Wizzardとは何者か:ロイ・ウッドが描く70年代グラムロック×ポップの混淆サウンド徹底解説
Wizzardとは — ロイ・ウッド率いる狂騒とポップの混淆
Wizzard(ウィザード)は、1970年代初頭にロイ・ウッド(Roy Wood)を中心に結成された英国のバンドです。The Moveや初期のELOでの活動で知られるロイ・ウッドが、ブラス隊と多彩な楽器編成を持ち込み、グラム・ロック、ポップ、R&B、ロックンロール、さらにはフィル・スペクター的な「ウォール・オブ・サウンド」を独自に解釈したサウンドを展開しました。華やかなステージ衣装と派手なプロダクションを武器に、シングルヒットと強烈なアルバム表現の両方を残したバンドです。
Wizzardを聴く上でのポイント
ジャンル横断の聴きどころ — 一曲の中にポップ、R&B、50年代のロック風味、サイケ要素が混在することが多く、アルバムごとに色合いが変わります。
プロダクションに注目 — ロイ・ウッドの多重録音やブラス/コーラスの重ね方は、音像の厚みや遊び心の源です。楽器配置やアレンジの“遊び”を楽しんでください。
シングルとアルバムの関係性 — Wizzardはシングルヒットを多く持ちますが、アルバムではシングル曲が別の文脈で生きることが多いので、両方を併せて聴くのがおすすめです。
おすすめレコード(必聴盤)
Wizzard Brew(1973) — デビュー作の冒険性
バンドの“実験的”側面とロイ・ウッドのサウンドメイクが最初に凝縮された作品。ポップでキャッチーなシングルと、奇抜でダイナミックなアルバム曲の対比が面白く、初期Wizzardのエネルギーを感じられます。聴きどころは多層のブラス・アレンジと楽器の切り替え、突発的に訪れるポップ・メロディの強さです。
こんな人におすすめ:Wizzardの創造性やプロダクションのアイディアを丸ごと体験したい人。
Introducing Eddy & the Falcons(1974) — ロックンロール/R&B愛を前面に
前作の多彩さから一転して、50年代ロックやR&Bを土台にした“古き良きロック”へのラブレター的なアルバム。ロイ・ウッドがビートの効いたストレートな演奏とコーラスワークで往年のリズム&ブルース/ロックを再解釈しています。ポップで聴きやすく、ライブ感あるトラックが並ぶため入門盤としても最適です。
こんな人におすすめ:キャッチーなメロディとヴィンテージ感あふれるロックを求めるリスナー。
シングル・コンピレーション(代表曲集、ベスト盤)
「See My Baby Jive」「Angel Fingers (A Teen Ballad)」「I Wish It Could Be Christmas Everyday」などの代表シングルをまとめた編集盤は、Wizzardの魅力を短時間で掴みたい人に便利です。シングルならではの編集やミックスの違いを楽しめることも多いので、複数バージョンを比べるのも面白いでしょう。
こんな人におすすめ:まずは代表曲だけ聴いて雰囲気を知りたい人。
レア曲・B面/アンソロジー系の編集盤
WizzardはシングルのB面や未発表曲にもファン垂涎のトラックがあります。アンソロジーや拡張盤(ボーナストラック付きの再発)は、ロイ・ウッドの別テイクやデモを含むことが多く、コアなファンにとっては宝の山です。
こんな人におすすめ:深掘りリスナー、コレクター。
作品選びのガイドライン(どの盤をどう選ぶか)
入門者:まずは代表曲を網羅するベスト盤やシングル集を。Wizzardの「華」と「キャッチーさ」を短時間で把握できます。
アルバムから聴きたい:ムードの違いを試すなら、まずは「Introducing Eddy & the Falcons」でロック寄りの面を、次に「Wizzard Brew」でより実験的/多彩な側面を確認すると理解しやすいです。
コレクター:初期プレスやボーナス付き再発盤、アンソロジーを探して、シングルの別テイクや未収録音源をコレクションすると楽しさが広がります。
楽曲(代表曲)と聴きどころの解説
See My Baby Jive — ブラスを前面に出したグラム寄りのポップチューン。豪快なアレンジとコーラスが印象的で、Wizzardの“派手さ”を体現する一曲。
Angel Fingers (A Teen Ballad) — メロディの力で勝負するナンバー。ロイ・ウッドのポップ職人としての資質がよく出ています。
I Wish It Could Be Christmas Everyday — クリスマスシーズンに必ず再登場する名物シングル。華やかなプロダクションとわかりやすいコーラスラインで年末の定番となっています(アルバム未収録扱いの版もあるため、シングルやコンピで探すのが確実です)。
音楽史的な位置づけと影響
Wizzardは、70年代の英国ポップ/グラム期において、ロイ・ウッドの「既成ジャンルをミックスして遊ぶ」姿勢を体現しました。ELOが古典的なオーケストレーション志向を先鋭化したのに対して、Wizzardはよりエンターテインメント性とノスタルジア、そしてキッチュな美意識を押し出しました。以後のアーティストに対して直接的な“模倣”よりも、ジャンル横断でポップを再構築する考え方を示した点で重要です。
聴き方の提案(プレイリスト順)
まずは代表シングル数曲で「顔」を掴む(See My Baby Jive → Angel Fingers → I Wish It Could Be Christmas Everyday)。
次に Introducing Eddy & the Falcons を通して聴き、ロックンロール志向の面を堪能する。
その後 Wizzard Brew を通しで聴いて、アレンジの遊びや実験性を味わう。
最後にアンソロジーやボーナストラック集で未発表曲や別テイクを確認して余韻を深める。
注意点と盤の探し方
オリジナル盤はコレクターズアイテムになっていますが、再発や公式リマスター盤も音質面で優れたものがあります。購入前にトラックリストと収録バージョン(シングル・エディット/アルバム・ミックス等)を確認すると良いでしょう。
クリスマス曲などはコンピレーションに収録されることが多く、単独のオリジナル・シングルが見つからない場合は信頼できる編集盤を探すのが実用的です。
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参考文献
- Wizzard — Wikipedia(英語)
- Wizzard Brew — Wikipedia(英語)
- Introducing Eddy & the Falcons — Wikipedia(英語)
- Wizzard — AllMusic(英語)
- Wizzard — Discogs(リリース一覧、詳細)


