アリ・バローゾの音楽を深く味わう方法—Aquarela do Brasilを軸にした聴き方とおすすめレコード

はじめに — アリ・バローゾ(Ary Barroso)とは

アリ・バローゾ(Ary Barroso、1903–1964)は、ブラジル音楽の黄金期を代表する作曲家の一人です。サンバを中心に、国民的な愛唱歌から映画音楽まで幅広く作曲し、とりわけ「Aquarela do Brasil(ブラジルの絵)」は国内外で不朽の名曲として知られています。本稿では「何を買えばアリ・バローゾの音楽を深く味わえるか」を中心に、おすすめのレコード(音源)を選び、その聴きどころと背景を掘り下げて紹介します。

聴く前に押さえておきたいポイント

  • 作曲者としてのバローゾ:彼自身が歌手として残した記録は限られますが、多くは当時の人気歌手やオーケストラによって初期に録音・普及しました。従って「バローゾの楽曲を作曲時の息遣いで聴く」には、当時の歌手やオーケストラ編成の音源を聴くことが重要です。

  • バージョンによる表情の違い:同じ曲でも歌い手、アレンジ、時代(78rpm期、LP期、リマスターCD/配信)で大きく雰囲気が変わります。名演を複数聴き比べると、メロディの魅力やリズム感の幅がはっきり見えてきます。

  • コンパイル盤とオリジナル盤の扱い:まとめて聴ける現代のアンソロジーは入手しやすく解説も付く一方、歴史的価値や録音の「色」は初期シングル(78回転盤)や初出LPに独特の魅力があります。用途に応じて選びましょう。

代表曲(まずはここを押さえる)

  • Aquarela do Brasil — アリ・バローゾの代表作。国際的にも「Brazil」の邦題で知られ、映画やジャズ、ポップスで数多くカヴァーされています。原曲のメロディと国家的な郷愁が聴きどころ。

  • Na Baixa do Sapateiro — 地名や風景を歌う叙情的なナンバー。ブラジル内外で人気の高い作品。

  • Ave Maria no Morro — サンバのリズムと宗教的情緒が混じり合う独特の表現。バローゾの多面性を示す曲です。

おすすめレコード(聴きどころと選び方を詳解)

  • 歴史的シングル/78回転盤(1930s–1940s 出版)
    解説:バローゾの楽曲はまずラジオや78回転盤で広まりました。当時の人気歌手(例:フランシスコ・アルヴェス、オルランド・シルバなど)が録音した初期音源は、作曲時の演奏慣習や歌い回しを知るうえで貴重です。録音の雰囲気やイントロのアレンジが原型に近いことが多く、楽曲本来の“歌い口”を味わえます。入手方法はDiscogs等のマーケットやオークション、専門店のレア盤コーナー。

    聴きどころ:歌詞の語り口、当時の伴奏(小編成オーケストラやラジオ・バンド)のバランス、マイク/録音技術による音色の“温度感”。

  • 映画・ミュージカル音源(例:Carmen Mirandaの録音や映画サントラ)
    解説:バローゾ作品の国際的な普及にはCarmen Mirandaらの存在が大きく寄与しました。特にハリウッド経由での紹介では、編曲や演出がアメリカ側の影響を受けており、原曲の“別の顔”を見ることができます。193–40年代の映画サントラやミュージカル盤は、ショー的な演出を楽しむうえでおすすめです。

    聴きどころ:オーケストレーションの豪華さ、ショー的なアレンジ、異文化受容の表現。

  • アーティスト別アンソロジー(名歌手による〈バローゾ作品集〉)
    解説:ある一人の歌手がバローゾ作品をまとめたアンソロジー(コンピレーション)は、その歌手固有の表現を通じて曲の魅力が再発見できます。歌い手ごとの解釈の差が際立つため、比較聴取に適しています。近年はリマスターされたCDやストリーミングで手軽にアクセスできるものも多いです。

    聴きどころ:フレージング、拍の置き方、歌唱の語り口の違い。

  • 現代のリマスター/アンソロジー(コレクターズ・エディション)
    解説:近年は音質改善や詳細な解説を付した再発盤が複数リリースされています。音質を重視するならば、信頼できるレーベル(国際的なリイシュー・レーベルやブラジルの老舗レーベル)のアンソロジーを選ぶと良いでしょう。発掘音源や別テイクを含むボックスセットも存在します(入手時は出元とプレス情報を確認してください)。

    聴きどころ:ノイズ除去やEQ処理による音像の違い、追加解説で得られる文脈情報。

  • ジャズ/インターナショナル・カヴァー集
    解説:Aquarela do Brasilをはじめとするバローゾ曲は、ジャズやラテン系のスタンダードとして国際的に取り上げられてきました。これらのカヴァーを聴くことで、原曲のコード進行やメロディが異ジャンルでどう生かされるかが見えてきます。ジャズメンによるインスト演奏やビッグバンド・アレンジもおすすめです。

    聴きどころ:ハーモニーの解釈、リズムの転換(サンバ→ジャズ・スウィング等)、ソロのアプローチ。

  • 近年のトリビュート/再解釈アルバム
    解説:現代のアーティストがバローゾを再解釈したアルバムは、原曲の普遍性と現代的な解釈の橋渡しをしてくれます。アレンジの新しさやプロダクションの視点から聴くのも面白い方法です。

    聴きどころ:アレンジの更新点、リズム・セクションの改変、歌詞の現代的な解釈。

視点別の「おすすめの聴き方」

  • 歴史をたどるリスニング:初期の78盤 → 1940s–50sのLP録音 → 近年のリマスター順に聴くと、楽曲の受容史やアレンジの変遷が見えてきます。

  • 演奏比較の楽しみ:同一曲を歌手違い・年代違いで3種類ほど並べ、一節ずつ比較することで、リズムの取り方や装飾(コロル、グリッサンド等)の違いが明確になります。

  • 編曲を聴く:オーケストラ伴奏、バンド伴奏、インストのジャズ・アレンジなど、編成違いでの表情の変化を意識すると、メロディの“耐久性”が理解しやすくなります。

入手・選盤の実務メモ

  • オリジナル盤を狙う場合は、出品元のスキャン画像や出荷前の音源サンプル(可能なら)を確認しましょう。曲目表や発行年、プレス国の情報が重要です。

  • 現代のアンソロジーは編集方針(年代順かテーマ別か)、音源の出典(ラジオ音源、マスター由来など)をチェックすると当たり外れが少ないです。

  • レーベル情報:ブラジルの老舗レーベルや国際的なリイシュー・レーベルが出しているものは解説や音質面で信頼できることが多いです(具体的な盤を購入する際は各リリースのクレジットを確認してください)。

まとめ

アリ・バローゾの音楽は、曲そのものの強さと、歌い手/演奏者による表現の幅が魅力です。歴史的な価値を味わいたければ初期録音や当時の人気歌手による盤を、音質や解説を重視するならリマスターや近年のアンソロジーを選ぶのが良いでしょう。代表曲「Aquarela do Brazil」を起点に、異なる時代・編成の音源を聴き比べることで、バローゾの作曲表現の奥行きがより深く感じられます。

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