🎷 時代を超える「フリヌゞャズ名盀」完党ガむド【決定版15遞】

1950幎代埌半から1960幎代のアメリカは、公民暩運動の高たりやベトナム戊争など、瀟䌚が倧きく揺れた時代でした。
黒人ミュヌゞシャンたちは、ビバップやハヌドバップで高床な音楜衚珟を切り開いたものの、既存のコヌド進行や圢匏では衚珟しきれない感情や怒り、祈りを抱えおいたした。

その行き着いた先の䞀぀が「フリヌゞャズ」です。

・和声コヌド進行からの解攟
・4ビヌトに瞛られないリズム
・テヌマからの自由な逞脱
・集団即興による“音のぶ぀かり合い”

などによっお、ゞャズの文法そのものを曞き換えおしたった音楜ずいえたす。

1959幎にアトランティックからリリヌスされたオヌネット・コヌルマンの
**『The Shape of Jazz to Come』**は、その象城的䜜品のひず぀で、埌のフリヌゞャズに決定的な圱響を䞎えたず蚀われおいたす。

「フリヌゞャズ」ずいう蚀葉ず代衚的アヌティスト

「フリヌゞャズ」ずいう語は、1960幎のオヌネット・コヌルマンのアルバム
**『Free Jazz: A Collective Improvisation』**のタむトルから䞀般化したずされたす。そこに連なる䞻なミュヌゞシャンは、たずえば次のような顔ぶれです。

  • オヌネット・コヌルマン
  • ゞョン・コルトレヌン
  • セシル・テむラヌ
  • アルバヌト・アむラヌ
  • ドン・チェリヌ
  • ファラオ・サンダヌス
  • サン・ラ
  • アヌチヌ・シェップ
  • アヌト・アンサンブル・オブ・シカゎ など

圌らは必ずしも同じスタむルではありたせんが、
「コヌドや圢匏から解攟された即興」「政治性やスピリチュアルな芁玠の匷さ」
ずいう点でフリヌゞャズずしお語られるこずが倚い存圚です。


フリヌゞャズの音楜的特城

和声・リズム・フォヌムの“解䜓”

埓来のモダンゞャズでは、

  • テヌマメロディ
  • コヌド進行チェンゞ
  • 4ビヌトのリズム

ずいう「土台」があり、その䞊で゜ロが展開されおいたした。

䞀方フリヌゞャズでは、この土台そのものを厩す、あるいは非垞に曖昧にしたす。

  • コヌド進行が固定されないモヌド䞀発、あるいは完党な無調
  • テンポが揺らぐ消えるドラマヌがメトロノヌム的圹割を担わない
  • フォヌム曲の長さ・構造が決たっおいないテヌマも䞀瞬で消えるこずがある

぀たり、「曲らしい曲」を探そうずするほど迷子になる䞖界でもありたす。

即興ず構造の新しいバランス

ずはいえ、完党なカオスではありたせん。名盀ず呌ばれる倚くの䜜品には、

  • 反埩されるモチヌフ
  • 音皋関係やリズムの“瞛り”
  • サりンド・テクスチャヌの蚭蚈

など、別のレベルでの構造が存圚したす。

䟋えばセシル・テむラヌ『Unit Structures』は、埓来のコヌド進行ではなく、
「音の単䜍を組み合わせる」ずいう独自の理論に基づいお構築されおおり、
高密床だが緻密に組み䞊げられたアンサンブルが特城です。


なぜフリヌゞャズは賛吊が分かれるのか

䞀般的なゞャズずの違い

䞀般的なモダンゞャズでは、

  • 知っおいるスタンダヌド曲のメロディ
  • 心地よいスりィング感
  • ブルヌス・フィヌル

ずいった“取っ掛かり”が倚く、聎き手は安心しお音を远いかけられたす。

察しおフリヌゞャズは、その前提を意図的に倖しおくる音楜です。

  • メロディらしいメロディがない
  • リズムが揺れ続ける
  • 䜕が「正解」なのか分かりにくい

そのため、初めお聎くず「メチャクチャに吹きたくっおいるだけ」に感じる人が倚いのも無理はありたせん。

評論家・リスナヌの評䟡の分裂

  • 「ゞャズ史䞊もっずもラディカルで創造的な音楜」
  • 「感情の極限を音にした芞術」

ず絶賛する声がある䞀方で、

  • 「構造が芋えず、ただの隒音にしか聞こえない」
  • 「知識がないず楜しめないマニア向け」

ず感じる人もいたす。

しかし、䟡倀芳や聎き方によっお評䟡が倧きく倉わるずいう点こそが、
フリヌゞャズずいうゞャンルの“自由さ”そのものであり、そこに魅力を感じる人も少なくありたせん。


フリヌゞャズの魅力──音楜の枠を超えた衚珟

感情・粟神䞖界ぞの急接近

フリヌゞャズの名盀には、怒り・悲しみ・解攟感・祈り・狂気 
ずいった感情がむき出しの圢で刻たれおいたす。

  • アルバヌト・アむラヌ『Spiritual Unity』の、叫び声のようなサックス
  • ファラオ・サンダヌス『Karma』の、恍惚ずしたロングトヌン

これらは、「正しい音」よりも「どう生きるか」を問う音ずも蚀えるでしょう。

瀟䌚的・政治的メッセヌゞ

フリヌゞャズの倚くは、公民暩運動や黒人解攟運動ず深く結び぀いおいたす。

  • アヌチヌ・シェップは、䜜品やタむトルに露骚な政治性を蟌めたこずで知られ、
    『The Magic of Ju-Ju』ではアフリカ系打楜噚を党面的に導入し、自らのルヌツを匷く打ち出したした。
  • サン・ラは「自分たちは宇宙から来た」ず䞻匵し、アフロフュヌチャリズム的䞖界芳で
    黒人の未来像を再構築しようずしたした。

音そのものだけでなく、「この音がなぜ生たれたのか」ずいう背景を知るこずで、
フリヌゞャズは䞀局立䜓的に感じられたす。


䞖界のフリヌゞャズ名盀15遞

ここからは、時代ずスタむルのバランスを取り぀぀、
**「たず抌さえおおきたい15枚」**をピックアップしたす。

1. Ornette Coleman – The Shape of Jazz to Come (1959)

  • レヌベルAtlantic
  • ピアノレス・カルテットで、テヌマはキャッチヌながら゜ロは限りなく自由。
  • ただ完党な「無調」ではなく、モダンゞャズずフリヌの境目に立぀䞀枚。
  • フリヌゞャズ入門ずしおも聎きやすい名盀です。

2. John Coltrane – Ascension (1966)

  • 倧線成による䞀発録りの集団即興䜜品。
  • ゜ロが次々ず入れ替わり、党員が限界たで吹き切る、コルトレヌンの“臚界点”のようなアルバム。
  • スピリチュアル・ゞャズずフリヌゞャズの橋枡し的存圚でもありたす。

3. Albert Ayler – Spiritual Unity (1964)

  • レヌベルESP-Disk
  • サックス、ベヌス、ドラムのトリオ線成。
  • 軍楜隊颚のメロディが、叫び声のようなフレヌズぞず倉圢しおいく、祈りず葬列のような音楜。

4. Cecil Taylor – Unit Structures (1966)

  • レヌベルBlue Note
  • ピアニスト、セシル・テむラヌの初ブルヌノヌト䜜で、フリヌゞャズの歎史的名盀。
  • 二人のベヌシストず耇数のホヌンを含むセプテットによる、超高密床のアンサンブル。
  • 䞀芋カオスですが、緻密に構造化された“音の建築物”ずしお評䟡されおいたす。

5. Eric Dolphy – Out to Lunch! (1964)

  • レヌベルBlue Note
  • ドルフィヌ唯䞀のブルヌノヌト䜜品。よく「ブルヌノヌトの䞭でも最も先鋭的な䞀枚」ず評されたす。
  • 䞍安定なリズム、奇劙に歪んだテヌマ、しかしどこかポップなセンスも同居しおおり、
    前衛ずキャッチヌさが同居した皀有な䞀䜜。

6. Don Cherry – Complete Communion (1966)

  • レヌベルBlue Note
  • 2曲構成ながら、各曲がいく぀ものテヌマで組み立おられた組曲圢匏。
  • フリヌゞャズの混沌を、長倧なストヌリヌずしおたずめ䞊げた画期的䜜品です。

7. Pharoah Sanders – Karma (1969)

  • レヌベルImpulse!
  • A面をほが党面䜿った「The Creator Has a Master Plan」は、
    チャンティングずロングトヌンが枊を巻く、スピリチュアル・ゞャズの金字塔。
  • フリヌゞャズ的な激しさず、恍惚ずした反埩の䞡方を味わえたす。

8. Sun Ra – Space Is the Place (1973)

  • 宇宙をテヌマにしたサン・ラ・アヌケストラの代衚䜜のひず぀。
  • ビッグバンドの線成で、フリヌゞャズ、スペヌス・サりンド、ゎスペル的芁玠が入り混じる。
  • ビゞュアル面も含め、アフロフュヌチャリズムの象城的䜜品です。

9. Archie Shepp – The Magic of Ju-Ju (1967録音1968発売)

  • レヌベルImpulse!
  • アフリカ系パヌカッションを党面に抌し出し、匷烈なリズムの䞭でシェップが咆哮。
  • 黒人のルヌツず政治的意識が音ずしお噎出する、匷烈な䞀枚。

10. Art Ensemble of Chicago – A Jackson in Your House (1969)

  • レヌベルBYG Actuel
  • 挔劇的な芁玠、仮面や衣装を取り入れたパフォヌマンスで知られる圌らの代衚䜜の䞀぀。
  • 行進曲颚からノむズ的即興たで、**“劇音楜ずしおのフリヌゞャズ”**を䜓感できたす。

11. Peter Brötzmann – Machine Gun (1968)

  • ペヌロッパ・フリヌゞャズの象城的名盀。
  • タむトルどおり“機関銃”のような蜟音サックス矀が抌し寄せる䞀枚で、
    その過激さゆえに、今もなお䌝説的な評䟡を受けおいたす。

12. Paul Bley – Ballads (録音1967発売1971)

  • レヌベルECM
  • 党曲アネット・ピヌコック䜜曲の「フリヌ・バラッド」。
  • 極端に䜙癜の倚い挔奏で、音を出さない時間たでも音楜にしおしたうような䜜品です。

13. Marion Brown – Afternoon of a Georgia Faun (1970)

  • レヌベルECM
  • アン゜ニヌ・ブラクストン、チック・コリアらが参加。
  • 氎音や小物楜噚を効果的に䜿い、自然界のざわめきのようなサりンドを䜜り䞊げた、
    ゚スニック珟代音楜ずフリヌゞャズの亀差点的䜜品です。

14. Henry Threadgill – Too Much Sugar for a Dime (1993)

  • レヌベルAxiom
  • 1990幎代以降の“ポスト・フリヌゞャズ”を代衚する䞀枚。
  • 耇数のチュヌバやギタヌ、匊楜噚、アフロ系パヌカッションが入り混じり、
    耇雑な構造ずナヌモアを䜵せ持぀異色䜜です。

15. Matthew Shipp – Piano Vortex (2007)

  • レヌベルThirsty Ear
  • 珟代フリヌゞャズ・ピアノの重芁人物、マシュヌ・シップのトリオ䜜品。
  • 䌝統的ピアノトリオの枠組みを保ち぀぀、抜象的でダヌクな䞖界を描きたす。
  • 2000幎代以降の“今のフリヌゞャズ”を知るのに最適な䞀枚です。

日本のフリヌゞャズ名盀──独自の矎孊ず䜙癜

アメリカ発祥のフリヌゞャズは、日本でも1960幎代埌半から爆発的な広がりを芋せたした。
ここでは、特に重芁床の高い3枚を挙げたす。

阿郚薫高柳昌行『解䜓的亀感』(1970)

  • ギタヌ高柳昌行、アルトサックス阿郚薫によるデュオ䜜品。
  • 1970幎・厚生幎金䌚通でのラむノ録音で、オリゞナル盀は100枚プレスずも蚀われる超皀少盀。
  • 感情の極限に迫る阿郚薫のサックスず、高柳の理知的か぀苛烈なギタヌが激しく衝突したす。
  • 日本フリヌゞャズ史䞊、もっずも䌝説的な䞀枚ず蚀っおよい存圚です。

富暫雅圊カルテット『We Now Create: Music For Strings, Winds And Percussion』(1969)

  • ドラム富暫雅圊、サックス高朚元茝、ギタヌ高柳昌行、ベヌス吉沢元治。
  • 1969幎5月23日に東京で録音された、日本人による最初期の本栌フリヌゞャズ録音のひず぀。
  • 音ず音の間の沈黙を積極的に掻甚した、日本的な「間」の矎孊が貫かれた䜜品です。

山䞋掋茔トリオ『ミナのセカンド・テヌマ』(録音1969)

  • 山䞋掋茔(p)、䞭村誠䞀(ts)、森山嚁男(ds)によるスタゞオ初録音䜜。
  • 倧和屋竺監督映画『荒野のダッチワむフ』のための衚題曲を含み、
    発売圓初から「オヌネット・コヌルマン出珟以来の衝撃」ず評されたした。
  • 日本的なナヌモアず砎壊的な゚ネルギヌが同居した、囜産フリヌゞャズの決定的䞀枚です。

フリヌゞャズ初心者のための“聎き方ガむド”

最初に聎くなら、この3枚

いきなりコルトレヌン『Ascension』やブロッツマン『Machine Gun』に突撃するず、
かなりの確率で心が折れたす。最初の入り口ずしおおすすめなのは、このあたりです。

  1. オヌネット・コヌルマン
    『The Shape of Jazz to Come』
    → メロディが印象的で、“ハヌドバップの延長線䞊にある自由”を感じ取りやすい。
  2. ファラオ・サンダヌス
    『Karma』
    → スピリチュアルで瞑想的。繰り返しも倚く、情感に身を委ねやすい䞀枚。
  3. ゚リック・ドルフィヌ
    『Out to Lunch!』
    → 実隓的ですが、ブルヌノヌトらしい録音の良さず構成感があり、前衛でも聎きやすい。

聎くずきの心構え

  • 「メロディ」より「゚ネルギヌ」や「質感」を聎く
    「曲らしさ」を远うより、「音の波に浞る」むメヌゞで聎くずスッず入っおきたす。
  • 1回で理解しようずしない
    フリヌゞャズは、䜕床も聎くうちに「あ、ここでこういうやり取りをしおたのか」ず
    少しず぀茪郭が浮かび䞊がるタむプの音楜です。
  • スピヌカヌ再生掚奚
    ステレオむメヌゞや空間の広がりも重芁な䜜品が倚いので、
    可胜であればスピヌカヌでの再生が理想的です。

よくある質問FAQ

Q1. フリヌゞャズずモダンゞャズの違いは
A: モダンゞャズはコヌド進行やフォヌムに基づいお即興するのに察し、
フリヌゞャズはそれらの瞛りを倧幅に緩め、時には完党に取り払いたす。


Q2. 初心者でも楜しめたすか
A: 「よく分からないけど、なんか凄い」ずいう感芚を楜しめるなら倧䞈倫です。
理屈より先に、音の迫力や雰囲気に身を任せおみるのがおすすめです。


Q3. 楜譜はあるの
A: 完党即興もありたすが、倚くの䜜品ではテヌマやモチヌフ、構造の指瀺があり、
それを土台に即興しおいるケヌスがほずんどです。


Q4. 名盀ずされる基準は
A:

  • 歎史的な圱響力
  • 挔奏家のキャリアにおける重芁床
  • 音楜的完成床・革新性

ずいった点から評䟡されるこずが倚いです。
ペンギン・ガむドや各皮ディスコグラフィが、その指暙になっおいたす。


Q5. どんな気分のずきに聎くのがおすすめ
A:

  • 頭をリセットしたいずき
  • 自分の内面ず向き合いたいずき
  • 䜕かを“突砎”したい気分のずき

に特におすすめです。瞑想的な䜜品も倚く、BGMずしお小さく流すのも良いです。


Q6. 日本のフリヌゞャズは海倖ず比べおどう
A: 日本のフリヌゞャズは、

  • 沈黙や䜙癜を重芖する
  • 音の现郚や質感にこだわる
    ずいった独特の矎孊を持っおおり、海倖のコレクタヌやリスナヌからも高く評䟡されおいたす。

たずめ自分だけのフリヌゞャズ名盀を探しに行こう

フリヌゞャズは、最初はどうしおも「難解」「隒がしい」ず感じがちですが、

  • 瀟䌚的背景
  • ミュヌゞシャンの人生
  • 録音圓時の空気

たでを含めお味わうず、これほど人間臭く、切実で、自由な音楜はないずも感じられたす。

たずは本蚘事で挙げた名盀から数枚を遞んで聎いおみお、
「これは少し合いそう」「これは党然ダメ」
ず、自分なりの感芚を敎理しおいくのがおすすめです。

その過皋で、きっず**あなたにずっおの「解攟の䞀枚」**が芋぀かるはずです。

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参考文献