エディット・ピアフをレコードで聴く理由と厳選6枚:聴きどころと選び方ガイド

はじめに — ピアフを“レコードで聴く”理由

エディット・ピアフ(Édith Piaf)は20世紀フランス chanson(シャンソン)を代表する歌手であり、その声と表現力は録音を通して現在まで色あせず伝わってきます。ライブの息遣いやマイクワーク、オーケストレーションとの化学反応──これらはレコードというフォーマットで聴くことでより鮮明に感じられます。本コラムでは、ピアフの魅力をレコード単位で深掘りし、「まずこれを聴いてほしい」盤を選び、曲の聴きどころや時代背景、録音・編曲面の特徴などを解説します。

おすすめレコード(厳選6)

  • 1. Edith Piaf — "La Vie en rose"(代表的コンピレーション盤)

    解説:ピアフの名前を一般に知らしめた同名曲「La Vie en rose」を中心とした定番コンピ。さまざまな時期のシングル音源やEPがまとめられた盤は、入門用として最適です。

    聴きどころ:

    • 「La Vie en rose」:ピアフ特有の温度感とフレージング、簡潔なフレーズの間に含まれる抑揚が明瞭に聴き取れる。
    • 初期録音と1950年代以降の演奏を聴き比べると、声の表情や伴奏の厚みの違いが分かり、キャリアの推移を感じ取れる。

    おすすめポイント:ピアフ入門編として必須。歌の語り口と楽曲の名曲群をコンパクトに聴ける。

  • 2. Edith Piaf — "Edith Piaf à l'Olympia"(ライブ:1955)

    解説:ピアフのステージを生々しく伝える代表的なライヴ録音。オリンピア(L'Olympia)でのパフォーマンスは彼女の表現力が最も生きる場で、歓声や間合い、即興的な歌い回しが記録されています。

    聴きどころ:

    • 語りかけるようなイントロ、観客との即時的な呼吸感。
    • スタジオ録音よりも大胆なテンポ変化や装飾、歌詞の解釈の幅が感じられる点。

    おすすめポイント:ピアフの“生”を体感したい人に。録音上の臨場感がそのまま感情移入につながる。

  • 3. Edith Piaf — "Olympia 1961 / Récital"(晩年のライヴ)

    解説:1950年代後半から1960年代にかけてのリサイタル録音。晩年の円熟した表現と、代表曲の別ヴァージョンを楽しめます。特に「Non, je ne regrette rien」などはこの時期の代表曲として強い印象を残します。

    聴きどころ:

    • 声の色が豊かになった晩年ならではの深み。言葉に込める重さが違う。
    • アレンジの変化(時には現代的な管弦楽の使い方)により、曲が新たな表情を見せる。

    おすすめポイント:代表曲を“成熟した解釈”で聴きたいリスナーに最適。

  • 4. Edith Piaf — "The Best of Edith Piaf"(編集ベスト/幅広い時期を網羅)

    解説:多くのレーベルから出ている編集盤の中でも、年代順やテーマ別に編まれた良盤を選べば、楽曲ごとの変遷や作家(例:Marguerite Monnot、Charles Dumont 等)とのコラボレーションの違いが見えてきます。

    聴きどころ:

    • 初期のストリップ的・街角的な歌い方から、オーケストラを伴った大仰な表現への流れ。
    • 作曲家ごとの伴奏色(ピアノ主体の伴奏 vs 弦・管を用いたアンサンブル)を比較して聴くと面白い。

    おすすめポイント:曲の多様性と時代背景を俯瞰的に把握したい人向け。

  • 5. Edith Piaf — "Les Grandes Chansons"(原盤のシングル集やEP再発)

    解説:シングルやEPで発表されたヒット曲群をオリジナル順に収めた編集は、ピアフのヒットの歴史を追うのに適しています。ここには「Hymne à l'amour」「Milord」などの代表的作品も収録されていることが多いです。

    聴きどころ:

    • ヒット曲の“最初の形”を聴くことで、後年のアレンジと比べられる。
    • 歌詞の言葉選びと発音、フランス語の母音の処理が分かりやすい。

    おすすめポイント:シングル曲の歴史やラジオヒットを追体験したい人に。

  • 6. Edith Piaf — "Integrale" / Complete Box Sets(全集系ボックス)

    解説:全集やコンプリート・スタジオ録音集は、ファンや研究目的のリスナーにとって不可欠。初期の珍しい録音やラジオ録音、未発表テイクなどが含まれることがあり、ピアフの技術・表現の変化を時系列で追えます。

    聴きどころ:

    • レア曲やデモ、別テイクなどから、歌唱のブラッシュアップや解釈の変遷が読み取れる。
    • 共同作業者(作曲家・編曲家・指揮者)との関係性や影響も見えてくる。

    おすすめポイント:深く掘り下げたいリスナー、研究・学習目的の保存用に最適。

曲別に聴くポイント(代表曲の細かな味わい)

  • La Vie en rose:シンプルな旋律の中での息づかい、語尾の落とし方、裏メロとの関係に注目。幸福感と儚さが同居する表現が鍵。

  • Hymne à l'amour:個人的悲痛と賛歌が混ざる曲。フレーズごとの強弱、特定ワードでの声の割り方(ナイーブさを残すか、完全に力を入れるか)を見ると、表現の深さが分かる。

  • Non, je ne regrette rien:強い宣言性を持つ曲。息の入れ方とリズム感、後半の盛り上げ方で「決意」が如何に伝わるかが決まる。

  • Milord:物語性の強い曲。語りの間(ま)を使った人物描写、サウンドの劇的な使い方に注目するとドラマ性が見えてくる。

  • Padam... Padam...:耳につくフレーズが反復する曲。歌の“耳残り”を利用した演出、観客との共感の作り方に注目。

選び方のコツ(どの盤を選ぶか)

どのレコードを手に取るかは、まず「入門」か「深掘り」かで決めると良いでしょう。

  • 入門:代表曲を集めた編集盤やベスト盤。時代ごとの録音差が分かりやすい1枚を。
  • ライヴの臨場感を味わいたい:オリンピア等のライブ盤を。舞台上の歌い回しや観客の反応が楽しめる。
  • 研究・収集:全集やコンプリート盤。レア音源や別テイクを含むため、表現の広がりが分かる。

聴き方の提案(鑑賞ガイド)

  • 最初は通して1枚を聴く:曲ごとに解釈が違うため、通して聴くことでその盤の“色”がつかめます。
  • 曲単位で比較:同じ曲のスタジオ録音/ライブ録音を聴き比べ、フレーズやテンポ、伴奏の違いに注目すると表現の幅が見えてきます。
  • 歌詞を追いながら聴く:ピアフは語り手としての側面が強いので、歌詞(仏語)を確認しながら情感の動きに注目するとより深く入れます。

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参考文献