インパクトレンチとは?高トルクでボルト・ナットを一気に締付けるプロ必須工具の特徴・用途・選び方を徹底解説

建築工事・土木工事・設備工事・自動車整備など、強い締付力が必要な場面で欠かせないのが インパクトレンチ です。
インパクトドライバーが“ビス・木ネジ”向けなのに対して、インパクトレンチは ボルト・ナット専用 の強力ツールです。

この記事では、インパクトレンチとは何か、特徴、仕組み、用途、選び方、安全ポイント を詳しく解説します。


インパクトレンチとは?

インパクトレンチとは、回転+打撃によって高トルクを生み出し、ボルトやナットを強力に締め付けたり緩めたりする電動工具のことです。

特徴

  • 非常に強い締付トルク
  • 重作業向き
  • ソケット(六角形)を使用
  • 車や重機の整備、鉄骨工事で必須

インパクトドライバーよりもはるかにパワーが強いのが最大の違いです。


インパクトレンチの仕組み


■ 回転機構

モーターが回転を生み出す。


■ ハンマー・アンビル(打撃機構)

回転しているハンマーがアンビルを叩くことで衝撃を生む。


■ 高トルク

瞬間的に強い力(インパクト)を繰り返し加える。


インパクトドライバーとの違い

項目インパクトレンチインパクトドライバー
主用途ボルト・ナットビス・木ネジ
トルク非常に強い強い
ソケット形状正方形差込(9.5mm / 12.7mm / 19mmなど)六角軸6.35mm
重量重い軽量
主な現場鉄骨・自動車・土木大工・内装・設備

ボルトナット → インパクトレンチ
ビス → インパクトドライバー

と覚えておくと間違いありません。


インパクトレンチが活躍する場面


■ 自動車整備

  • ホイールナット
  • 足回り
  • エンジンマウント
  • 車検整備

■ 鉄骨工事

  • H鋼・柱梁のボルト締付
  • 高力ボルト施工

■ 土木工事

  • 重機のメンテナンス
  • 仮設材の固定

■ 産業機械・設備工事

  • プラント設備のボルト締付
  • ポンプ・モーター基礎固定
  • フランジボルトの緩め作業

■ 外構・建築工事

  • 玄関ポーチ金物
  • フェンス支柱
  • 大型金物固定

インパクトレンチの種類


■ 1. 充電式インパクトレンチ(主流)

メリット

  • コードレスで現場に最適
  • 18V/36Vモデルが多い
  • ハイパワー・取り回し良い

■ 2. エアインパクトレンチ(プロの整備工場で定番)

メリット

  • 高トルク
  • ロングライフ
  • 軽量

デメリット

  • エアコンプレッサーが必須

■ 3. 電源コード式

現在は縮小傾向だが、連続作業に強い。


差込角(ソケットサイズ)の種類

インパクトレンチには差込角があり、用途により使い分けます。


■ 9.5mm(3/8インチ)

小型作業・軽自動車・内装


■ 12.7mm(1/2インチ)

自動車整備の標準サイズ


■ 19mm(3/4インチ)

大型車・建設機械・重作業


■ 25.4mm(1インチ)

大型プラント・重機・鉄骨の超重作業


インパクトレンチの選び方


■ 1. トルク(締付力)

用途に応じて選ぶ。

目安

  • 100〜200N・m:軽作業
  • 300〜500N・m:自動車整備
  • 600〜1000N・m:鉄骨工事
  • 1000N・m以上:大型車・重機

■ 2. 差込角

使用するソケットサイズに合わせる。


■ 3. バッテリー電圧(18V/36V)

パワーと持続性に影響。


■ 4. 重量バランス

長時間作業では軽いモデルが有利。


■ 5. 打撃モード

複数モードがあると繊細な作業も可能。


■ 6. ブラシレスモーター

耐久性・パワー・効率が優れる。


使用時の注意点


■ 過剰締付に注意

ボルトを破断させる恐れあり。


■ 締付トルクはトルクレンチで最終確認

インパクトは最終締付には使わないのが原則(JIS的にも)。


■ ソケットは必ず「インパクト用」を使用

通常ソケットは割れる危険がある。


■ 反動(キックバック)に注意

高トルクほど反動が大きい。


■ 手元・周辺部の安全確保

落下事故や誤作動を防止。


まとめ

インパクトレンチとは、
回転+打撃でボルト・ナットを強力に締め付ける電動工具で、建築・土木・設備・自動車整備に欠かせない存在です。

  • ボルトナット専用の高トルク工具
  • 車・重機・鉄骨・設備工事で大活躍
  • 充電式・エア式など用途に応じて選べる
  • 過剰締付防止とソケット選定が重要

インパクトドライバーとは用途が全く違うため、現場では必ず使い分けが必要です。


参考文献(クリック可能リンク)