John Paul Jones(ジョン・ポール・ジョーンズ)の軌跡:Led Zeppelinの名ベーシスト兼キーボーディストが紡ぐ編曲と音楽的影響

プロフィール

John Paul Jones(本名:John Baldwin、1946年1月3日生まれ、イングランド・シドカップ出身)は、ベーシスト、キーボーディスト、編曲家、プロデューサーとして世界的に知られるミュージシャンです。1960年代にロンドンでセッション・ミュージシャン/編曲家として経験を積み、1968年にジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ボーナムと共にレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の結成メンバーとして活動。バンド解散後も多岐にわたるコラボレーションやソロ活動、映画音楽や現代音楽の領域で作品を残しています。

キャリア概略

  • 1960年代:ロンドンでセッション・ミュージシャン、編曲家として活動。多様なジャンルでの演奏・アレンジ経験を積み、スタジオでの視野と適応力を養う。
  • 1968–1980:Led Zeppelinの一員として、ベース/キーボード/アレンジを担当。バンドのサウンドメイクに不可欠な役割を果たした。
  • 1980年代以降:セッション、プロデュース、作曲、映画音楽などで活動。2009年にはデイヴ・グロール、ジョシュ・ホーミーとともにThem Crooked Vulturesを結成し、新たなロック表現を提示。
  • ソロ作品や現代音楽的なプロジェクトも手がけ、幅広い音楽的好奇心と技術を生かした活動を継続している。

演奏スタイルと技術的特徴

John Paul Jones の演奏の核は「楽曲に最適なパートを的確に作る」点にあります。目立つ技巧で聴衆を驚かせるタイプではなく、むしろ以下のような特長でバンド全体の質を高めます。

  • メロディックなベースライン:単なるルート音にとどまらず、曲のメロディやコード進行に対して補完的かつ対位的なラインを構築することで、楽曲に深みを与える。
  • テクスチャの多様性:ベース以外にマンドリン、キーボード、メロトロン、ムーグなどを自在に使い分け、楽曲の色彩を豊かにする。
  • アレンジ能力:ストリングスや管弦楽風のパート、和声の配置を計算して作る才能があり、たとえば「Kashmir」的な大規模な構築に寄与することができる。
  • リズム感とグルーヴの支柱:ドラマー(特にジョン・ボーナム)との相互作用により、ロックのダイナミクスとグルーヴを巧みに操る。
  • 音色へのこだわり:適切な音色選択で、ベースが他の楽器とぶつからずに存在感を発揮するバランス感覚を持つ。

代表曲・名盤(解説付き)

John Paul Jones の魅力を伝えるうえで外せない作品を、Led Zeppelinの代表作を中心に紹介します。

  • Led Zeppelin IV(1971)

    アルバム全体がロック史に残る名盤。楽曲「Stairway to Heaven」では複雑な楽曲構成のなかでベースとキーボードの的確な役割分担が光る。「Black Dog」「Rock and Roll」といった曲でもリズム/ハーモニーの支えとして不可欠。

  • Houses of the Holy(1973)

    メロディやアレンジの幅が拡大した作品群。「The Rain Song」など美しいアレンジが施された楽曲で、J PJ の繊細な和声感覚やキーボードの色彩感が生きる。

  • Physical Graffiti(1975)

    ダブルアルバム。特に「Kashmir」はスケール感のある楽曲で、ジョーンズのアレンジと和声構築が作品の壮大さを支えている。ロックにオーケストレーション的アプローチを導入した好例。

  • Them Crooked Vultures(2009)

    デイヴ・グロール(ドラム)、ジョシュ・ホーミー(ギター/ヴォーカル)と共に結成したスーパーグループ。ジョーンズはここでもベース/キーボードだけでなく、楽曲の骨格を組み立てる多才さを発揮している。

  • ソロ/別プロジェクト

    ソロ名義やサウンドトラック、現代音楽的なコラボレーションなど、多様なリリースがある。これらは彼の編曲技術や作曲家としての側面を知るうえで重要である(例:インストゥルメンタル主体のソロ作品など)。

魅力の深掘り:なぜ多くのミュージシャンやリスナーを惹きつけるのか

  • 「必要なことを必要なだけ」する美学

    JPJ の演奏は派手さよりも適材適所を重視します。余分な音を削ぎ落とし、楽曲の核を明確にすることで、その結果として非常に濃密で印象的なサウンドが生まれます。これはハイテクニックよりも「音楽的判断力」が優れている証しです。

  • ジャンルを超えたセンス

    フォーク、ブルース、ハードロック、オーケストレーション的アプローチ、さらには現代音楽的な実験まで、幅広い音楽言語を自在に使えるため、いつも新鮮な響きを作れる点が魅力です。

  • アンサンブル志向のリーダーシップ

    彼のフレーズやサウンド選択はバンド全体の化学反応を意識したもので、他のメンバーの個性を殺さずに化学変化を起こす調整役としての力量があります。特に伝説的グルーヴを生み出したLed Zeppelinでの立ち回りはその典型です。

  • 作曲・編曲家としての裏方力

    楽曲の構築力やアレンジセンスが高く、シンプルなロック・トラックを壮大な音世界へと拡張する手腕は、表舞台のヒーロー像とは別の形で大きな魅力を放っています。

影響と評価

ベーシストやキーボーディストに対する影響は大きく、彼を模範にするミュージシャンは多いです。技術的な派手さよりも「曲を歌わせるベース」「曲の空間を作るキーボード」という観点は、現代の多くのプレイヤーにとって重要な学びとなっています。また、音楽ジャーナリズムや同業者からも「最もバランス感覚に優れたロックの裏方の一人」として高く評価されています。

聴き方の提案(初心者から上級者まで)

  • まずはLed Zeppelinの代表曲を通して、ベースとキーボードがどのようにバンドに溶け込んでいるかを聴く。
  • 次に「Kashmir」「No Quarter」など、アレンジ/テクスチャが前面に出る曲で彼の編曲センスを確認する。
  • Them Crooked Vulturesなど近年のプロジェクトで、彼の現代的なアプローチと即興的なグルーヴ感を味わう。
  • ソロやコラボレーション作品が聴けるなら、作曲家・編曲家としての側面にも注目する(インスト主体の作品は特に面白い)。

まとめ

John Paul Jones は「名プレイヤーであり名アレンジャー」であるという二面性が最大の魅力です。表に出るリフやソロではなく、楽曲そのものの質を底上げする演奏とアレンジでロックの歴史に不可欠な足跡を残しました。その力量は、単に技術や速さを競うタイプのミュージシャンとは一線を画し、楽曲の本質を理解して表現する知性と感性に裏打ちされています。音楽を深く味わいたい人にとって、JPJ の仕事は学びと感動の宝庫です。

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参考文献