リー・モーガンの名盤を徹底解剖:初心者から上級者まで楽しめるおすすめレコード深掘りガイド

Lee Morgan — おすすめレコード深堀コラム

リー・モーガン(Lee Morgan)は、ハーディ・ブルースの影響を受けた熱量あるトランペットと、ハードバップからソウルジャズへと橋渡しをした楽曲センスで知られるジャズ・トランペッターです。ブルーノートを中心とした60年代の活動で多くの名盤を残し、商業的成功とアーティスティックな深みを両立させた数少ない存在でした。本コラムでは、リー・モーガンの代表作・必聴レコードを厳選して紹介し、それぞれの聴きどころやアルバムごとの位置づけを深掘りします。

The Sidewinder (1964)

リー・モーガンの最も広く知られる作品。タイトル曲「The Sidewinder」はシングルヒットとなり、ジャズのラジオや映画でも頻繁に取り上げられました。ブルースやR&Bの要素を取り入れたグルーヴ/ソウルジャズの完成形のひとつで、聴きやすさと演奏の熱量が絶妙に噛み合っています。

  • おすすめ曲:The Sidewinder(タイトル曲)/Totem Pole/Gary's Notebook
  • 聴きどころ:タイトでキャッチーなテーマ、エンターテインメント性の高さ、トランペットのリズム感とフレーズの切れ味。
  • なぜ聴くか:ジャズ入門にも向き、モダン・ジャズのグルーヴ感を体感できる代表作。
  • 参考メモ:このアルバムはリー・モーガンの商業的ブレイクをもたらし、彼の名を広く一般に知らしめました。

Search for the New Land (1964)

“The Sidewinder”の成功とは対照的に、より深遠でモダンな側面を見せる傑作。長尺の組曲的な構成や変拍子を用いないドラマ性、静と動のバランスが印象的です。リリカルで瞑想的なトーンの曲も多く、リー・モーガンの表現力の幅広さを示します。

  • おすすめ曲:Search for the New Land(アルバムを象徴する組曲的楽曲)/Mr. Kenyatta/Mr. E.
  • 聴きどころ:緊張感あるソロ展開、メロディの美しさ、全体の構成力。聴き手に「探索」を促すような音楽的旅路がある。
  • なぜ聴くか:より真剣なモダン・ジャズ表現を求めるリスナーに最適。深夜のリスニングや集中して聴く時間にふさわしい。

Cornbread (1965)

よりソウルフルでコンパクトな楽曲群を収録したアルバム。グルーヴとファンキーさを押し出したトラックが多く、同時期のリー・モーガンの多面性(ヒット志向と表現志向の両立)をよく表しています。

  • おすすめ曲:Cornbread(軽快でキャッチーなタイトル曲)/Ceora(バラード風で美しいメロディ)
  • 聴きどころ:ミディアム〜アップのファンクネスと、バラードで見せる叙情性の対比。
  • なぜ聴くか:ライブ感のある演奏とキャッチーなメロディを楽しみたいときに最適。

Candy (1958)

50年代の録音で、比較的若い時期のリー・モーガンの才気が感じられるアルバム。ハードバップの文脈での情緒的なバラードやスウィング感のある演奏が楽しめます。

  • おすすめ曲:Candy(タイトル曲。甘美で印象的なバラード)/Since I Fell for You
  • 聴きどころ:トランペットの温かいトーンとブラスの歌心、ハードバップ期の流麗なアドリブ。
  • なぜ聴くか:初期リー・モーガンを知るうえでの重要作。情緒的な側面を堪能できる。

The Cooker (1958)

よりハードバップ寄りの骨太な演奏が堪能できる作品。短い曲からテンション高めの長尺ソロまで、プレイの切れ味とエネルギーが直に伝わるアルバムです。

  • おすすめ曲:Party Time/The Cooker
  • 聴きどころ:攻めのトランペットとバンドの即興性、ビートに乗った鋭いソロ。
  • なぜ聴くか:グルーヴ志向とは別の、純粋なハードバップとしての魅力を味わえる。

聴き比べ・視点別おすすめ順

  • ジャズ初心者/キャッチーな入口:The Sidewinder → Cornbread
  • 深く作品世界に浸りたい:Search for the New Land → The Cooker
  • 叙情的なバラードを聴きたい:Candy → Cornbread(Ceora)
  • リー・モーガンの成長を追いたい:Candy(初期)→ The Cooker(成熟)→ The Sidewinder(商業的成功)→ Search for the New Land(精神性の深化)

聴きどころの具体的なポイント

  • フレージングの「歌わせ方」:リー・モーガンは歌心のあるトランペットが持ち味。メロディに対する歌い込み方、特にバラードでのフレージングを注目して聴くと彼らしさがわかります。
  • リズム隊との対話:ビートに対するアタックや間の取り方。ソウルジャズ寄りの曲ではリズム隊とのグルーヴ感が作品の魅力を決定づけます。
  • アルバム毎の「構成意図」:同じトランペット奏者でも、商業性を意図したアルバムと芸術性を追求したアルバムでは曲選びや演奏アプローチが変わります。聴く順序を工夫して比較すると発見が多いです。

おすすめの聴き方

  • アルバム単位で通して聴く:60年代のジャズ作品は曲間の流れで世界観を作ることが多いので、通しで聴くのがおすすめです。
  • 同時代の他アーティストと比較する:ウェイン・ショーターやジョー・ヘンダーソン、ハービー・ハンコックなど同時代の演奏と比べると、リー・モーガンの個性が際立ちます。
  • テーマを意識して聴く:メロディライン、リズムの接続、ソロ中の構築性(フレーズの積み重ね)など、注目点を決めて聴くと深まります。

まとめ

リー・モーガンは「グルーヴとメロディ」を武器に、ハードバップの枠を超えて多くのリスナーに訴えかける作品を残しました。本稿で挙げたアルバムはどれも個性的で、初心者〜上級者まで幅広く楽しめるものです。気になる作品から順に掘り下げ、時代背景や共演者のプレイと合わせて聴くと、より深い理解と感動が得られます。

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参考文献