ターンバックルとは?構造・種類・使い方をわかりやすく解説|建築・土木で使われる張力調整金具の基礎知識
ターンバックルとは
**ターンバックル(Turnbuckle)**とは、ワイヤーやロッド(鉄筋・ボルト)などの張力を調整するための金具です。
両端にねじを切った金属製の胴体(本体)を回転させることで、引張力(テンション)を強めたり、緩めたりすることができます。
建築・土木の分野では、ターンバックルは次のような場面で広く使用されています。
- 仮設足場や支保工の引張調整
- ワイヤーロープや吊り構造の張り具合調整
- 鋼構造物・看板・フェンス・ネットの固定
- 鉄骨ブレースや補強材のテンション調整
シンプルな構造ながら、安全・確実に引張力を制御できる部品として重要な役割を担っています。
ターンバックルの構造と仕組み
ターンバックルは、基本的に次の3つの部分で構成されています。
| 部品名 | 役割 |
|---|---|
| 本体(胴体) | 左右にねじ穴を持ち、回転することで全長を調整する中心部。 |
| 右ねじボルト(右ねじシャフト) | 通常のねじ方向(時計回りで締まる)で本体の一方に接続。 |
| 左ねじボルト(左ねじシャフト) | 反対側に接続し、反対方向にねじを切ってあるため、本体を回すだけで両端が同時に締まる。 |
仕組み
- 本体を時計回りに回すと、両端が近づき、ワイヤーやロッドが引き締まる。
- 逆に反時計回りに回すと、両端が離れて、張力が緩む。
このように、本体を回すだけで全体の長さと張力を調整できるのがターンバックルの特徴です。
ターンバックルの使用例
1. 建築・土木現場
- 鉄骨ブレースやテンションロッドの調整
→ 建物の変形防止や耐震補強に使用。 - 仮設足場・支保工の引張固定
→ 支柱の倒れやズレを防ぐための調整具として使用。
2. 電設・通信工事
- 電柱やアンテナの支線(ステー)調整に使用し、角度やテンションを微調整。
3. 景観・建築意匠
- ワイヤー手すりやファサードテンション構造などのデザインワイヤーの張り調整にも利用。
見た目がスマートで、ステンレス製がよく使われます。
ターンバックルの材質と表面処理
| 材質 | 特徴 |
|---|---|
| 鉄(SS400など) | 一般的な建築・土木用。溶融亜鉛メッキ処理で防錆。 |
| ステンレス(SUS304・316) | 錆びにくく、屋外や海岸部など腐食環境に強い。 |
| アルミ製 | 軽量で持ち運びや施工性が高いが、強度はやや低い。 |
表面処理としては、溶融亜鉛メッキ・電気亜鉛メッキ・塗装仕上げなどが一般的です。
使用上の注意点
- 締めすぎに注意
過度に引張ると、ボルトやワイヤーが破断するおそれがあります。 - ゆるみ防止処置
振動がある場所では、ロックナットや割ピンで固定して緩みを防ぎます。 - 点検・メンテナンス
腐食やねじのかじり(焼付き)を防ぐため、定期的な潤滑・清掃が必要です。 - 荷重方向を守る
ターンバックルは軸方向(引張方向)のみに使用し、曲げやねじりは厳禁です。
まとめ
ターンバックルとは、ワイヤーやロッドの張力を簡単に調整できる金具であり、建築・土木・電設・意匠構造など幅広い分野で使用されています。
シンプルな構造ながら、施工精度の確保・安全性の維持・メンテナンス性の向上に大きく貢献する重要な部材です。
正しい種類選定と施工管理を行うことで、長期にわたり安定した構造性能を発揮します。


