PFM(Premiata Forneria Marconi)徹底ガイド:名盤・聴き方・プログレ界の影響と魅力
Premiata Forneria Marconi(PFM) — プロフィール概観
Premiata Forneria Marconi(略称:PFM)は、1970年代初頭にイタリアで結成されたプログレッシブ・ロックの代表的バンドです。イタリア語の詩情とヨーロッパ的なクラシック/フォーク感覚をロックのエネルギーと結びつけた独自のサウンドで、国内外のリスナーや批評家から高い評価を得ました。テクニカルな演奏力とメロディアスな楽曲構築、そして優れたアレンジ力が彼らの大きな特徴です。
結成から国際進出へ — 簡単な沿革
- 結成:1970年前後にフランコ・ムッシーダ(ギター/ボーカル)、フランツ・ディ・チョッチョ(ドラム/ボーカル)、フラビオ・プレモリ(キーボード)、マウロ・パガーニ(フルート/ヴァイオリン)らを中心に結成。
- 初期の成功:イタリア国内での評価を確立したのち、英語詞版や英語圏向けリリースを通じて国際的な注目を集めるように。特に英語詞の制作にピート・シンフィールド(King Crimsonの元作詞家)が関与した点が大きな転機となりました。
- レーベルとツアー:70年代中盤にはイギリスの大手やELP系のレーベルとの関係を得て、ヨーロッパや北米でのツアーやリリースを行っています。
サウンドの核と魅力
PFMの魅力は「技巧」と「歌心」の融合にあります。技巧的な演奏や複雑なリズム、クラシック的な対位法や管弦楽的な編曲を取り入れつつ、イタリア語の抒情性に根ざしたメロディを大切にしています。
- 楽器的特徴:ハモンドやメロトロン、ムーグなどのキーボード類と、フルート/ヴァイオリンなどの木管・弦楽器を効果的に組み合わせることで、シンフォニックで色彩豊かな音像を作り出しています。
- リズムと構造:単純な4/4主体のロックに留まらず、変拍子や間奏でのジャズ的即興性を取り入れるなど、聴き応えのある展開が多いです。
- 歌と詩:イタリア語の持つ響きや詩的表現を活かした歌詞世界が特徴。英語版も制作されましたが、母国語であるイタリア語曲の持つ情緒性は特筆に値します。
代表作・名盤とその聴きどころ
- Storia di un minuto(1972)
PFMの出世作。シングルカットされた「Impressioni di settembre」はイタリア国内で広く親しまれている名曲で、甘美なメロディと変化に富んだ編曲が光ります。入門盤としても最適です。
- Per un amico(1972)
初期PFMの成熟を示す作品。バンドの持つシンフォニック性とジャズ/フォークの影響がバランスよく混ざり、また演奏面での実力が存分に示されています。聴きどころはアンサンブルの緻密さと曲ごとの表情の豊かさです。
- Photos of Ghosts(1973)
英語詞で再構成された海外向けアルバム。プロデューサーや作詞面での工夫により、英語圏でも受け入れられる入り口を作った重要作です(英詞はピーター・シンフィールドが関与)。
- L'isola di niente / The World Became the World(1974頃)
実験的かつ野心的な作品群。プログレ特有の大曲志向が強く出ており、瞬間的なキャッチーさ以上の深い聴取体験を提供します。
- Chocolate Kings(1975)
ジャズやファンクの要素を取り入れた試みが見られる一枚。70年代中盤の変化を感じさせる作品です。
ライブの魅力と実力
PFMはライブでの演奏力の高さでも知られています。レコーディング以上に即興性やアンサンブルの強さが際立ち、オーディエンスとの一体感を生むダイナミクスを持ちます。複雑なパートが正確に再現されるだけでなく、ライブ独自のアレンジや延長が加わることも多く、コアなファンを惹きつけ続けています。
音楽的価値と影響
PFMは単なる「イタリアのプログレ・バンド」以上の存在です。欧米のプログレッシブ・ロックとイタリア独自の芸術文化を橋渡しし、1970年代におけるイタリア音楽の国際的プレゼンスを高めました。技術力と作曲力、編曲センスにより、後続のイタリアン・プログレや多くの現代的なプログレッシブ・アーティストに影響を与えています。
これからPFMを聴く人へのガイド
- 入門順:まずは「Storia di un minuto」「Per un amico」を聴いてバンドの基礎美学を掴み、その後「Photos of Ghosts」や「L'isola di niente」などで彼らの多様性と実験性に触れるのがオススメです。
- 注目点:キーボードと管楽器の色彩、ギターとリズムセクションの呼吸、曲ごとの劇的な構成の転換に注目して聴くと、PFMの技術と表現力の深さがより明瞭になります。
- ライブ映像:可能であればライブ音源や映像で観ると、演奏のダイナミクスとアンサンブルの完成度を体感できます。
現在の状況と遺産
結成メンバーの変遷や活動の断続はありつつも、PFMの作品群は今なお新規リスナーを獲得し続けています。近年は再発やリマスター盤、ボックスセットなどで音源が見直され、若い世代のプログレ・ファンにも再評価されています。
まとめ
Premiata Forneria Marconiは、クラシックやジャズを飲み込みつつイタリア語の詩情をロックに昇華させたバンドです。技巧と感性が高い次元で同居する点、そして国際的な橋渡し的役割を果たした点で、1970年代のプログレシーンにおける重要な存在と言えます。初めて聴く人には、まずは代表アルバムを順に聴いて、楽曲ごとの細かなアレンジやライブでの変化を確かめることをおすすめします。
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参考文献
- Premiata Forneria Marconi - Wikipedia(日本語)
- Premiata Forneria Marconi | AllMusic
- PFM - ProgArchives
- Premiata Forneria Marconi | Discogs
- PFM 公式サイト(英語/イタリア語)


