The Human Leagueの結成から黄金期までを徹底解説|Dareと代表曲で紐解くシンセポップの魅力
The Human League — プロフィールと魅力を深掘り
イギリス出身のシンセポップ/エレクトロニック・ポップ・バンド、The Human League(ザ・ヒューマン・リーグ)。1970年代後半のテクノ/実験音楽シーンから生まれ、1980年代に商業的成功を収めた彼らは、電子楽器を主軸に据えたポップ表現の可能性を大きく広げました。本コラムでは結成から主要作、音楽的特徴、魅力の本質までを日本語で詳しく解説します。
バンド概要
- 結成地:イングランド、シェフィールド
- 結成年:1977年頃(1970年代後半にエレクトロニック実験からスタート)
- 代表メンバー:Philip Oakey(ボーカル/顔役)、Joanne Catherall、Susan Ann Sulley(女性ヴォーカル/コーラス)ほか
- 主要ジャンル:シンセポップ、エレクトロ、ニュー・ウェイヴ
結成と初期(1977–1980)
The Human Leagueは、もともとMartyn WareとIan Craig Marshらが中心となって実験的なエレクトロニック・ユニットとして始まりました。初期シングル「Being Boiled」などは、産業的で冷たい電子音、ミニマルなビート、断片的な歌詞で注目を集め、実験音楽としての評価を得ました。
しかし1980年頃に主要メンバーの分裂があり(WareとMarshは後にHeaven 17を結成)、Philip Oakeyを中心にポップ性を強めた新たな編成が生まれます。この流れの中で若い女性シンガーのJoanne CatherallとSusan Ann Sulleyが加入し、以降の商業的成功の基盤が整いました。
ブレイクと黄金期 — 『Dare』(1981)
1981年のアルバム『Dare』は、彼らのキャリアにおける決定的な転換点です。シンセサイザー主体の鮮烈でキャッチーなサウンド、モダンで洗練されたプロダクション、そしてPhil Oakeyの抑制の効いたソウルフルな声質が結びつき、シングル「Don’t You Want Me」が世界的大ヒットとなりました。
- 「Don’t You Want Me」:男女の関係を劇的に描いたストーリー性の強いポップソング。UKチャート1位、アメリカでもトップを記録。
- プロデューサーのMartin Rushentによる精緻なシンセ・プログラミングとダイナミクス制御がアルバムの成功を支えました。
その後の展開(1982–1990s)
『Dare』後もThe Human Leagueは複数のヒットを重ねました。1984年の『Hysteria』や、1986年にアメリカのプロデューサー、Jimmy Jam & Terry Lewisと組んだ『Crash』は、より洗練されたR&B/ポップ寄りのプロダクションを取り入れた作品で、シングル「Human」はアメリカで大ヒットしました。1990年代以降もメンバーは活動を継続し、1995年の『Octopus』は久々に商業的成功を取り戻したアルバムとして知られています。
音楽的特徴とサウンドの魅力
The Human Leagueの魅力は、単なる“電子音”の使用以上に、テクノロジーとポップの結合をいかにドラマチックに行うかにあります。
- メロディとシンセの両立:シンセサイザーの冷たさを残しつつ、強いフックと歌メロで親しみやすさを作るバランス感覚。
- 声質と編成の妙:Phil Oakeyの存在感のある低めの声と、Joanne/Susanの軽やかな女性コーラスによる対比がドラマを生む。
- プロダクションの実験性:初期のミニマルな実験から、80年代初頭の緻密なシンセ・サウンド作り、さらにR&B寄りの洗練へと変化する柔軟性。
- 映像とイメージ戦略:ミュージックビデオやファッションを通じて一貫したビジュアル・アイデンティティを確立した点も大きい。
歌詞・テーマとイメージ
歌詞面では、都市的で冷たい近未来感、人間関係の断片的なドラマ、テクノロジーへの微妙な距離感などが繰り返し現れます。シェフィールドという産業都市の出自が、機械と人間の微妙な関係を描く作風に影響している面もあります。
ライブと映像表現
The Human Leagueは視覚表現を重視してきました。80年代にはMTV世代の映像メディアを巧みに利用し、端正な衣装や演出で“未来感”を演出しました。ライブではシンセを中心とした演奏と、Phil Oakeyの象徴的なヴォーカルが観客を惹きつけます。
代表曲・名盤の紹介
- Dare (1981) — キャリア上の最高傑作の一つ。収録曲:「Don’t You Want Me」「Love Action (I Believe in Love)」「Open Your Heart」。プロダクション、楽曲の完成度ともに高い。
- Being Boiled(シングル、1978) — 初期の実験的代表作。後のシンセポップ全体に影響を与えた重要曲。
- Crash (1986) — Jimmy Jam & Terry Lewis制作。アメリカ市場を強く意識した音作りで、「Human」が大きなヒットに。
- Octopus (1995) — 90年代中期に発表された復活作。シングル「Tell Me When」など、彼ららしいメロディセンスが残る。
The Human Leagueの魅力を一言で言うと
“機械的な冷たさ”と“人間的なポップ感情”を共存させる、その絶妙なバランス感覚です。シンセサイザーという道具を単なる効果音にせず、メロディと物語を運ぶ主体として使いこなした点が、彼らの普遍的な魅力を生んでいます。
現在の活動と遺産
メンバーは変遷があるものの、The Human Leagueは断続的に音楽活動、ツアー、リイシューを続けてきました。80年代シンセポップの代表格として、その影響は後続のエレクトロニック/ポップ・アーティストに広く及んでいます。近年のリマスターやベスト盤、フェス出演などで新しい世代のリスナーとも接点を持ち続けています。
どんなリスナーにおすすめか
- 80年代シンセポップ/ニュー・ウェイヴが好きな人
- 機械的なサウンドとポップ・メロディの融合を好む人
- 音楽史的な観点から電子音楽の発展を追いたい人
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参考文献
- The Human League — Wikipedia
- The Human League — AllMusic
- Official Site — The Human League
- BBC Music — The Human League(参照記事)


