James Jamersonのベースが築いたモータウン・サウンドの核心とおすすめ名盤ガイド

James Jamerson — モータウン・サウンドの影の主役

James Jamerson(1936–1983)は、モータウンのハウスバンド「The Funk Brothers」のベーシストとして数多くのヒット曲を支えた人物です。表舞台に出ることは少なかったものの、そのベースラインは楽曲の骨格とグルーヴを決定づけ、ポップ/ソウルのサウンドに革命をもたらしました。本稿では、Jamersonのプレイが堪能できるおすすめレコード(シングル/アルバム/サウンドトラック)をピックアップし、聴きどころや彼の演奏的特徴を深掘りして解説します。

聴きどころのポイント(まず押さえておきたい)

  • メロディックなベースライン:Jamersonは単純なルート弾きにとどまらず、曲のメロディやコード進行に沿った“歌う”ベースラインを多用します。耳に残るフレーズを探してみてください。

  • シンコペーションとポケット感:リズムの裏を取るタイミングやアクセントの置き方で、曲全体をスウィングさせます。スネアやドラムと絡む“間(ま)”に注目。

  • クロマチック・アプローチ:メロディのつなぎで半音階(クロマチック)を巧みに挿入し、フレーズを滑らかに繋ぎます。シンプルなコード進行でも豊かな表情が生まれます。

  • 音色とタッチ:フラットワウンド弦と比較的低めのアクションによる太い音、そして指弾き(ピック不使用)の特有の暖かさが特徴です。

おすすめレコード(入門〜必聴)

  • The Temptations — "My Girl"(シングル / 収録アルバム)
    理由:シンプルながら耳に残るイントロとベースフレーズはJamersonの代表的な仕事の一つ。曲全体でベースがメロディを補強し、歌と一体化する様子を学べます。まずはイントロ〜Aメロをじっくり聴いてみてください。

  • Marvin Gaye — "I Heard It Through the Grapevine"(シングル / 複数アルバムに収録)
    理由:反復フレーズのグルーヴ感と、状況に応じてのフレーズ変化の巧みさが光る代表作。単純なモチーフの繰り返しでも、ノリとニュアンスで曲を強力に牽引します。

  • Marvin Gaye — "What's Going On"(アルバム)
    理由:ソフィスティケイトされたアレンジと温度感の中で、ベースが曲の感情を支える好例。全体的にジャムセッション的な即興感と緻密な構築が共存しており、Jamersonの音楽的語彙が豊富に出ています(セッションごとの参加状況には諸説ありますが、Jamersonのスタイルを感じ取れる楽曲が多いアルバムです)。

  • The Supremes / Motown Hits(代表曲集)
    理由:「You Can't Hurry Love」「Stop! In the Name of Love」など、モータウン特有のダンス感とポップ・センスをJamersonのベースが支えます。複数のシングルをまとめて聴くことで、同じスタイルの中にあるバリエーションが見えてきます。

  • Four Tops — "Reach Out I'll Be There"(シングル)
    理由:攻めのリズム・アレンジに寄り添うベースが印象的。テンションの作り方、フレーズの突き刺し方など“カッティング”的要素を学べます。

  • Martha & the Vandellas — "Heat Wave"(シングル)
    理由:エネルギッシュなリズムでベースの推進力が楽曲を牽引。シンプルなコード進行でもグルーブを最大化する手法が分かりやすく表れています。

  • Stevie Wonder(初期のモータウン期シングル群)
    理由:ポップ〜ソウルの境界で遊ぶ楽曲群は、メロディックかつリズミカルなベースが多く、Jamersonの多彩なアプローチを確認できます。曲ごとに色を変えるベースの“色付け”に注目。

  • Standing in the Shadows of Motown(ドキュメンタリー & サウンドトラック)
    理由:The Funk Brothersを主題にした作品で、Jamersonを含む当時のミュージシャンの仕事ぶりや再現演奏が聴けます。解説や証言を通して彼のスタイルや現場での役割が理解しやすく、入門資料として最適です。

中〜上級者向け(技術的/解釈的に深掘りしたい方向け)

  • フレーズの“解体”:お気に入りの曲のベースラインを小節ごとに写譜して、どこでクロマチック/跳躍/スケール上昇を使っているかを分析してみてください。Jamersonは“余白”を活かす達人です。

  • ドラムとの関係性:Jamersonのグルーヴはドラムとセットで機能します。ドラムトラックを消してベースパートだけを聴くのではなく、スネア/ハイハットとの同時聴取で“ポケット”の取り方を確認しましょう。

  • ダイナミクスと音色の変化:同じフレーズでも曲のどの部分でどれだけ音を抑えたり出したりしているかに注目。Jamersonは微妙な強弱で歌心を作っています。

買う・聴くときの視点(レコード選びのコツ)

  • オリジナル・シングル/アルバムを入手できれば、当時のミックスや演奏感がダイレクトに伝わってきます。リマスター盤は音がクリアになりますが、過度にイコライズされたものはベースの太さやニュアンスが変わることもあるので比較して聴くと良いです。

  • 複数バージョンを聴き比べる:シングル・モノラル、アルバム・ステレオ、リマスターなど音像が変わるため、Jamersonの音色やタッチの差異を把握しやすくなります。

  • ライナーノーツやクレジットを確認:当時はクレジット表記が曖昧な場合もありますが、信頼できる復刻や解説付きの盤を選ぶと参加ミュージシャンやセッション情報が得られます。

なぜJamersonのプレイは今日でも新鮮なのか

Jamersonのベースは単なる低域の補填ではなく、楽曲の“語り”に相当します。メロディとリズムの橋渡しをするそのアプローチは、ジャンルを超えてあらゆるベース奏者やプロデューサーに影響を与え続けています。聞き手としては、歌やアレンジとベースの対話を意識して聴くと、彼の発明性と音楽性が一層際立ちます。

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参考文献