執務エリアとは?意味・レイアウト・設計のポイントをわかりやすく解説|オフィス設計の基本
執務エリアとは
**執務エリア(しつむエリア)**とは、オフィスや事務所などの中で、社員が日常的に業務を行う空間を指します。
「執務室」や「ワークスペース」とも呼ばれ、デスクや椅子、パソコン、書類棚などが設置されているエリアです。
このエリアは、オフィスの中でも最も人の滞在時間が長く、快適性・効率性・安全性が重視される空間です。
レイアウトや照明、空調、動線設計などが、働きやすさや生産性に大きく影響します。
執務エリアの位置づけ
オフィス空間は大きく以下の3つに分類されます。
| 区分 | 主な役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 執務エリア | 日常業務を行うスペース | デスク、作業机、PCエリアなど |
| 共用エリア | 社員や来客が共に利用するスペース | 会議室、休憩室、受付、廊下など |
| 管理・サポートエリア | 管理業務や設備運用を担うスペース | サーバールーム、機械室、倉庫など |
つまり、執務エリアはオフィスの中心的存在であり、業務効率や働き方を支える重要な空間です。
執務エリアのレイアウト種類
執務エリアのレイアウトは、企業文化や業務内容によって異なります。
主なパターンを紹介します。
1. 島型レイアウト(対向式)
もっとも一般的な配置方法で、デスクを島状に並べてチームごとに座る方式です。
コミュニケーションが取りやすく、部署単位でまとまりやすい特徴があります。
2. フリーアドレス型
個人の固定席を設けず、自由に好きな席で作業するスタイルです。
ノートPCや無線ネットワークが整った現代の働き方に適しています。
スペース効率が高く、テレワークと併用しやすい点もメリットです。
3. ブース型(パーティション分割)
集中作業を重視したい場合に有効で、個別の仕切りを設けて半個室化します。
コールセンターや研究開発職などに多く見られる形式です。
4. ABW型(Activity Based Working)
仕事内容に応じて「集中」「打ち合わせ」「休憩」などのエリアを使い分ける方式です。
多様な働き方に対応でき、オフィスの快適性を高めます。
執務エリア設計のポイント
1. 動線計画
人の移動経路を明確にし、通路を塞がない・ぶつからない設計にします。
一般的に、通路幅は主動線で1200mm以上、副動線で900mm程度が望ましいとされています。
2. 照明計画
長時間のデスクワークでは、グレア(まぶしさ)を防ぎ、均一な明るさを確保することが大切です。
机上面照度は一般的に500〜750 lx程度が推奨されています。
3. 空調・換気
執務エリアは人の密度が高いため、快適な温度と空気質を保つ空調設計が必須です。
VAV方式(可変風量方式)などを採用することで、省エネと快適性を両立できます。
4. 音環境
オープンオフィスでは、会話や電話の声が響きやすいため、吸音材やゾーニングによる音対策が求められます。
カーペットや吸音パネルを活用するのも有効です。
5. セキュリティ・安全性
個人情報を扱う場合や災害時を想定し、入退室管理・避難経路・防災計画も重要な検討項目です。
執務エリアのトレンド
近年では、働き方改革やウェルビーイングの観点から、執務エリアにも変化が見られます。
- 自然光を取り入れる設計(窓際配置や採光計画)
- 植物や木材を活用したバイオフィリックデザイン
- 集中と交流を両立するゾーニング
- ICT(情報通信技術)を活用したスマートオフィス化
これらは、生産性の向上だけでなく、社員の健康や満足度を高める効果もあります。
まとめ
執務エリアとは、オフィスの中核を担う「働く空間」であり、快適性・効率性・安全性のバランスが求められるエリアです。
適切なレイアウトと設備設計によって、生産性の高い職場環境を実現できます。
今後は、テクノロジーや多様な働き方に対応する“柔軟な執務エリア設計”が、オフィスづくりの鍵となるでしょう。


