Sepultura徹底解説:結成からRootsまでの軌跡と影響、初心者向け聴き方ガイド
Sepultura — プロフィール
Sepultura(セパルトゥラ)は、ブラジル出身のヘヴィメタル・バンド。1984年にマット・カヴァレラ(Max Cavalera)とイゴール・カヴァレラ(Igor Cavalera)兄弟を中心に結成され、ブラジル独自のリズムや社会問題を反映した楽曲で世界的な成功を収めた。代表作には『Beneath the Remains』『Arise』『Chaos A.D.』『Roots』などがあり、スラッシュ/デスからグルーヴ、ワールドミュージック的な実験まで幅広い音楽性を見せる。
結成と来歴(概略)
- 1984年:ブラジル(ベロオリゾンテ)で結成。初期はエクストリーム・メタル(デス/ブラック寄り)のスタイル。
- 1986–1991年:デモと初期アルバムを経て、国際的に注目される。『Beneath the Remains』(1989)、『Arise』(1991)で欧米シーンに定着。
- 1993–1996年:『Chaos A.D.』『Roots』で音楽性とテーマを拡張。ルーツでの先鋭的な民族音楽統合は大きな話題に。
- 1996年:創始者のマックスが脱退。以降、デリック・グリーン(Derrick Green)がボーカルを務め、バンドは継続して新作を発表。
- 2000年代以降:ラインナップ変更や実験的作品を経ながらも、現在まで活動を続け、2010年代以降も高評価作を発表している。
音楽性と進化
Sepulturaの魅力の核は「進化し続ける硬質なサウンド」と「ブラジル的アイデンティティの表出」にある。各時期の特徴は以下の通りです。
- 初期(1980年代後半):スラッシュやデスメタル寄りのアグレッシブな早弾き、速いテンポ、激しいシャウト。
- 転換期(『Arise』『Chaos A.D.』):リズムの強調、ミドルテンポ主導の重厚さ、政治的・社会的テーマの導入。グルーヴと荘厳さが融合。
- 実験期(『Roots』):ブラジル伝統音楽や先住民のリズム、打楽器を積極導入。「ワールドメタル」とも呼ばれる独自の領域を開拓。
- ポスト・カヴァレラ時代:デリックの加入後も攻撃性は維持しつつ、メロディックな要素やコンセプト性の強い作品へ展開。
代表曲・名盤の紹介
以下はSepulturaを理解する上で特に重要な作品と曲です。
- Beneath the Remains(1989) — 海外での評価を確立した傑作。速さと緻密なリフワークが光る。
- Arise(1991) — テクニカルかつ重厚、Sepulturaの「国際的到達点」の一つ。代表曲「Arise」「Dead Embryonic Cells」など。
- Chaos A.D.(1993) — ミニマルでヘヴィなリズム、政治・社会的メッセージを前面に出した転換点。「Refuse/Resist」「Territory」など。
- Roots(1996) — ブラジルの民族音楽を大胆に取り入れた野心作。代表曲「Roots Bloody Roots」はライブでも象徴的。
- Against(1998)以降(デリック期) — 新たなボーカル体制での挑戦。『Dante XXI』『Kairos』『Machine Messiah』『Quadra』など、成熟した作風が続く。
ライブとパフォーマンスの魅力
Sepulturaのライブはエネルギーと一体感が魅力です。強烈なリフ、重低音のグルーヴ、そして打楽器的なリズム感が観客を引き込む。『Roots』以降は視覚的・民族的要素を取り入れた演出も見られ、単なる音圧だけでなく文化的な表現がライブの核となっています。
影響とレガシー
Sepulturaは非英語圏から世界的に成功した数少ないメタルバンドの一つで、以下の点で大きな影響を与えました。
- 地域的アイデンティティをメタルに落とし込むモデルを提示し、ラテン系や世界各地のバンドに勇気を与えた。
- スラッシュ→グルーヴ→ワールド要素への推移は、多くのバンドにジャンル横断的な実験の道筋を示した。
- 1990年代のヘヴィな音楽潮流(グルーヴメタル、ニューメタル等)に少なからぬ影響を与えた。
なぜ今も魅力的なのか
- 継続的な進化:80年代から現在まで音楽性を変化させつつ核となる攻撃性を失わないこと。
- 文化性:ブラジル固有のリズムやテーマをメタルに自然に取り込むことで独自性を保持している。
- ライブバンドとしての強さ:スタジオ録音と同等以上にライブでの説得力が高く、世代を超えてファンを惹きつける。
おすすめの聴き方(入門ガイド)
初めて聴く人へは時代ごとの代表作を順に聴くのがおすすめです。
- 入門(スラッシュ寄りの激しさを体験):『Beneath the Remains』『Arise』
- 転機の理解:『Chaos A.D.』 — リズム感とメッセージ性を確認
- 実験と文化融合:『Roots』 — Sepulturaのもっとも独創的な到達点
- その後の展開:『Against』『Dante XXI』『Machine Messiah』『Quadra』 — デリック期の成熟をチェック
注意点・論争
- 1996年のマックスの脱退は大きな転換点で、ファンの間でも議論が分かれる。以降、マックスはSoulflyやCavalera Conspiracyなど別プロジェクトで活動。
- 「ルーツ」期の民族音楽利用については賞賛とともに、文化的参照の扱い方への議論もある(文化表象の取り扱いに慎重であるべきという視点)。
まとめ:Sepultura の本質
Sepulturaは「ヘヴィネス」と「文化的独自性」を両輪に、四半世紀以上にわたって世界のメタルシーンに影響を与えてきたバンドです。スピードとテクニックだけでなく、リズム感・グルーヴ、政治/社会への視点、そして民族的要素の導入という点で、単なるメタル・バンド以上の存在感を放っています。新旧問わず聴く価値が高く、ジャンルの枠を超えて多くのリスナーに刺激を与え続けています。
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参考文献
- Sepultura 公式サイト
- AllMusic - Sepultura Biography
- Wikipedia - Sepultura
- Rolling Stone: Sepultura's "Roots" — legacy and impact


