Morrissey完全ガイド:The Smiths時代からソロまでの生涯・音楽性・代表曲・論争を徹底解説
プロフィール — Morrissey(モリッシー)とは
Morrissey(本名 Steven Patrick Morrissey、1959年5月22日生まれ)は、イギリス出身の歌手・ソングライター。1980年代にインディー・ロック/ポップの名バンド「The Smiths」のフロントマンとして登場し、その後ソロアーティストとして長年にわたり活動しています。耽美的でウィットに富んだ歌詞、独特の歌唱スタイル、そして強烈なパーソナリティで多くのファンを獲得してきました。
経歴の概略
- 出自と初期:マンチェスター近郊で生まれ育ち、若い頃から文学やポップカルチャーに親しむ。ローカルな音楽シーンの中で活動を始める。
- The Smiths(1982–1987):ギタリストのJohnny Marrと共にバンドを結成。シングル群やアルバム(例:「The Smiths」「Meat Is Murder」「The Queen Is Dead」)で英国インディーの象徴的存在となる。
- ソロ活動(1988年以降):1988年のソロデビュー作『Viva Hate』を皮切りに、90年代以降も個性的な作品を多数リリース。2000年代中盤の『You Are the Quarry』で商業的な復活を遂げる。
- 現在:音楽活動を続けつつ、発言や政治的立場が注目・批判されることもあり、賛否が分かれる人物像を持つ。
音楽的特徴と作風
Morrisseyの魅力は、単に「良いメロディ」だけではありません。以下の要素が複合して独自の世界観を作り上げています。
- 歌詞の文学性:孤独、疎外感、未練、郷愁、そしてユーモアを混ぜた語り口。しばしば引用や皮肉、文化的リファレンス(映画、文学、ポップアイコン)が散りばめられます。
- 声と歌唱:冷たくも繊細で情感に満ちたバリトン寄りの歌声。ささやくような節回しとドラマティックなピークを使い分け、リスナーの感情を揺さぶります。
- メロディの美学:哀愁を帯びた旋律とシンプルだが効果的なアレンジ。The Smiths時代はJohnny Marrのジャングル風ギターと対照的なヴォーカルが特徴的でした。ソロではプロデューサーやメンバーによってロック、オーケストレーション、グラマラスな要素など多彩に展開。
- アイデンティティと英国性:普遍的な孤独感を歌いながらも、特に英国文化や郷愁、地域性に根ざした言及が多く、"英国家庭"や"郊外の失われた日常"に感情移入する層が強く引き寄せられます。
代表曲・名盤(推薦)
- The Smiths — The Queen Is Dead(1986):バンドの完成形とも言われる傑作。憂鬱さとユーモアが絶妙に混ざった名曲群を収録。
- The Smiths — "This Charming Man" / "How Soon Is Now?":インディー/オルタナ黎明期における重要なシングル。Morrisseyの存在感が際立つ。
- Viva Hate(1988):ソロ・デビュー盤。シングル「Suedehead」等、ソロとしての音楽的出発を示す。
- Vauxhall and I(1994):静謐で内省的な名作。成熟したソングライティングが光る。
- You Are the Quarry(2004):長期の低調期の後に放たれた大ヒット作。シングル「Irish Blood, English Heart」などで再び注目を集めた。
- その他:編集盤「Bona Drag」はソロ初期のシングル曲をまとめた入門に適した一枚。
Morrisseyの「魅力」が刺さる理由
なぜ多くの人がMorrisseyに強く惹かれるのか。以下の点が共感や魅力を生み出していると考えられます。
- 孤独を代弁する声:多くの歌詞は心の不安や疎外感を率直に描き、特に若い世代や社会的に周縁化された人々の心に響く。
- 美学と自己プロデュース:耽美的で洗練された言語感覚と舞台上の存在感が、ただのポップ歌手以上の「アイコン性」を与える。
- ユーモアと皮肉:シニカルな観察眼やウィットに富んだ表現が、暗さの中にも魅力的な輝きをもたらす。
- 世代横断的な影響力:The Smiths世代のみならず、後のインディー/オルタナ系アーティストにも多大な影響を与えている点。
議論と批判 — その複雑さ
Morrisseyは音楽的才能と同時に、過去数十年にわたり政治的・社会的な発言でしばしば物議を醸してきました。その結果、ファンの中でも支持と距離を置く意見が分かれています。批判の主な点は以下の通りです。
- 政治的・移民問題への発言:一部の発言が排外的・国粋的と受け止められ、批判の対象となった。
- 発言の過激さと矛盾:動物愛護やベジタリアニズムを強調する一方で、他の社会問題に対する発言が炎上することがある。
- 作品と人物評価の分離の難しさ:アーティストの言動が作品鑑賞に影響を与え、リスナーがどう評価するかは個々により異なる。
こうした点は、Morrisseyの評価を単純化できない複雑さの一因です。音楽的価値を評価しつつ、発言や行動については批判的に検討する姿勢が求められます。
おすすめの聴き方・入門ガイド
- まずはThe Smithsの代表曲(「There Is a Light That Never Goes Out」「How Soon Is Now?」「This Charming Man」)でMorrisseyの声と歌詞の魅力を体感する。
- ソロ入門は『Viva Hate』→『Vauxhall and I』→『You Are the Quarry』の流れが聴きやすい。各アルバムで音楽的アプローチが変化している点に注目すると面白い。
- 歌詞の文脈を理解するために、当時の英国社会や映画・文学のリファレンスを調べながら聴くと深みが増す。
- ライブ映像やインタビューを見ると、ステージ上での表現やパーソナリティがより実感できる。
結び — 批評的に聴くということ
Morrisseyは、20世紀後半から21世紀にかけての英語圏ポップ/インディーの重要人物の一人です。孤独や郷愁を切り取る歌詞、印象的な声、そして強烈なアイコン性は、音楽史に残る大きな魅力を持っています。一方で彼の発言や政治的立場は物議を醸しており、音楽と人物評価をどう位置づけるかはリスナーそれぞれの判断に委ねられます。音楽的側面を深く味わいつつ、批判的思考を持って接することが、Morrisseyを理解する上での健全なアプローチと言えるでしょう。
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参考文献
- モリッシー - Wikipedia(日本語)
- Morrissey - Wikipedia(English)
- Morrissey | Biography & History - AllMusic
- The Guardian — Morrissey タグ一覧
- NME — Morrissey


