マヌ・ディバンゴ(Manu Dibango)とは何者か:Soul Makossaとアフロジャズの世界的影響を紐解く
プロフィール — Manu Dibangoとは
エマニュエル・ンジョケ(Emmanuel N'Djoké)通称マヌ・ディバンゴ(Manu Dibango)は、カメルーン出身のサクソフォン奏者/作曲家で、アフロ・ジャズとファンク、ソウルを融合させた独自のサウンドで国際的に知られる音楽家です。1933年12月12日生まれ、2020年3月24日に逝去しました。テナー・サクソフォンを主要楽器としつつ、ビブラフォンなど多彩な楽器感覚を持ち、70年代以降のワールドミュージックやダンス音楽に大きな影響を与えました。
生い立ちとキャリアの軌跡
カメルーンのドゥアラで生まれ、若年期から音楽に親しみ、アフリカの伝統リズムと西洋ジャズ教育の両面を吸収して育ちました。フランスに拠点を移してからは、ヨーロッパのジャズ/ポップ・シーンでセッションやリーダー活動を行いながら、故郷のリズムを都会的な編曲で提示していきます。
1972年に発表したシングル「Soul Makossa」は彼を国際的に有名にした代表作で、マコッサ(makossa)というカメルーンのダンス音楽の要素を大胆に取り入れたトラックです。この曲はクラブ/ダンスミュージックにも強く影響を与え、以後ディバンゴはアフロなグルーヴとモダンな洗練を併せ持つ存在として世界中で評価されました。
音楽の特徴とサウンド・デザイン
- リズムの中核にある「マコッサ」:カメルーンのダンス音楽マコッサ特有の4拍子を基調としたグルーヴをモダンな編曲に組み込み、ダンサブルでありながらグルーヴ感に深みがあります。
- ジャズ的即興とファンクの融合:サクソフォンのソロではジャズ的なモチーフとブルース感、そしてファンク的なリズム感が同居し、メロディとリズムが常に対話するような構造が特徴です。
- 音色へのこだわり:テナー・サックスの太く温かいトーンと、ビブラフォンやパーカッション類の金属的/打楽器的なアクセントを組み合わせ、層の厚いサウンドを作り上げます。
- 文化横断的なコラージュ:伝統的なアフリカのコール&レスポンスや民族的メロディを、西洋的なハーモニーやホーン・アレンジと混成させることで、国境を越えた“聞きやすさ”と“異文化性”を同時に提示します。
代表曲・名盤(聴くべき作品)
以下はディバンゴを理解するうえで押さえておきたい代表的な曲・作品です。時代によってアプローチが変化しており、初期のアフロ・ファンクから、後年のクロスオーバー作まで幅広く楽しめます。
- Soul Makossa(シングル) — マヌ・ディバンゴを象徴する一曲。マコッサの要素をポップ/ダンスの文脈に落とし込んだ名作で、世界中で繰り返し参照・サンプリングされています。
- 代表的なアルバム(ベスト盤含む) — キャリアが長く作品数も多いため、まずは本人の「ベスト・オブ」やコンピレーション盤で流れを掴むのが手っ取り早いです。ベスト盤では初期のグルーヴ感から、70〜80年代の名演がコンパイルされています。
- 後年のコラボ作やライブ録音 — ディバンゴは長年にわたり若手や異ジャンルのアーティストとも交流し続けたため、近年のコラボレーション作やライブ録音からは彼の柔軟性がよくわかります。
コラボレーションと世界への影響
ディバンゴはアフロビート、ワールドミュージック、ディスコ、ヒップホップといった複数の流れに影響を与えました。彼のフレーズやボーカル・フックは、洋楽ポップやダンス・ミュージックでサンプリング・引用されることが多く、マイケル・ジャクソンの「Wanna Be Startin' Somethin'」におけるフレーズの引用や、さらにその流れを経た楽曲での参照など、現代音楽のサンプリング文化のなかで何度もクレジット/議論の対象になりました。
またアフリカ出身のミュージシャンとして、ヨーロッパや北米の大都市でアフリカ音楽の存在を広めた“文化的アンバサダー”でもあり、世代を越えたミュージシャンにインスピレーションを与え続けました。
マヌ・ディバンゴの魅力 — なぜ人々を惹きつけるのか
- 普遍性と土着性の同居:伝統リズムに基づく“土着的”なエネルギーを、洗練された編曲やポップなフックで普遍的な音楽へと昇華させた点が、大衆にも音楽愛好家にも響きます。
- 演奏者としての説得力:サックスの音色、フレージングの確かさ、リズムとメロディを同時に語る即興力。これらがライブでの強い説得力を生み、観客を引き込む魅力になっています。
- 境界を壊す姿勢:「アフリカ音楽=民族音楽」という固定観念に留まらず、ポップ、ジャズ、ファンクなどと積極的に混ぜ合わせることで、ジャンルや市場の境界を越えた新しい聴き方を提示しました。
- 世代をつなぐ存在:初期のアフロ・ファンクから、サンプリング文化以降のポップ/ダンス音楽に至るまで、さまざまな世代のアーティストが参照し続ける“橋渡し”的要素。
マヌ・ディバンゴの音楽を深く楽しむための視点
- まずは代表曲を繰り返し聴き、コーラスやリズムの反復が持つトランス効果を体感する。
- サクソフォンのフレージングとリズム隊の関係に注目すると、彼がいかに“メロディでリズムを語る”かが見えてきます。
- 年代ごとの録音を追うことで、アレンジやプロダクションの変化(アナログから電子的処理へ、など)が彼の音楽観をどのように反映しているかを感じられます。
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参考文献
- Manu Dibango — Wikipedia
- Manu Dibango Obituary — The New York Times
- Manu Dibango obituary — The Guardian
- Manu Dibango: Cameroon saxophonist dies aged 86 — BBC News


