Lisa Gerrard(リサ・ジェラルド)必聴レコード8選|Dead Can Dance〜ソロ&映画音楽まで聴きどころ完全ガイド

Lisa Gerrard — おすすめレコード深掘りコラム

Lisa Gerrard(リサ・ジェラルド)はオーストラリア出身の歌手・作曲家で、独特の声質と非言語的な歌唱法(擬似言語やオンマトペ)で知られています。Dead Can Dance の中心メンバーとしての活動や、映画音楽やコラボレーションを通じて世界的に評価されてきました。本コラムでは、彼女の音世界を体験するうえで特におすすめしたいレコードを選び、楽曲ごとの聴きどころや作品の位置づけを深掘りして解説します。

Lisa Gerrard の音楽的特徴を短く整理

  • 声そのものを楽器として用いる表現 — 言語を超えたメロディックな歌唱。
  • 民族音楽、古楽、現代アンビエント、ポストロック的な音響を横断するサウンドスケープ。
  • フィルムスコアとの親和性が高く、映像表現を補完する“情感の誘導”に長ける。

おすすめレコード(概要と深掘り)

1)Dead Can Dance — Within the Realm of a Dying Sun(1987)

ポイント:Lisa のボーカルが初期のゴシック/実験的な音響と融合している重要作。陰影のある美と劇性が際立ちます。

  • 代表曲例:“The Carnival Is Over”(透明感と諧謔が交差する曲)
  • 聴きどころ:中低域に落ち着いた声の厚みと、楽曲全体を支配する空気感。ゴシック寄りのアレンジに彼女の声が“灯り”として機能します。
  • おすすめの入り方:静かな環境で1曲目から通して聴き、曲ごとの劇的な高まりを追うと彼女の表現力がよく分かります。

2)Dead Can Dance — The Serpent's Egg(1988)

ポイント:中世・ルネサンス的な音楽的要素が強まり、Lisa の声の“古楽的”側面が鮮明に出る作品。

  • 代表曲例:“The Host of Seraphim”(壮麗で荘厳、映画音楽的な訴求力)
  • 聴きどころ:合唱的な重なりと単一の声の崇高さ。映像や宗教的イメージを想起させる音像が多いです。

3)Dead Can Dance — Aion(1990)

ポイント:ルネサンス音楽や古楽器の影響が顕著な一枚。中世的なモード感とモダンな制作が融合しています。

  • 代表曲例:“The Arrival and the Reunion”など、古楽的な旋律とLisaの声の組合せが光る。
  • 聴きどころ:旋法(モード)による異国性・時間感覚の違い、少し距離を置いた“歴史性”を感じる音作り。

4)Dead Can Dance — Into the Labyrinth(1993)

ポイント:よりポップ/映画的な構成を取り入れた作品で、入口としても聴きやすい一枚。ラジオ感覚でも親しめる曲があるのが特徴です。

  • 代表曲例:“The Ubiquitous Mr Lovegrove”や“Yulunga (Spirit Dance)”など、リズムとメロディのバランスが良い。
  • 聴きどころ:世界各地のリズムとサウンドのエッセンスを取り込みつつも、Lisa の歌が中心に据えられている点。

5)The Mirror Pool(Lisa Gerrard/ソロ、1995)

ポイント:ソロ作としての初期作。Dead Can Dance とは異なる個人的な表現が強く出たアルバムで、声のヴァリエーションや即興的側面が楽しめます。

  • 代表曲例:アルバムを通したトーンのまとまりが魅力。静謐なトラックから劇的なものまで幅がある。
  • 聴きどころ:ソロ名義ならではの自由さ。声のテクスチャー、呼吸感、即興的なフレーズに耳を傾けてください。

6)Duality(Lisa Gerrard & Pieter Bourke、1998)

ポイント:Pieter Bourke とのコラボ作。エレクトロニックな設定と民族的・神秘的な歌唱が融合した、映画的な深さを持つ作品。

  • 聴きどころ:サウンドデザイン的な層を背景にLisaの声が浮かぶ構造。映画音楽ファンにもおすすめ。

7)The Silver Tree(Lisa Gerrard/ソロ、2006)

ポイント:より洗練されたプロダクションとメロディ志向が進んだアルバム。映画的でありながら個人的な感情を強く表出しています。

  • 聴きどころ:音の余白の取り方、声の寄り・引きが巧みで、ドラマ性のある瞬間が多い。

8)映画音楽(代表例:Gladiator サウンドトラック)

ポイント:Hans Zimmer と共同で制作した『Gladiator』(2000)のスコアは、Lisa Gerrard の声が映画全体の感情軸をつくる好例です。「Now We Are Free」など、彼女の歌が映画と切っても切れない関係にあることを実感できます。

  • 聴きどころ:声が持つ“語りかける力”が映像と合わさったときの説得力。映画音楽としての役割(情感誘導)を学ぶ教材としても優秀です。

各作品の楽しみ方(聴き分けガイド)

  • 古楽・宗教的な重心を味わいたい → The Serpent's Egg、Aion
  • 映画的でダイナミックな表現を聴きたい → Into the Labyrinth、Gladiator(サウンドトラック)
  • Lisa の個人性・即興性を追いたい → The Mirror Pool、The Silver Tree
  • 民族的・リズム主体のアプローチを体験したい → Duality、Spiritchaser(Dead Can Dance)

購入・収集のヒント(音楽的価値の観点から)

  • 初めてなら:入門としては Into the Labyrinth(Dead Can Dance) や The Mirror Pool(ソロ)が入りやすいです。
  • 深掘りするなら:The Serpent's Egg や Aion のようなアルバムで“古楽的/儀礼的”な側面を体験してください。
  • 映画音楽ファンは:Gladiator を軸に、そこからソロ作や Dead Can Dance の叙事性へと広げるのがおすすめです。

リスニング時の注目点(声の聴き方)

  • 声の微細な強弱・タイミング:言葉で語るのではなく、フレーズごとの立ち上がりと消え方に注目。
  • 音像の“余白”と“空間表現”:サウンドの隙間が感情を運ぶことを体感する。
  • 他楽器との対話:民族楽器やパーカッション、合唱的なコーラスとの掛け合いが多いので相互作用を聴く。

まとめ

Lisa Gerrard の魅力は「声そのものが物語る」力にあります。Dead Can Dance の歴史的名盤群で彼女の多面性に触れ、ソロ作やコラボ、映画音楽でその表現がどのように広がるかを追うことで、より深い理解と感動が得られるはずです。初めは1枚か2枚から入って、気になるサウンドや時期に合わせて広げていくのが良いでしょう。

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参考文献