The Allman Brothers Band 名盤ガイド:聴き方とおすすめアルバムを時代順に徹底解説

序文 — The Allman Brothers Bandとは何か

The Allman Brothers Band(以下ABB)は、1969年に米国で結成されたブルース、ロック、ジャズ、カントリーを融合したバンドです。デュアン・オールマン(スライド/リードギター)とディッキー・ベッツ(リードギター)のツイン・ギター、グレッグ・オールマンのオルガンと歌唱、リズムセクションを中心にした長尺のインプロビゼーションを特徴とします。ここでは、彼らの“核”を体感できるおすすめレコードを取り上げ、背景・聴きどころ・代表曲・バンド編成などを深掘りしていきます。

The Allman Brothers Band(1969)

デビュー作。若いバンドが持っていたブルージーでソウルフルな側面、そして後のライブ志向を予感させる楽曲群が詰まっています。

  • なぜ聴くべきか:スタジオ録音でありながら、バンドの楽曲作りとアンサンブルの基礎が明確に示されている入門盤。
  • 代表曲:Whipping Post、Dreams、Black Hearted Woman、It's Not My Cross to Bear(作曲・歌唱:グレッグ)
  • 聴きどころ:グレッグのオルガンとコーラス、デュアンとディッキーのギター性格の輪郭が見える点。スタジオならではのアレンジとライブでの拡張の対比を感じ取れます。
  • 主なメンバー:Duane Allman(g)、Gregg Allman(vo, org)、Dickey Betts(g)、Berry Oakley(b)、Butch Trucks(ds)、Jaimoe(ds)

At Fillmore East(1971)

ABBの代名詞的なライヴ・アルバム。1971年3月のニューヨークFillmore Eastでの音源を収めた2枚組で、ジャム志向の真骨頂が詰まっています。

  • なぜ聴くべきか:彼らの演奏力、インタープレイ、即興の化学反応を最も純粋に体験できる“必聴のライヴ盤”。ロック史上の名盤と評されることが多い作品です。
  • 代表曲:Statesboro Blues(Duaneのスライドが光る)、In Memory of Elizabeth Reed(インストの長尺ジャム)、Whipping Post(15分超の大曲)
  • 聴きどころ:テンポの変化、ギターの掛け合い、リズム隊の推進力。特に「In Memory of Elizabeth Reed」はディッキーのリードが映える一方、Duaneのスライドによる色付けも顕著です。
  • ポイント:オリジナルのスタジオ作とは違う“伸びやかな瞬間”が多く、ライブ・アルバムとしての完成度が非常に高い。

Eat a Peach(1972)

スタジオ曲とFillmoreでのライブ音源を組み合わせたアルバム。デュアン・オールマンが1971年に事故死した後に発表されたため、追悼的意味合いとバンドの転換点を併せ持ちます。

  • なぜ聴くべきか:デュアンの遺したパートと、バンドが喪失をどう音楽に昇華したかが分かる重要作。グレッグのバラードやディッキーのカントリー色も強く出ています。
  • 代表曲:Melissa(バラード)、Ain't Wastin' Time No More、Blue Sky(Dickeyの名作)、One Way Out(ライブテイク)
  • 聴きどころ:スタジオ曲の叙情性とライヴの爆発力が混在し、バンドの幅広さを感じられる構成。伝説的なギター・フレーズやメロディラインが多数。

Brothers and Sisters(1973)

バンドの商業的成功が最も顕著に現れたアルバムの一つ。デュアン亡き後にディッキー・ベッツの作曲/演奏比重が増し、「Ramblin' Man」「Jessica」などのヒットを生み出しました。

  • なぜ聴くべきか:70年代初頭のアメリカンロック/サザンロックの代表作。ポピュラー性と演奏力が上手く両立しています。
  • 代表曲:Ramblin' Man(シングルヒット)、Jessica(インストで明るく躍動)、Wasted Wordsなど
  • 聴きどころ:カントリー風味とインストの躍動感、ピアノ/キーボードの存在感(チャック・レイベル参加)。ライブで盛り上がる定番曲が多いのも魅力。

Seven Turns(1990)

1980年代の解散・再結成を経ての“復活作”。ウォーレン・ヘインズの加入により、70年代の遺伝子を受け継ぎつつ新たな力強さを取り戻しました。

  • なぜ聴くべきか:再び息を吹き返したバンドのエネルギーと、現代的なプロダクションが融合した作品。ファンにとって“第二章”の象徴。
  • 代表曲:Good Clean Fun(シングル)、Seven Turns(タイトル曲)
  • 聴きどころ:ウォーレンの歌とギターが新鮮な対比を作り、ディッキー/ウォーレンのギターワークが注目ポイント。

Where It All Begins(1994)

90年代のスタジオ作で、ウォーレン・ヘインズのソングライティング貢献が大きい一枚。名曲「Soulshine」を含むなど、新たなレパートリーを確立しました。

  • なぜ聴くべきか:古典的なABBサウンドを現代の音質で味わえる作品で、深いメロディラインを重視した曲が多い。
  • 代表曲:Soulshine(ウォーレン作、近年のコンサートでの定番)、Nobody Knows(※アルバム内の聴きどころ)
  • 聴きどころ:バンドの成熟したアンサンブル、ヴォーカルワークとギターの相互補強が光る。若いリスナーにも入りやすい構成。

Hittin' the Note(2003)

2000年代初頭のスタジオ作。ウォーレン・ヘインズとデレク・トラックス(後年常時在籍)が在籍していた時期で、伝統と現代的センスが融合した作品です。

  • なぜ聴くべきか:晩年のABBが持つ技術力と表現力を示す一枚で、過去と現在を繋ぐサウンドが特徴。
  • 聴きどころ:ギター・ハーモニー、洗練された演奏とアレンジ、ライブでの再現性の高さ。

どのアルバムから聴くべきか(聴き方の提案)

まずは「At Fillmore East」でバンドの本質的な魅力(即興・熱量)を体感し、その後「The Allman Brothers Band(1969)」で楽曲の骨格を確認すると理解が深まります。「Eat a Peach」で歴史的背景と多様性を把握し、「Brothers and Sisters」でヒット曲中心の魅力を味わってください。90年代以降の作品は“継承と更新”を確認するために追うのが良いでしょう。

コレクションのヒント(盤選び)

  • 初期・70年代の音源は、ライヴとスタジオで表情が大きく変わるため、両方を揃えるとバンド像が立体的になります。
  • リマスター盤やデラックス・エディションには別テイクや未発表ライヴ音源が含まれることが多く、史料的価値が高いです。
  • ライヴ作品は編集の有無(曲のつなぎやカット)で印象が変わるため、収録内容を確認して購入を検討してください。

まとめ

The Allman Brothers Bandは、アメリカンルーツを基盤にしながら即興と歌心を両立させた唯一無二のバンドです。この記事で挙げたアルバム群は、彼らの異なる側面—誕生期のソウルフルさ、ライヴでの爆発力、ヒット曲の魅力、復活後の成熟—を順に体験できる構成になっています。音楽史的にも重要であり、ギター・アンサンブルやリズムの奥行きなど、繰り返し聴いて深まる要素が多いのが特徴です。

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参考文献