Geraldine Farrarのおすすめ盤ガイドと聴き方|全集復刻から入門盤まで歴史録音を楽しむ方法
はじめに — Geraldine Farrarとは
Geraldine Farrar(ジェラルディン・ファラー、1882–1967)は、20世紀前半に活躍したアメリカのソプラノ歌手です。メトロポリタン歌劇場の主要歌手として名声を得るとともに、当時の録音技術で多数のレコードを残しました。表現力豊かなドラマ性、明瞭な母音処理と語りかけるような歌唱で、特にプッチーニの『蝶々夫人(Madama Butterfly)』は彼女の代表的レパートリーとして知られています。本稿では「聴く価値のあるおすすめ盤」を中心に、各盤の聴きどころや選び方のポイントを詳しく解説します。
ファン必携:おすすめ盤とその特徴
Geraldine Farrar の録音は多くが78回転(原盤)として残され、それらを復刻したCD/デジタル音源がいくつかの歴史的レーベルから発売されています。以下は入手性、音質復刻の評価、解説の充実度を基準に選んだ「おすすめ盤」です。
代表的な全集復刻(Archeophone / Marston などの歴史的レーベル)
複数の専門レーベルから「Complete Victor Recordings」等、彼女のビクター時代の録音をまとめた全集が出ています。これらは原盤に忠実な復刻作業と、音質補正、詳細な解説をセットにしていることが多く、初めてファラーをまとまって聴くには最適です。アコースティック期(初期)から電気録音期までの変化を追える点も魅力。
Naxos / Pearl 等の選集盤(入手しやすい入門編)
Naxos HistoricalやPearlなどの選集盤は、代表曲や聴きやすい録音をコンパクトにまとめているため「まずは雰囲気を掴みたい」という方に向きます。名アリアの抜粋や有名な歌曲がまとまっていることが多く、価格面でも扱いやすいのが利点です。
史料的価値の高い単品復刻(Archeophoneの単巻・限定盤など)
一部の限定復刻盤やディスクユニオン/専門店のプレスは、珍しいセッションや未公開マスター(あるいは別ミックス)を収録していることがあります。コアなコレクターや音声史に興味がある方はこちらを探してみると新たな発見があります。
メトロポリタン歌劇場・アーカイヴ盤(ライブ音源の有無を確認)
当時の舞台録音は限定的ですが、メトのアーカイブや関連復刻セットにライブに近い資料が含まれることがあります。劇場での表現をより直接的に感じたい場合は、収録年や出典を確認して選ぶとよいでしょう。
具体的に聴いてほしいトラック(聴きどころ)
「Un bel dì, vedremo」(Madama Butterfly) — Farrarの代表作中の代表作。感情の内面化と語りのようなフレージングが特徴で、彼女の演劇性と声の魅力が最も分かりやすく出る一曲です。
マンオンやフランス系レパートリーの抜粋 — Farrarはフランス物やメロドラマ的な曲も得意で、語り口の巧みさが光ります。歌曲や小品にも彼女らしい魅力が詰まっています。
パーラーソング(当時ポピュラーだった小品) — オペラだけでなく、一般聴衆向けの小曲・流行歌も録音しており、当時の歌手としての幅や人気の理由が伝わってきます。
デュエット(共演録音) — もし共演者のクレジットがある録音を見つけたら要チェック。劇場での掛け合い感や、他の当代歌手との対比が楽しめます。
選盤のポイント — 何を基準に買うか
復刻の信頼性:Archeophone、Marston、Pearl、Naxos Historical など歴史録音の復刻に定評があるレーベルを優先すると、音質改善やノイズ除去、詳細な解説(ライナーノーツ)が期待できます。
収録範囲:全集系か選集か。全集は網羅的で学術的だがボリュームがある。入門なら選集盤で代表曲を押さえ、興味が出たら全集を買うという流れが合理的です。
音源の世代(アコースティックか電気録音か):初期はアコースティック録音(音色の制約あり)だが、表現の個性は十分残ります。電気録音期(1920年代後半など)の方が音がダイナミックに聞こえる場合がありますので、音質好みで選ぶのも一案です。
解説と訳詞の有無:外国語曲が多いため、翻訳や解説が充実している盤は理解を深める助けになります。
聴き方のヒント — Farrarの魅力を引き出す聴取法
「台詞を見る」ように聴く:Farrar は演技派としても評価された歌手です。歌詞のひとことひとことを「台詞」として追い、細かいニュアンスや間(ま)を意識すると表現の深さが見えてきます。
時代差を考慮する:録音技術の限界や当時の歌唱習慣(ポートメント、語尾処理)があるため、現代のリリック・ソプラノと単純比較しないこと。歴史的な「表現の一例」として楽しむのが良いでしょう。
複数録音の比較を楽しむ:同じアリアをアコースティック期と電気期で比較すると、技術面・解釈の変化が見えて面白いです。
レア録音やコレクター向け情報
専門レーベルが出す限定復刻や78回転原盤のオリジナル盤はフィルモグラフィー的価値や音声史的価値が高く、収集対象として人気があります。購入時は出典(原盤番号、録音年、使用マスター)と復刻エンジニアの記述を確認すると良いでしょう。
まとめ
Geraldine Farrar は「時代を代表するドラマティックな女性歌手」として、録音資料を通じても強い個性が伝わってきます。まずは信頼できる歴史レーベルの選集や全集復刻で代表曲を聴き、気に入ったら全集や限定復刻で深掘りする、という段階的なアプローチをおすすめします。
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参考文献
- Geraldine Farrar — Wikipedia
- Metropolitan Opera Archives — 検索結果(Geraldine Farrar)
- Discogs — Geraldine Farrar 検索結果
- Naxos — 検索:Geraldine Farrar
- Archeophone Records — 検索:Geraldine Farrar


