ムーディー・ブルース完全ガイド:代表作の聴きどころとレコード選びのポイント

イントロダクション — The Moody Blues を再発見する

The Moody Blues(ムーディー・ブルース)は、1960年代後半から1970年代にかけてロックとオーケストラ的なサウンドを融合させた先駆的バンドです。メロディメーカーとしてのジャスティン・ヘイワード、詩的な作詞のジョン・エルドリッジ(主に初期はマイク・ピンダー等も貢献)、そしてメロトロンを活用した壮麗なサウンドスケープが特徴で、「シンフォニック・ロック」「プログレッシブ・ポップ」の基礎を築きました。本稿では、代表作と聴きどころを深掘りし、レコード収集の観点で確認しておきたい版や選び方のポイントも併せて紹介します(レコードの再生・保管方法そのものの解説は含めません)。

バンド史の要点(簡潔に)

  • 初期:1964年にブリストルで結成。初期はR&B系のシングルをリリースし、名曲「Go Now」で世界的に注目されました(当時はラインナップが現在の“クラシック”編成とは異なる)。
  • 再編と転機(1966–67):ジャスティン・ヘイワードとジョン・ロッジ加入後、バンドは作曲力とコーラスワークを大きく伸ばし、1967年の『Days of Future Passed』でオーケストラを取り入れたコンセプト作を発表。以降、彼らの“シンフォニック・ポップ”路線が確立します。
  • 黄金期(1967–1972):『In Search of the Lost Chord』『On the Threshold of a Dream』『To Our Children's Children's Children』『A Question of Balance』『Every Good Boy Deserves Favour』『Seventh Sojourn』といった連作で音楽性を深化させ、特にアルバム単位で聴く体験を重視しました。
  • 以降:1970年代後半から1980年代にかけてはスタイルの変化とメンバーの活動を経て、1981年の『Long Distance Voyager』などで商業的成功を再び得ています。

おすすめレコード(深掘り解説)

Days of Future Passed(1967)

代表曲:Nights in White Satin / Tuesday Afternoon

なぜ聴くべきか:ムーディーズの代名詞的名盤。ロック・バンドとオーケストラ(指揮:ピーター・ナイト)を組み合わせ、「日常から夜へ移行する一日」というコンセプトで統一された流れが特徴です。メロトロンと管弦楽の対比が生むドラマ性、そしてジャスティン・ヘイワードの叙情的なメロディは今も色褪せません。

レコード選びのポイント:オリジナルのDeram盤や当時のUSプレスは人気があります。アルバムは曲間の流れを重視するため、完全版(オリジナルのトラック順、オーケストラのミックスが反映された盤)を選ぶと良いでしょう。後年のリマスター/デラックス盤は音像がクリアになりますが、オリジナル・アナログ特有の温度感を好むコレクターも多いです。

In Search of the Lost Chord(1968)

代表曲:Ride My See-Saw / Dr. Livingstone, I Presume

なぜ聴くべきか:実験性と多様性に富んだ一枚。世界観やスピリチュアリティ、即興的な演奏要素が強く出ており、インド音楽的な要素や民族楽器の導入、サイケデリックな色合いも含まれます。アルバム全体が“探索”というテーマでまとまっているため、曲ごとの個性を楽しみつつ通して聴く価値が高いです。

レコード選びのポイント:こちらもDeram初出盤が基本的な参照点。ジャケットの状態(内袋や付属のステッカー等)をチェックするとコレクション価値が上がります。

On the Threshold of a Dream(1969)

代表曲:Forever Autumn(※正確にはこの曲は後のプロジェクト関連だが雰囲気を共有) / The Dream

なぜ聴くべきか:タイトル通り、夢幻的なニュアンスが強く、バンドのサウンドがより統合され洗練された一枚。メロトロンとハーモニーの融合がスムーズで、コンセプチュアルな歌詞も魅力です。

レコード選びのポイント:オリジナルのUKプレスは音質・ジャケットの再現で価値が高い傾向。盤そのものの溝刻印やマトリクス情報を確認するとプレス世代が判別できます(詳細はリファレンスサイトで確認を)。

To Our Children's Children's Children(1969)

代表曲:Gypsy / Watching and Waiting

なぜ聴くべきか:コンセプトは宇宙や未来を見据えたもので、アポロ計画と同時期にリリースされたことでも知られます。壮大で瞑想的なパートが多く、バンドの“スペース感”を堪能できる作品です。

レコード選びのポイント:オリジナルのカラージャケットやインサートが揃っていると価値が上がります。音楽的にはナチュラルなアナログサウンドが魅力です。

A Question of Balance(1970)/Every Good Boy Deserves Favour(1971)

代表曲(A Question of Balance):Question / The Balance
代表曲(Every Good Boy…):The Story in Your Eyes / Melancholy Man

なぜ聴くべきか:前者はよりシンプルでストレートなロック性を志向し、曲が直接的に耳に残る作風です。後者はより劇的でオーケストレーションが効果的に使われ、アルバムとしての完成度が高いと評価されています。両盤ともにバンドの表現の幅を示す重要作です。

レコード選びのポイント:シングルカット曲のオリジナル7インチやアルバムの初版プレスはコレクターの注目対象。特に初回スリーヴや帯(日本盤の場合)などの付属品は価値が上がります。

Seventh Sojourn(1972)

代表曲:Isn't Life Strange / I'm Just a Singer (In a Rock and Roll Band)

なぜ聴くべきか:バンドの黄金期を締めくくるような成熟した作品。アンサンブルの巧みさ、叙情的なメロディ、そして時に社会的な視点を含む歌詞がバランス良く配置されています。アルバム全体の聴き応えも厚いです。

レコード選びのポイント:1972年当時のLPはオリジナル市場で人気が高く、盤質やジャケットの保存状態で価格差が生じます。歌詞カードや内袋の有無を確認すると良いでしょう。

Long Distance Voyager(1981)

代表曲:The Voice / Gemini Dream

なぜ聴くべきか:80年代の産物としてシンセ群を取り入れつつも、メロディの良さは健在。商業的にも成功し、新しい世代のリスナーにもアピールした作品です。キャリア後期の“復調”を示すアルバムとして興味深いです。

レコード選びのポイント:80年代初頭のアナログ盤はプレスやリマスターが複数存在します。音の好み(アナログ暖かさか、デジタルなクリア感か)に合わせて盤を選ぶと良いでしょう。

シングル/コンピレーションで押さえておきたい曲

  • Go Now(初期の大ヒット、Denny Laine在籍時の代表作)
  • Nights in White Satin(アルバムの代表曲。シングル・エディットや再発も多数)
  • Legend of a Mind(リチャード・ブルックスの作、サイケデリックな名曲)
  • コンピ盤:ベスト盤や編集盤は入門用に便利。『This Is The Moody Blues』『Prelude』(初期の編集もの)など、収録曲と音源の出典を確認してから購入すると良いです。

レコード選びの実務的ポイント(音源・版の見分け方)

  • オリジナル・プレスか再発か:オリジナルが必ずしも「音が良い」わけではありませんが、オリジナルのミックスやジャケット仕様(初期の印刷や歌詞カードなど)を重視するコレクターは多いです。盤のマトリクス/ランアウト(溝外周の刻印)を確認するとプレス世代が分かります。
  • ステレオ/モノラル:1960年代作品にはモノラルとステレオのミックス違いが存在する場合があります。どちらが好みか、あるいは歴史的な“オリジナル・ミックス”を求めるかで選択が変わります。
  • リージョン差:UK Deram盤とUS London盤などでカッティングやミックス、ジャケットデザインが違う場合があります。収録曲は同じでも音像や曲間の編集が変わることがあるため注意してください。
  • リマスター/デラックス盤:音像の改善や未発表曲の追加などの恩恵があります。リマスターは原音に忠実かどうか、過度なイコライジングで原曲のバランスが変わっていないかをレビューで確認するのがおすすめです。

聴きどころ・楽しみ方の提案

  • アルバムを通して聴く:The Moody Bluesはアルバム単位で世界観を作るタイプのバンドです。曲順の流れやイントロ/間奏のつながりを意識して一気に聴くと発見があります。
  • 楽器ごとの耳を育てる:メロトロン、アコースティックの指弾き、管弦楽の配置、コーラスワークなど、各パートの音色に注目すると細かな魅力が見えてきます。
  • 歌詞に注目:サイケデリックや哲学的・詩的な表現が多いので、歌詞カード(あるいは信頼できる歌詞掲載サイト)を参照しながら聴くと深まります。
  • 年代ごとの音作りを比較:1967–1972の“黄金期”と1980年代の再ブレイク期で音作りが異なります。好きな時期のサウンドを突き詰めてみてください。

まとめ

The Moody Bluesは、単なるヒット曲の連続ではなく「アルバム=作品」を大事にしたバンドです。代表作を順に聴けば、彼らのソングライティングや編曲の変遷、時代背景と技術の変化が手に取るようにわかります。収集の際はオリジナル・プレスとリマスター盤のどちらが自分の好みに合うか、ジャケットや付属品の有無、ステレオ/モノラル等をチェックして選ぶと満足度が高くなります。

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