました。


参考文献

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