Ferry Corstenのレコード完全ガイド:System F・Gouryellaの12インチ名盤と収集術
はじめに — Ferry Corsten とレコード文化
オランダ出身のプロデューサー/DJ、Ferry Corsten(フェリー・コーステン)は、1990年代後半から2000年代にかけてトランス/プログレッシブ界を牽引した重要人物です。彼の楽曲はクラブやラジオだけでなく、12インチやアナログ盤のDJ文化とも深く結びついており、オリジナル12インチのリリースやプロモ盤、限定プレスなどレコード面でのコレクティング価値が高い作品が多数あります。本コラムでは代表曲・名盤をレコード的な観点も交えて深掘り解説します。
System F — "Out of the Blue"(代表曲解説)
概要:
- “Out of the Blue”は、Ferry CorstenがSystem F名義でリリースしたトランス・アンセム。アッパーなBPM、キャッチーなリードメロディ、大きなブレイクダウンが特徴です。
- 楽曲の音作りとしては、クリアな4つ打ちのキックに対してスーパーソウ系のリード(ポリフォニックなレイヤー)と、長めのリバーブが効いたパッドで壮大さを演出しています。90年代後半にトランスで広く使われていたシンセ(JP-8000系のスーパーソウ等)を想起させるサウンドです。
レコード面のポイント:
- オリジナル12インチの初期プレス(オリジナルA面/B面構成やカラースリーブの有無)はコレクターに人気。初回プレスのプロモ盤やホワイトラベルの流通が多く、これらは市場でプレミアが付くことがあります。
- リミックス違いが複数収録されることがあり、DJ用途の違うヴァージョン(インスト、アシッドリミックス、ロングイントロ版など)を揃えた12インチは実用性とコレクション性の両方を備えます。
Gouryella — "Gouryella"(共同プロジェクトの名曲)
概要:
- GouryellaはFerry CorstenとTiëstoが共同で行っていたプロジェクト名義で、そのセルフタイトル曲“Gouryella”は1999年前後のトランスを代表する一曲です。牧歌的で浮遊感のあるメロディとドラマチックな展開が強烈に印象に残ります。
- メロディの組み立て方やオーケストラ的な盛り上げ方は、クラブだけでなくフェスやラジオでも映える「アンセム性」を備えています。
レコード面のポイント:
- Gouryella名義のオリジナル12インチは当時のクラブDJに広く使われ、白レーベルやプロモ盤、地域ごとの盤起こし(EU/UK/USプレス)で音質やマスタリングの差が出ることがあります。音質やマスタリングの好みでプレス違いを探す楽しさがあります。
- 限定のピクチャディスクや再発盤が出ることもあり、初回スリーブやマトリクス刻印を確認することで“真の初版”を見分けることができます。
代表アルバム — アナログでの存在感
Right of Way(2003)、L.E.F.(2006)、Twice in a Blue Moon(2008)など、FerryのフルアルバムはいずれもLPや12インチカットでリリースされたことがあります。アルバム単位のアナログリリースでは以下の点が注目されます。
- シングルカット曲の収録・別バージョン:アルバム収録曲が後に12インチでDJ向けに長尺やリミックスで再発される例が多く、アルバムと12インチをセットで集めるとその違いが楽しめます。
- アルバム用のアナログプレスはマスタリングがCD/配信用と異なる場合があり、温かみやローエンドの出方が違うことがあります。レコードコレクターはこれを基準に“聴き比べ”をすることが多いです。
- 限定盤(カラー盤、クリア盤、特殊ジャケット)の有無は収集価値に直結します。発表年やレーベルのプレス番号で相対的な希少性が変わります。
その他の重要トラックと変遷
FerryはSystem FやGouryella以外にも、自身名義や多くの別名義(例:Vimana, Cortex, Moonmanなど)で数多くのトラックを残しています。特徴的なのは“メロディ先行”の書法と、クラブでの使い勝手を考えた構成(イントロのドラム引き・ブレイクのドラマ構成)で、12インチ文化に非常に合致した作品群です。
レコード収集の実務的観点(探し方・見分け方)
- カタログ番号とマトリクス(ランアウト溝の刻印)は初版・再発を見分ける重要な手がかり。オンラインのカタログ(Discogs等)でカタログ番号を照合しましょう。
- プロモ(白ラベル)と市販盤の違い:プロモ盤は限定流通で音源(別マスター)やミックスが異なることがあるため、コレクターやDJから高い需要があります。
- 地域プレス差:UK/欧州/米国/日本プレスでゲイン感やEQが微妙に違うことがあり、好みに合わせて探すと面白いです。
- 帯やインサート、ステッカーの有無:日本盤や特典付きのプレスは国内市場で特に価値が出ることが多いです。
音楽的分析(トラック構造と魅力)
Ferry作品に共通する要素:
- テーマとしての“高揚感”の重視:シンプルで覚えやすいフックを中心に据え、段階的に盛り上げる楽曲設計。
- サウンドデザイン:リードは明瞭で倍音が豊富、パッドは長めのリバーブで空間を作り、ハイエンドを引き締めるハットやパーカッションが細かく散りばめられる。
- ミックスの配慮:ダンスフロアで埋もれないよう低域は堅実に、スネア・キックのアタックを重要視。アナログ盤で再生した時のパンチ感が考えられたミックスが多いです。
レコード市場における価値と注意点
- 初期の12インチシングル(特にプロモや白ラベル)や限定カラープレスは中古市場で高騰することがあります。オークションや専門ショップで相場を確認しましょう。
- 再発がある曲でも「初回のマスター」を求めるコレクターが多く、初版の音圧やEQの違いを理由に同曲の複数プレスを保有する人もいます。
- 正規流通品の偽物・ブート盤も存在するため、スリーブの印刷品質、レーベル面の刻印、盤面ラベルのフォントを注意深く確認してください。
まとめ
Ferry Corstenの楽曲群はトランス史上に残る名曲が多く、12インチやLPというアナログ形式と相性が良いものが多数あります。単に「聴く」だけでなく、オリジナルプレスやプロモ盤の違いを探すこと自体がコレクションの醍醐味です。レコード市場では初版や限定盤に価値が付きやすいため、購入時は盤・スリーブ・マトリクス刻印を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
参考文献
- Ferry Corsten — Wikipedia
- Out of the Blue (System F) — Wikipedia
- Gouryella (song) — Wikipedia
- Flashover Recordings — 公式サイト
- Discogs — レコードのカタログ照合に便利(各リリース検索)
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