Pat Metheny Groupをアナログで聴く:おすすめアルバム・名曲とレコード選びガイド
はじめに — Pat Metheny Groupとは何か
Pat Metheny Group(PMG)は、ジャズ・フュージョン/現代ジャズの代表格であり、ギタリストのパット・メセニーとキーボーディストのライル・メイズを中心に1970年代後半から活動を続けたバンドです。メロディ重視の作曲、豊かなアレンジ、シンセやギター・シンセのテクスチャー、ブラジリアンやワールド・ミュージックの要素、そして複雑なリズム感覚を組み合わせたサウンドが特徴で、リスナー層はジャズ愛好家からポップス/ロック寄りの音楽ファンまで幅広く支持しています。
なぜレコードで聴く価値があるのか
PMGの音楽はダイナミクスや空気感(リバーブや残響、シンセのパッド感など)が重要で、アナログ盤で聴くと楽器の質感や空間表現がより豊かに感じられることが多いです。アルバムのアートワークやライナーノーツ、制作クレジットを手元でじっくり味わえる点も、コアなファンには魅力になります。
おすすめアルバム(代表作と聴きどころ)
-
Pat Metheny Group(1978)
デビュー作にしてバンドの音像を確立した一枚。メセニーとメイズのコンビネーション、透明感のあるアンサンブル、メロディの美しさが端的に示されています。初期PMGサウンドを知るうえで必聴です。
- 聴きどころ:グループとしてのイントロダクション的トラック群。メロディとアンサンブルのバランス。
-
American Garage(1979)
より“アメリカ的”な風景やメロディアスな作風が強調された作品。ポップ的な感覚とジャズ的即興の融合が際立ち、ライブでも人気の高いナンバーが含まれます。
- 聴きどころ:軽快なメロディとアコースティック/エレクトリックが混在する編成。
-
Offramp(1982)
PMGの名声を一気に高めた重要作。ギター・シンセやサックスなどのテクスチャーを大胆に使い、アンビエントで叙情的な一面を強調しています。代表曲「Are You Going With Me?」など、バンドの定番になった作品群が含まれます。
- 聴きどころ:ギター・シンセによる長めの叙情的ソロ、空間表現の豊かさ。
-
First Circle(1984)
リズム面での実験性が光るアルバムで、表題曲「First Circle」は不規則な拍子を巧みに用いながらも高い親和性を持つ名曲です。作曲・編曲の深さ、バンドのインタープレイ(相互作用)が際立ちます。
- 聴きどころ:複雑なメーター(拍子)を感じさせないメロディの巧みさとアンサンブル。
-
Still Life (Talking)(1987)
ブラジリアン・ミュージックの要素を取り入れた、ポップネスとジャズの融合が完成した傑作。リラックスしたグルーヴと美しいメロディが同居し、代表曲「Minuano (Six Eight)」や「Last Train Home」などが幅広い人気を得ました。
- 聴きどころ:ブラジル音楽のリズム感、アコースティック寄りの暖かいサウンド。
-
Letter from Home(1989)
より映像的で叙情的な要素が強まった作品。制作のスケール感、しっとりしたナンバーとダイナミックなトラックの振れ幅がバランスよく配されています。長年のファンに愛される一枚です。
- 聴きどころ:情緒的なメロディ、繊細なアレンジワーク。
-
We Live Here(1995)/Imaginary Day(1997)
90年代のPMGはサウンドプロダクションが洗練され、エレクトロニクスや多彩なゲストを取り入れつつもバンドのコアを維持しました。特にImaginary Dayは多様なスタイルとドラマ性に富み、批評的にも高評価を受けています。
- 聴きどころ:現代的なプロダクション、多ジャンルの融合。
-
The Way Up(2005)
約68分に渡る大作組曲で、序盤からクライマックスまで一気に聴かせるコンセプト作。ライル・メイズとの共作による長大な流れを楽しむならこれが最適です。組曲形式のためアルバム全体を通して聴く前提の作品です。
- 聴きどころ:長尺の構成美、テーマの展開と変奏。
アルバム選びのポイント
- 最初に聴くなら:入門としては「Offramp」「Still Life (Talking)」「First Circle」のいずれかを。メロディの魅力とバンドの多面性がよくわかります。
- 音響重視なら:初期のECM系リリース(デビュー作など)は空間表現が際立ちます。後期のワーナー系はプロダクションが厚く、ダイナミクスと細部の情報量が豊富です。
- 長尺作品を試すなら:「The Way Up」はアルバムを通して聴くことを前提に作られた大作なので、時間を確保して一気に聴くのがおすすめです。
- ライブ盤:メセニーはライブでの即興表現が魅力の一つ。代表曲の異なる解釈や即興を味わうならライブ盤もチェックしましょう。
各アルバムの聴きどころ(音楽的・制作的観点)
-
メロディと和声:メセニーとメイズのコンビは「歌うような」メロディ作りに長けており、そのメロディが複雑なハーモニーの上で自然に展開します。
-
テクスチャーとサウンドデザイン:ギター・シンセや各種キーボード、時にヴォイス的なエフェクトを含めたテクスチャーが作品ごとの色を決めます。特に80年代は新しい電子楽器の導入が顕著です。
-
リズムの工夫:変拍子やポリリズムを用いながらも、聞き手に不自然さを感じさせない“グルーヴ化”が得意です。「First Circle」のように複雑な拍子を自然に聴かせる楽曲は見事です。
-
ワールドミュージックの影響:ブラジル音楽やその他ワールド・リズムの要素を取り入れ、独自のフュージョンに昇華しています。
どのエディションを選ぶか(簡単ガイド)
- オリジナル盤(ECM期など):当時のサウンドとマスタリングを重視するならオリジナル・プレスは魅力的。ただし個体差があるので状態確認は重要です。
- リマスターや再発:音圧やイコライジングが現代向けに調整されている場合が多く、再生環境によってはこちらの方が聴きやすいこともあります。
- 国内盤/輸入盤の違い:国内盤はライナーや日本語解説が充実することが多く、輸入盤はジャケットやプレスの仕様が異なる場合があります。入手性や価格と相談して選ぶと良いでしょう。
おすすめの聴き順(入門〜深掘り)
- 入門:Offramp → Still Life (Talking) → First Circle
- 中級:Pat Metheny Group(デビュー)→ Letter from Home → Imaginary Day
- 上級(通して味わう):The Way Up(アルバム全体を一気に)
最後に — Pat Metheny Groupを楽しむために
PMGの魅力は、親しみやすいメロディと高度な演奏・編曲が同居する点です。ひとつの曲やアルバムに耽ることで、新たな細部やアンサンブルの妙に気づくことが多いはずです。まずは代表作を数枚聴き、その後気になった曲の別テイクやライブ盤を掘る――そうした楽しみ方が特におすすめです。
参考文献
- Pat Metheny Group - Wikipedia
- Pat Metheny Group Discography - AllMusic
- Pat Metheny Official Site
- ECM Records(レーベル情報)
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、CDやレコードなど様々な商品の宅配買取も行っております。
ダンボールにCDやレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単に売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


