Fred Wesley(フレッド・ウェズリー)入門 — ファンクを支えたトロンボーン名盤と聴きどころガイド
イントロダクション — Fred Wesleyとは何者か
Fred Wesley(フレッド・ウェズリー)はアメリカのトロンボーン奏者、アレンジャー、バンドリーダーで、1960〜70年代のファンク黄金期を支えた存在です。James Brownのバックバンド「The J.B.'s」での活動で名を馳せ、その後George Clinton周辺のP-FunkやBootsy Collinsらとも共演。鋭いユニゾン&リズム感、掛け合いを生むアレンジ力、そしてソロで見せる歌心あるトロンボーンは、ファンクを語る上で欠かせません。本コラムでは「彼の音を知るために押さえておきたいレコード」を中心に、作品ごとの聴きどころや推薦理由を深掘りします。
Fred Wesleyの音楽的特徴(短く押さえるポイント)
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ホーン・アレンジの中心人物:トロンボーンで旋律とリズムの橋渡しをする役割を担い、曲のグルーヴを前に出す。
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対話的プレイ:Maceo Parker(アルトサックス)やBootsy Collins(ベース)らと互いに呼応する“掛け合い”が魅力。
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ディレクション能力:バンドをまとめる視点からブラス・セクション全体の音像を構築するため、ソロだけでなく編曲や構成にも注目。
おすすめレコード紹介(代表作・名盤を深堀り)
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James Brown & The J.B.'s — 代表作(The J.B.'sが参加するジェームス・ブラウン期のアルバム群)
Fred Wesleyが中心的に関わったJames Brown期の録音は、ファンクの型を作った重要ドキュメントです。スタジオでの短いフレーズの反復、強烈な“ブレイク”、そしてホーンの鋭いアタックが特徴。Wesleyのアレンジは曲のグルーヴを緊密に制御し、ホーンがリズムの一部として機能する設計になっています。まずはThe J.B.'sが刻むリズムとホーンの“噛み合い”に注目して聴きましょう。
聴きどころ:ホーンのユニゾン、短いコール&レスポンス、Wesleyの短いソロやリフの切れ味。
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Fred Wesley & The Horny Horns — "A Blow for Me, A Toot to You"
Fred WesleyがP-Funk周辺のミュージシャンと組んだプロジェクトの代表作。P-Funk流のサイケデリックな要素とストレートなファンク・ホーン・アレンジが融合しています。アルバム全体で“ホーンが前面に出る”アプローチが見られ、Wesleyのリーダーとしての色が非常に濃い作品です。
聴きどころ:ホーン・フレーズの構築、曲ごとの色付け(スペーシーなトラックからタイトなファンクまで)、トロンボーンの存在感。
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Fred Wesley(リーダー作) — ソロ/リーダー名義のアルバム群(例:"Say Blow By Blow Backwards" ほか)
リーダー作では、単にホーンがアクセントになるだけでなく、メロディとハーモニーの中心にトロンボーンを据えた編曲が多く見られます。Wesleyのプレイは“歌う”ようなフレーズを持ち、ジャズ的な語法とファンクの直線的グルーヴが混ざり合う点が魅力です。リーダー作を通して彼の音楽的な幅と嗜好がより明確に理解できます。
聴きどころ:ソロの語り口、ジャズ/ファンクの交差点としての編曲、ゲスト奏者との対話。
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コンピレーション/アンソロジー(James Brown期やThe J.B.'s集成盤)
個別アルバムよりも幅広くFred Wesleyの関与作を追いたい場合、J.B.'s期をまとめたアンソロジーやジェームス・ブラウンの編集盤が便利です。年代を追って聞くことで、Wesleyがバンド・サウンドに与えた影響や、ホーン・アレンジの変遷がよく分かります。
聴きどころ:時代ごとのアレンジの違い、プレイヤー間の関係性の変化。
それぞれのレコードをどう聴くか(聴きどころの深堀)
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ホーンの役割に注目する:トロンボーンはメロディを支えるだけでなく、リズムを強調したり、ベースラインと同期して“キメ”を作ります。どの瞬間でホーンがリズムに回帰するかを追ってみてください。
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掛け合い(コール&レスポンス)の追跡:Maceoや他のホーンと呼応する箇所を見つけ、どの音が応答しているかを耳で追うとアレンジ構成が見えてきます。
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ソロだけでなく“間”を聴く:Wesleyのすごさは音を出す瞬間だけでなく、音を抜いた“間”の作り方にもあります。グルーヴが生まれる空白に耳を傾けてください。
コレクター向け・選び方のコツ(作品選定のポイント)
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オリジナル・プレスと再発の違い:オリジナル盤はサウンドが硬く、当時のミックス感が残っていることが多く、演奏の生々しさを感じやすいです。一方で良質な再発盤はノイズ処理やリマスタリングで聴きやすくなっていることがあります。
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クレジットをチェック:ジャケット/ライナーにFred Wesley、Maceo Parker、Bootsy Collinsなどの名があるトラックは、ホーンやアンサンブルが充実している傾向があります。
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アンソロジーで“ハイライト”を掴んでから個別アルバムへ:まずは編集盤で代表曲を押さえ、その後気に入った時代や音作りのアルバムを深掘りすると効率的です。
最後に — Fred Wesleyから学べること
Fred Wesleyの録音を追うと、単に“かっこいいトロンボーン”以上のものが見えてきます。良いファンクはプレイヤー同士の相互作用で成り立っており、Wesleyの存在はその中核でした。アレンジ、音の抜き差し、ブラスの機能性などを注意深く聴くと、彼が如何にして“バンド全体”のグルーヴを作ってきたかが理解できます。まずは代表的な録音でホーンの設計図を辿り、次第にリーダー作やマイナーなセッション盤へ広げていくことをおすすめします。
参考文献
Fred Wesley - Wikipedia
Fred Wesley | AllMusic
Fred Wesley - Discogs(ディスコグラフィ)
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