ニーナ・ハーゲンのレコード完全ガイド:買うべきおすすめ盤とコレクター必携の聴き方

はじめに — ニーナ・ハーゲンとは

ニーナ・ハーゲン(Nina Hagen)は、1970〜80年代のパンク/ニューウェイヴ周辺で独特の存在感を放ち、歌唱法の幅(オペラ的な高音、喚き、語り、コメディ的表現など)と過激なパフォーマンスで知られるドイツのシンガーです。東ドイツ出身というバックグラウンド、1960〜70年代の演劇・音楽経験、そして西ドイツでのパンク・ムーブメント参加が混ざり合い、ジャンルを横断する作品群を残しました。本コラムでは、レコード(LP)愛好家/コレクター/音楽ファン向けに“買うべき・聴くべき”おすすめ盤を深掘りします。

おすすめ盤一覧の読み方

各作品について、以下を中心に解説します:

  • 作品の音楽的特徴と聴きどころ
  • 代表曲(その盤で特に注目すべきトラック)
  • レコードとしての入手・コレクター視点(オリジナル/再発の違いなど)

Nina Hagen Band(デビュー作)

ニーナ・ハーゲンを“パンク/ニューウェイヴの女王”として世に知らしめた出発点。バンド編成によるエネルギッシュで生々しい演奏に、彼女の過激なボーカル表現が乗ります。ドイツ語詩の曲と、英語カバーの奇抜な解釈が混在しており、初期の衝動性を強く感じられる一枚です。

  • 聴きどころ:女優的な表現がはっきり出たボーカル、パンク寄りのアンサンブル、ライブ感のあるアタック
  • 代表曲(例):“TV-Glotzer(White Punks on Dope のカバー)”など、破天荒なカバー曲とオリジナルの混在
  • コレクター視点:オリジナルの初期プレスは人気。ジャケットの状態やスリーブの表記(ラベル/マトリクス)を確認するとよい。公式再発は入手しやすいが、初期のラフさを求めるならオリジナルのアナログが魅力。

Unbehagen(セカンド/バンド期の充実作)

初期バンド期の集大成的な作品で、ポップさと風刺精神、時にレゲエ/ダブの要素も取り入れた多様性が特徴です。メロディー性が高く、キャッチーな曲も多いため“奇抜さ”だけでない音楽性を実感できます。

  • 聴きどころ:ポップ/ダンス的要素とパンク的反骨心が同居する構成、コーラスワークや編曲の工夫
  • 代表曲(例):アルバムの中のキャッチーなナンバーや、社会風刺を含むトラック群
  • コレクター視点:国やプレスによって曲目やジャケットが微妙に異なる版があるため、トラックリストを事前にチェック。オリジナルのドイツ盤は市場人気が高い。

NunSexMonkRock(ソロ期の実験作)

英語圏向けに突き詰められた、実験的で過激なソロ作。ジャズや電子音、即興的な要素を取り入れ、商業路線から離れたアヴァンギャルドな側面が強調されています。ニーナの“声そのもの”を楽器として鳴らす試みが随所に見られ、好事家向けの名盤です。

  • 聴きどころ:声のレンジを最大限に使ったパフォーマンス、予測不能の構成、作曲と即興の境界を曖昧にするアレンジ
  • 代表曲(例):社会的テーマや個人的テーマに切り込む硬派なトラック群
  • コレクター視点:オリジナルのアナログ盤は状態次第で高値になることがある。曲のバリエーション(LPとCDで編集が異なることがある)に注意。

Fearless / Angstlos(海外志向のポップ寄り作)

よりポップでプロダクションの整ったサウンドを志向したアルバム。80年代のシンセ/ダンス・プロダクションの影響が見られ、ニーナの表現がダイレクトに伝わるエネルギー曲もあれば、遊び心あるカバーも含まれます。オーディエンスを広げた一枚です。

  • 聴きどころ:洗練された音作りとニーナのカラフルなボーカル表現のバランス、ダンス寄りアレンジ
  • 代表曲(例):クロスオーバー的に受け入れられやすいシングル曲、印象的なカバー曲
  • コレクター視点:欧米向けプレスやプロモ盤、シングル盤(12インチ)など、ダンスリミックス違いを探すのが楽しい。再発でのリマスター音源も多いので音質の好みで選ぶとよい。

Nina Hagen in Ekstasy(中期のキャッチーな作品)

80年代中盤の作品で、プロダクションとポップ性を更に推し進めた面があります。ライブ指向の勢いとは違う“作り込まれた”音像が中心で、タイトル通りエクスタシー感やパフォーマンス性が前面に出ています。

  • 聴きどころ:ポップ・センスと舞台的表現の融合、ニーナのボーカルの“見せ場”が多いトラック構成
  • 代表曲(例):ライブの定番化した曲やラジオ受けしやすいナンバー
  • コレクター視点:この時期は複数のプロモ盤や欧州/米国の別仕様が存在する。ジャケット違いや12インチのリミックスをチェックすると発見がある。

Revolution Ballroom / 90s期の多様化(ワールド/実験要素)

90年代以降は、ワールドミュージック的なアプローチやニューエイジ的要素、宗教的/精神的テーマも取り入れつつ、時代に合わせて音楽性を拡張していきます。派手さだけでなく、成熟した表現やコラボレーションを楽しめる作品群が続きます。

  • 聴きどころ:スタイルの多様化、コラボレーターによる色付け、声の新たな使い方
  • 代表曲(例):アルバム全体を通して聴くことで面白さが増すタイプの作品が多い
  • コレクター視点:90年代以降はCD中心のリリースが増えるが、アナログ再発や限定盤が出ることがある。関連するシングルやリミックス盤もコレクションの幅を広げる。

入門者向け:ベスト盤/コンピレーション

初めてニーナを聴くなら、代表曲を集めたベスト盤や良コンパイルがおすすめ。初期パンク的な衝動から80sのポップ曲、実験作のダイジェストまでバランスよく紹介してくれるものを選べば、アルバム単位で掘るべき方向性(バンド期かソロ実験期か、ポップかアヴァンか)が見えてきます。

  • 聴きどころ:代表曲を手早く確認できるので、気に入った時点で該当アルバムを深掘りする流れが効率的
  • コレクター視点:ベスト盤の選曲や編集は版によって違うため、収録曲リストを確認してから購入するのが無難。

購入・コレクションの実務的なヒント(※再生・保管・メンテナンスについては触れません)

ここでは“どの版を狙うか”“何に注意するか”に絞って触れます。

  • オリジナル盤の価値:初期プレス(特に1970s末〜80s初頭のドイツ盤)は市場で人気。状態(VG+/NM 等)により価格差が大きい。
  • ラベル/マトリクス確認:再発とオリジナルはラベルや溝のマトリクス刻印で判別できる場合が多い。出品説明の写真で確認を。
  • 再発/リマスター:近年は公式リマスターや180g再発が出ることがある。音質重視ならリマスター、雰囲気(初期の空気感)重視ならオリジナルを選ぶとよい。
  • ジャケット違い:国別のジャケット違いや歌詞カードの有無で評価が変わることがある。コレクト趣向に合わせて選ぶ。

どの盤から聴くべきか(目的別のおすすめ)

  • 「パンク・エネルギーを体感したい」→ デビュー期(Nina Hagen Band / Unbehagen)
  • 「声の衝撃/実験性を味わいたい」→ NunSexMonkRock
  • 「80sのプロダクションとポップ性を楽しみたい」→ Fearless / Nina Hagen in Ekstasy 等
  • 「キャリア全体をざっと掴みたい」→ 良質なベスト盤(詳細な選曲のもの)

おわりに

ニーナ・ハーゲンのレコードは、その奔放な声と表現の幅ゆえに“ジャンル分けできない魅力”を持っています。コレクションとしては、初期の荒々しさとソロ期の実験性、80年代のポップ指向を押さえると、彼女の全体像を立体的に楽しめます。まずは代表曲がまとまったベストで入口を作り、気に入った時点で該当アルバムのオリジナル盤や良い再発を探す──という流れが現実的で満足度も高いはずです。

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参考文献