Rockpile徹底ガイド:Seconds of Pleasureを軸にNick LoweとDave Edmundsの濃密ロックを読み解く
Rockpileとは:短くも濃密なロックの化学反応
Rockpileは1970年代後半から1980年にかけて活動した英国のロックバンドで、メンバーはニック・ロウ(Nick Lowe)、デイヴ・エドマンズ(Dave Edmunds)、ビリー・ブレムナー(Billy Bremner)、テリー・ウィリアムズ(Terry Williams)という実力派揃い。公式名義でのスタジオ・アルバムは1枚だけ(Seconds of Pleasure/1980)ですが、実際にはロウとエドマンズのソロ作の多くで“実質的にRockpileが演奏している”ため、彼らの音楽的影響は単発のアルバム数以上に大きく残っています。
Rockpileの音楽性と魅力
Rockpileのサウンドは、パブ・ロックやルーツ・ロックにルーツを持ちながら、メロディ重視のパワー・ポップやロックンロールのエネルギーを融合させたもの。ニック・ロウのソングライティング(ポップで皮肉の効いた歌詞)と、エドマンズのギター・ワーク(ヴィンテージなトーンとロックンロールへの敬意)が並び立ち、ビリー・ブレムナーのリズム感とテリー・ウィリアムズの確かなドラムがそれを支えます。結果として「キャッチーで骨太」「ポップセンスと職人技が同居する」楽曲群が生まれました。
おすすめレコード(アルバム)と代表曲
Rockpile — Seconds of Pleasure(1980)
バンド名義で唯一のオリジナル・スタジオ・アルバム。バンドの全員が一つにまとまった作品で、パワフルかつ楽曲の幅が広い一枚です。作品全体のまとまり、演奏の切れ味、ポップ/ロックのバランス感がRockpileらしさを最も端的に示しています。
(このアルバムを起点にバンドの魅力を味わうことをまずおすすめします。)
Nick Lowe — Jesus of Cool / Pure Pop for Now People(1978)
ニック・ロウの代表作で、US盤タイトルは Pure Pop for Now People。ロウのポップなソングライティングと皮肉の効いた歌詞が光る作品で、Rockpileの演奏(またはメンバーの参加)が多くの曲で支えています。ニックのポップセンスを知る上で重要。
代表的な楽曲例:I Love the Sound of Breaking Glass(ニック・ロウの代表曲の一つ)
Nick Lowe — Labour of Lust(1979)
Nick Loweのもう一つのキラー・ポップ・アルバム。シングル「Cruel to Be Kind」など、多くのポップ・アンセムを含み、Rockpileの演奏がアルバム全体を支えています。ポップかつしっかりロックの血が流れる1枚。
代表的な楽曲例:Cruel to Be Kind
Dave Edmunds — Repeat When Necessary(1979)
デイヴ・エドマンズのソロ名義ながら、Rockpileのメンバーが濃厚に参加しているためバンド・サウンドを楽しめる一枚。エドマンズらしい古き良きロックンロール/ロカビリー・テイストが満載で、楽曲の質も高いです。
代表的な楽曲例:Girls Talk(エルヴィス・コステロ作の楽曲を取り上げてヒット)
関連編集盤・コンピレーション
公式名義のスタジオ盤は少ないものの、ロウやエドマンズのソロ作や編集盤を通してRockpileの演奏がまとめられていることが多いです。まずは上記の4作を軸に聴き、気に入った楽曲のクレジットを辿っていくのが分かりやすいアプローチです。
曲ごとの聴きどころ(音楽的な深掘り)
ニック・ロウ曲の良さ:短いフレーズに詰め込まれた妙な説得力。ポップフックと皮肉な詞が同居しており、メロディの抜けの良さが第一印象に残ります。
デイヴ・エドマンズ曲の良さ:ギター・トーンとアレンジの古典的なセンス。ビートやギターの「質感」で聴かせるタイプの楽曲が多く、録音の温かみも魅力です。
バンド演奏としての妙:二人のリーダー(ロウ/エドマンズ)の個性が衝突せず補完関係にあり、ビリー・ブレムナーの柔軟なギター・ワークやテリー・ウィリアムズの堅実なドラムが楽曲を引き締めます。
入門順・聴き方の提案
1. まずは「Seconds of Pleasure」:バンド名義でのまとまった一枚として、Rockpileという音の全体像をつかめます。
2. 次にニック・ロウの「Jesus of Cool(Pure Pop)」→「Labour of Lust」:ソングライティング重視の側面を理解するため。
3. デイヴ・エドマンズの「Repeat When Necessary」:演奏とアレンジのクラシック志向を確認するため。
これらを経て、ソロ作や編集盤へ広げるとRockpileの様々な顔が見えてきます。
Rockpileが残したもの・現代への影響
Rockpileは短い活動期間にも関わらず、英米のパワー・ポップ/オルタナティヴなルーツ・ロックに影響を与えました。「ポップなメロディ」と「ヴィンテージ志向の演奏」を自然に結び付けたスタイルは、多くの後続バンドにとってのお手本になっています。また、ロウやエドマンズのソロ作を通じて、シンガー=ソングライターと職人的バンド演奏の両立というモデルを示した点も評価に値します。
買う・聴く際の小さなアドバイス(内容重視)
オリジナル名義のアルバムだけを追うのではなく、ニック・ロウ/デイヴ・エドマンズ両名のソロ作品を並行して聴くとRockpileの全体像がより明確になります。
編集盤やベスト盤は、短時間で“彼ららしい曲”を体感できるので入門には便利ですが、アルバム単位で聴くと楽曲の並びやアレンジの一貫性が味わえます。
まとめ
Rockpileは“瞬間的に濃い”バンドであり、その魅力は単なる懐古趣味ではなく、ソングライティングの妙と確かな演奏による普遍性にあります。まずは「Seconds of Pleasure」を起点に、Nick LoweやDave Edmundsの関連作を辿ることで、Rockpileという音楽的共同体の全貌を楽しめるはずです。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
エバープレイは、音楽ファン向けのキュレーションと記事を提供するサービス/メディアです。アーティスト解説やプレイリスト、関連ディスクの紹介などを通して、聴きどころを丁寧に伝えることを目指しています。Rockpileのような“局所的に濃い”アーティストの魅力を発見するのに役立つコンテンツを揃えています。
参考文献
- Rockpile — Wikipedia
- Seconds of Pleasure — Wikipedia
- Nick Lowe — Wikipedia
- Dave Edmunds — Wikipedia
- Rockpile — AllMusic
- Rockpile — Discogs


